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サンキュ  作者: 廣風直
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第43話

第四十三話:私の記憶 三十七


 港町高校の事務員は大きく二つに分かれていた。庶務課と会計課である。私は庶務課であった。面倒な仕事は秋の終わりから夏の手前までの期間、外気温に応じて暖房の調整をしなければいけないことであった。私はボイラー技師の資格などないが、ここのボイラーは無資格で触っても大丈夫なものであった。昨年度、仮置き時代に使い方を教えてもらっていたのできちんとボイラーを動かすことが出来た。そして、ボイラーを動かすと重油が減る。減ったタイミングで重油の注文をするわけである。日程が決まると、その日に南京錠を開けに行かなくてはならなかった。寒い冬の日には億劫だった。また、灯油の管理も任されていて、ポリタンクが二十個ほど保管してある場所があり、残りが少なくなってくると注文をしなければならなかった。この灯油は何に使うかというと、事務室、校長室など、日当たりの悪い場所に置かれたストーブに入れるのである。外から中へ運ぶのも面倒な作業であった。以上がボイラー及び暖房器機の管理という仕事である。

 好きな仕事は外勤という仕事であった。車に乗って銀行と郵便局を回るのである。学校事務には毎日のように入金と出金があった。加えて、同窓会、クラブ後援会、各クラス、各クラブのものも預かっていた。お昼の休憩が終わった後、会計課から通帳などを預かり、車で出発するのであった。その際にはラジオが聞けた。毎日同じくらいの時間に聞くことができるそのラジオは、私の楽しみになっていた。この外勤の時間だけは自由に動けるストレスフリーな時間であった。車はボロかったがレディオは壊れかけていなかった。これは良かった。二時半から三時の間には学校に戻ってくるようになっていた。たまに印鑑が異なります、印鑑が押されていませんとかいう事もあったが、それは電話で確認したりして対応できるようになっていったのである。

 外勤の時に購入したものは切手である。私は切手の管理・補充を任されていたので、減ってきた切手を購入していた。事務室でよく使ったのは八十三円切手と百二十円切手である。当時は値上げされる前で、まだ八十四円切手はなく、一円安い八十三円切手だったのである。今はもう八十三円切手は売ってないだろうから、貴重なのかもしれない。値上げされた後は一円切手を活用して、使い切ったと記憶している。

 

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