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サンキュ  作者: 廣風直
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第38話

第三十八話:私の記憶 三十二


 新婚旅行は二人で相談してイタリアに行くことに決めた。七日間のイタリア周遊ツアーに申し込んだ。北から段々と南へ下がっていく行程であった。ローマにて巨大な闘技場であるコロッセオを眺め、昔に思いを馳せた。トレヴィの泉には観光客が溢れていた。後ろ向きになって泉にコインを投げ入れるのが常識らしいので、その通りに投げ入れた。再びこの地を訪れることが出来る様にという祈りが込められているらしい。私がイタリアの地を訪れるのは二度目であった。盆地高校の修学旅行でイタリア、フランスコースがあり、私のクラスの殆どがこちらのコースを選択したこともあり、私は引率教員として初の海外へ行くことになったのである。パスポートを作る代金も旅費も全部学校が負担してくれたので大変ラッキーであった。その時に私はトレヴィの泉にコインを投げ入れていたのである。

 イタリアだったかフランスだったか忘れてしまったのであるが、私は自主研修中に迷子になっていた。帰るはずの道を見失ってしまい何度も同じところをグルグルと回っていた。偶然そこに通りかかった私のクラスの石倉正和によって私は救われたのである。正和はちょっとそこまでと一人で散歩していたらしく、私を見つけて声をかけてくれたのである。あの時見つけてくれなかったら捜索願いが出されていたことだろう。そういうわけで、私は極度の方向音痴である。先日、札幌のホテルに宿泊した時のことである。ホテルに到着した我が家は、車を停めようとホテルの駐車場に車を横付けした。すると若いホテルマンが出てきた。「満車でございます。申し訳ありませんが、ここから五分程の所にあるコインパーキングに車を停めて来てください。」そう言われた私は、車から荷物を降ろし、妻と子供達も降ろした。

 「チェックインしておいてね」と告げて、私は車を走らせた。不安だった私は途中で車を停めて、カーナビにコインパーキングの場所を打ち込んだ。安心した私は『ナビコ』の指示通り車を走らせた。ナビコとはカーナビのことである。愛称である。ナビコのおかげで、無事に駐車することができた。しかし、そこから私の方位磁針が狂い始めたのである。いや、元から狂っていたのだから、コレは仕方がない。車で五分かかったのだから、歩いて十分ほどだろう。私はそう考えていた。十分が経過した。されどもホテルにはつかなかった。携帯は充電するために妻が持っていた。妻に連絡することも出来ず、私は歩きまくった。何故か目の前にテレビ塔が見える。意味がわからない。札幌の街中は碁盤の目のようになっていて、私にとって巨大な迷路のようなものだ。ここら辺なら丸井今井も見えるし、土地勘がある。もう少しだけ歩けばホテルに着くだろう。マクドナルドが見えた。もう少しだ。頑張れ私。

 モクモクと煙が流れてきた。焼肉のいい匂いがしている。私は三十分以上かかってホテルに到着した。そこには心配そうにソワソワしている家族が待っていた。ホントに私は方向音痴なのだ。誰かに手を引かれて歩きたい。

 水の都ベネチアでは観光船に乗ったのだが、雨のために濡れ鼠になった。折り畳み傘を一つしか持っていかなかったためである。雨に降られることを想定していなかったのである。食では本場のピッツァを食べた。美味しかったが、宅配ピザの方がボリュームがあるし、日本人向けになっているのだと実感した。最終日近くにデジカメが先日観てきたピサの斜塔のようになってしまった。食事の際に誤って落としてしまったためである。自動でピントを合わせる機能はもちろんズームや何から何までおかしくなってしまった。かろうじて、ピンボケの写真が撮れるぐらいになってしまった。こんな残念な出来事もあったが、新婚旅行を楽しんできたのである。

 パスポートの有効期限も過ぎてしまった。何せ今はコロナのせいで海外に行くとなると大変だ。国内旅行にでも行きたいものだ。あっ、サーターアンダギーたべたい。

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