秋の炊き込みご飯
てくてくてくてく
ぽんちゃんは、平野の景色を眺めながら、川沿いの土手を散歩します。
すっかり涼しくなり、秋らしくなりました。
コサギがカワムツを狙って、水面をちゃぷちゃぷゆっくりと歩いています。
オニグルミの木には、クルミの実が、たわわになっています。いくつか拾って帰ります。
途中、シイの木があります。小粒のどんぐりがたくさん実っています。アク抜きしなくても、そのまま料理できます。林や庭木で見かけますが、皆あまり関心がないようです。これも拾って帰ります。
そよそよ
そよそよ
風が吹き抜けます。
いい景色だなあ。今みている景色は、一生のうち、あと何回みることができるんだろう。
途中、散歩しているおじいさんとすれ違います。もしかしたら同じことを考えているかもしれません。以前はどこか遠い世界に行ってみたいと考えたこともあったけど、今はあまり思いません。ぽんちゃんはこの辺りが大好きです。できればずっと、景色の移り変わりを見ていきたい。
帰ったら、ご飯の支度にかかります。
今日はどんぐり炊き込みご飯にしてみます。
やったことはありません。
どうすれば上手くできるかな。
まずは思いつく材料のリストアップです。
- [ ] どんぐり20粒くらい
- [ ] にんじん1/4本
- [ ] シイタケ2個
- [ ] しめじ1/4房
- [ ] まいたけ1/4房
- [ ] 油揚げ1/4枚
- [ ] 醤油大さじ2
- [ ] お酒大さじ1
銀杏の代わりにシイの木のどんぐりを使う感じになるかな。
きのこは3種類使ってにぎやかに。
ぼんやり味のイメージができてきます。
白米を3合研いで、いつもと同じ水の量にします。
どんぐりの皮を外して投入。
にんじん、シイタケ、油揚げを細切りにして投入。きのこをパラパラ。
醤油とお酒を投入。
お米を水につけてる時間にこれらを済ませます。
軽く混ぜて、炊飯器をセットします。
ご飯が炊ける間に、汁物を作ります。白い、さらしなそばの乾麺があるので、それを少し入れたお汁を作ります。いつもは素麺だけどね。これは簡単。にんべんのつゆの素を使います。薄める割合はボトルに書いてあります。小鍋でお湯を沸かして、つゆの素を入れるだけ。
おそばを茹でて、みんなのお椀に一掴みづつ。刻んだ三つ葉を一掴みづつ。あとでご飯をよそる時に、あつあつのおつゆをかけて席に出します。
クワックワックワッ
クワックワックワッ
炊けた炊けた。よく混ぜて、味見をしてみます。味は薄めだけど、色んな材料の味が出てて素朴で美味しい。味のイメージはできなかったけど、思い切って作ってみてよかったよかった。
少し自分の枠が広がった気がします。
お汁をよそって、小魚にクルミを添えて。
番茶をいれて。
「ぽんちゃん、これみて!」
誰かが、空き瓶に猫じゃらしを数本たてて食卓に飾っていました。工作で作った紙粘土のウサギも置かれています。
お月見みたいで楽しいね。
「さあみんな食べよう!」
「いただきまーす!」
みな、ほくほくとご飯をほおばり始めました。三つ葉たっぷりの、おそばも美味しい。
番茶もじんわり美味しい。ぐびぐび。
「ぽんちゃんおかわりある?」
「どんぐりが栗みたいでおいしいね」
「おそばももっと食べたい」
「お茶おかわり」
「ご飯もお汁もまだあるからさ、ゆっくり食べて」
みんな、おおよろこび。
食卓に楽しい秋が広がります。
おしまい