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回り廻る迷宮潜り  作者: どうしようもないと言ったらどうなるのか
Act.1『いつか何かになる者よ』
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プロローグ

 ―――マズい。


 命が摩耗していく。

 どくどく、と腹から真っ赤な液体が零れていく。

 手の平で必死に抑えようとしても、温かなそれらは止まる事を知らず、地面に斑点を作っていく。



 …そう、()()したのだ。

 遺物漁りの迷宮潜りとして、取り返しのつかないミスをした。目の前にあった遺物に目を取られ、罠に気付く事が出来なかった。


 しかし、最後の最後でただ周囲を刃で切り裂くだけの初歩的な罠が仕掛けられていると、誰が予想できただろう。


 自分の血で足を滑らせ、ずてんと転がる。

 それでもなお、せめて目の前にある遺物に触れようと、ずりずりと限界が近づく身体を引きずる。持っていた武器や遺物を落とし、少しでも軽くして必死に這いずる。


「あ、…ぁあ…」


 意味のない呻きが喉から零れる。


 あぁ、こんな事ならもっと豪勢に金使っとくんだった。溜めに溜めて老後を山奥で過ごそうなんて言う考え、今思えば馬鹿のする事だ。

 もっと良い装備も買えたし、最近こっちでも売られ始めた東国の食い物もケチケチせず食えば良かった。


 ごぼり、と喉の奥から何か液体が零れ出る。それでも、とその天秤の形をした遺物に手を掛け、





『――お前は、何を懸け、何を望む?』





 ――あぁ…よく分からねぇが、もう一度俺の心臓が元気に動いてくれるなら、どれほど困難な因果も呑みこんでやる。




 脳裏に突如として響いた幻聴であろう声に、心の中でそう呟く。

 その瞬間、天秤の二つの皿に中空から真っ赤な液体が降り注ぎ、――ガタンと傾いた様な音が耳朶に響いた。



 ――そうして、とある迷宮の奥深く、一人の少年は終わりを迎えた。

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