第19話
第十九話:私の記憶 十五
私はサークル活動とは決して言えない部の仲間入りをした。その名も鍋部である。何をするのか。鍋を作って食べるのである。部長の名前は柴田銀平。鍋部の創設者である。学年は一緒だが、年は一つ上。なのに私は「ギンペイ」と呼び、ギンペイは私を「モリバヤシさん」と呼んだ。不思議な関係性である。
銀平は大学から十分ぐらい歩いたところに一人暮らしをしていた。そこが鍋部の活動場所であった。石狩鍋、ちゃんこ鍋、キムチ鍋、豆乳なべ、色々な鍋を作って食べた。食べた後に麻雀をすることもあったが、音楽を聴くことが多かったように思う。銀平の家には毎週のように泊めてもらった。鍋をつつきながら、ビールを飲んだ。当時は私も調子に乗って、煙草まで吸っていた。銀平は坊主頭で黒髪であったが、その風貌はダサくなく、むしろお洒落だった。他のメンバーもどことなくお洒落だった。そのメンバーとは前にも登場した門馬さん、クロ、今回初登場の亮介などがいた。活動日は金曜の夜が主だった。次の日を気にせずに飲めるからである。
銀平は私が緑色のカラージーンズを履いていたことに興味を持ち、話しかけてくれたそうだ。このジーンズは雪からプレゼントされたもので、当時よく履いていたものである。古着を着ることが流行っていたので、私はぺろんちょと古着屋巡りをしたものである。安くて良いものに巡り会えた時、購入するのである。今また、古着ブームが来ているみたいだ。やはり二十年ぐらいの周期で流行は繰り返すのかもしれない。




