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サンキュ  作者: 廣風直
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第31話

第三十一話:私の記憶 二十五


 盆地高校赴任六年目、私はバドミントン部の顧問になった。女子バレーボール部は人数が一人もいなかったので、試合に出ることが出来なくなった。この春に、バドミントン部の顧問が定年退職したことにより、私が代わりに入ったというわけである。男子一人と女子四人。男子は経験者、女子三人経験者、未経験者一人。男子の名前は将吉。口数は少ないが割とストイックなところがあるタイプだった。将吉の相手をする男子が必要じゃないかということで、私が自らバドミントンのラケットを買い、ガットを張ってもらい、自分のお気に入りのグリップを選んだのである。この時隣にはマジがいた。マジも一緒にスポーツショップに一式揃えに買いに出かけたのであった。

 バドミントンは性格がひねくれている人がやると強くなると思った。バレーボールとの共通点は相手との間にネットがあることである。強いスマッシュも有効であるが、相手を前後に揺さぶったり、左右に揺さぶったりするのも有効である。そして、何より緩急をつけること、これが大切なのだ。バドミントンは物凄く疲れるスポーツである。

 半年を過ぎたあたりで、私もマジも結構上手くなった。将吉の的確なアドバイスもあって、ちょっとした試合ぐらいはこなせるようになっていた。

 女子の中では茉奈が初心者だったが、他の三人、亜衣と千里と真奈美の指導のおかげもあって上達していった。将吉はよその学校で練習することも多かったので、基本は女子部員四人と私とマジの六人で活動していた。練習で行う総当たりの試合が楽しかった。マジとの対戦の時は大人気なく叫んだりしていた。勝てば嬉しくて、負ければ悔しくて、本当に楽しい時間だった。

 試合は年に五回ほどだったと思う。心残りなのは、初心者で始めた茉奈に一勝だけでもさせてあげたかったということである。一生懸命練習して上手くなったのに、本番に弱かった。いや、性格が真っ直ぐ過ぎたのだと思う。ひねくれたプレイをしない子だったから負けてしまうのだ。

 彼女たちは私を「なおみ」と呼び捨てにしていた。親しみを込めて呼ばれていたと感じている。王子の方がよっぽど照れくさい。

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