第49話
第四十九話:私の記憶 四十三
六月某日。派遣先へ行った。先日終わった研修と同じようなことを教わった。工場系の仕事は厳しいのである。私は翌日から夜勤であると告げられた。夜勤は夜の十時から朝の六時五十分が定時であった。世の中の大抵の人が寝ている時間帯に働くことは、やはり大変であった。一週間夜勤をしたら、来週は日勤になるというサイクルであった。日勤の時は眠気に襲われることはほとんどなく、仕事を終えることが出来た。夜勤の時には身体は嘘をつけないようで強い眠気に襲われることがあった。私の帽子には研修中というバッチが付いていて、私は見習い修行中ということで教育者がいた。その教育者が酷いパワハラ男だった。私に対して怒鳴り声をあげたり、にらみつけてきたり、指導の域を超えた発言をしてくるのであった。初めは我慢していたがいよいよ、耐えられなくなってきていた。
八月某日、夜勤だった。その日私はキレた。パワハラをずっとしてきた相手にだ。我慢の限界だった。それを見た先輩が私を止めてくれた。「半人前が一丁前の口を聞くな。」そう言われて、従った。なんとかその日を乗り越えて、お盆の連休を手に入れた。その休み期間、たくさん遊んでたくさん笑った。時には泣いた。全てがクリアに見えすぎて怖い。死ぬかもしれないから寝るのが怖くなった。八月某日、妻にあなたは躁状態だと思う。そう言われた。次の日、妻と二人で病院に行き、興奮を鎮める薬を貰った。
お盆が明けて、仕事に行った。絶好調だった。しかし、昼に飲む薬を家に忘れてしまった。作業中、いつもパワハラをしてくる上司が「顔色が真っ白だぞ。」と言ってきた。私は班長のもとへ行き、事情を話した。班長の判断で退勤となった。飲むべき薬はしっかりと飲まなくてはいけない。大切なことだ。




