第21話
第二十一話:私の記憶 十七
相手から好意を向けられると自分も好意を抱くようになる。これは大学時代に読み込んだ恋愛心理学の本に書いてあったことである。確かに好かれているなと思えば嫌な気持ちにならないし、その気持ちを受け入れて相手に親切にしてあげようと思うものである。しかし、大切なのは自分の好意を相手にちゃんと伝える必要があるということである。私は一方的に好きだな、かわいいなと思っているだけで、好意をただの好意のままにしてしまっていた。そこに、私に好意を持った女の子が現れたとしたならば、どうなってしまうのか。叶わない恋だと諦めて、自分に好意を寄せてくれる子が、行為でもって気持ちを伝えてきたとしたならば。…。
先に述べた体育の授業は、学年の枠を取っ払って行われた。私とやまっちょは二年生になって履修したのである。一年生もたくさんいて、賑やかな授業となっていた。バスケットボールでは、リバウンドを取りに行った際に敵チームの人の肘が鼻に当たり流血した。バレーボールはやっていたので活躍することができた。夏の終わり頃だったと思うが、体育の授業を履修しているメンバーで飲み会をしようということになり、誘いを受けた。その中にいたのが佳純である。一つ下の同じ学部で同じ学科の女の子である。
佳純は私に対して恋心を抱いてくれていたようである。飲み会を企画したのも私と近づきたい為だったと後から知った。その後、私はストレートな告白を受けて、悩んだ末に佳純と付き合うことに決めたのである。佳純は運動部に在籍していたが、その部は辞めてしまい、将来は教員になりたいと公言していた。この冬に二人で漢字検定を一緒に受けに行き、二人とも無事、二級に合格したのである。




