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第3話
第三話:父と母 二
父と母の手紙のやり取りは数知れず、母曰くお互いの手紙は百通位あるらしい。私が中学生頃から使わせて貰っていた兄の部屋の、押し入れの奥深くに今でも眠っている。きっとラリホーマ(眠らせる魔法)でもかけられているのだろう。私は怖くて起こす事が出来なかった。私は二人のラブラブな手紙のやりとりを読むのに耐えられる自信がなかったのである。意気地なしである。
もしかすると、私の姉である雪であれば事の真相に深く通じているかもしれない。姉は好奇心旺盛で、危ない橋でもテケテケと駆けていけるようなそんな一面があるからだ。母に承諾を得て手紙を読んでいる可能性がある。早速姉にLINEで聞いてみたところ、やはり読んでいた。姉曰く、読んでるこっちが照てしまう位、キザな内容だったらしい。キザと言うより、熱い感じだったようだ。「北海道より愛を込めてと看板文字で書いてあったよ。こんな素敵な手紙もらえる女性はなかなかいないと思うわ」と姉は私にLINEをくれた。私は読まなくて本当に良かったと思う。