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歯車の欠けたオルゴール  作者: キリン
「記録壱」怪我をした少女
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時間の無駄、故に掃除

 じっと待っているというのは、時間の無駄だと思う。


 賢明な判断から即座に行動を起こせるのは、優秀な機械の印だ。課せられた命令の他に、空いた時間で出来ることを判断・遂行する。それでいて「余計なお世話」という評価を受けないギリギリの独断行動を行えるのは、この世界に置いて私ただ一騎のみなのではないだろうか?


 自画自賛を交えながらベッドから立ち上がった。

 まずはこの部屋を掃除せねばなるまい。三原則第一条「人間の安全性」に基づき、これより私は全ての汚れ、穢れ、蓄積した不要物を除去する的確行動「掃除」を行う。


 丁度部屋の隅にあるホウキを握る。ホウキの使い方がきちんと分かるのは、予備知識の「ホウキの使い方」をダウンロードしたからだ。

 床を掃けば粉塵が舞い上がった。人間であれば呼吸器官にゴミが侵入し、咳が止まらなかった事だろう。この埃の量では換気をした方がいいと判断、私は玄関と窓を開けた。


 掃いても掃いても、塵は出てくる。数年間掃除をしていないレベルの汚さ、あの少女の体がボロボロになっていてもおかしくない。

 ……それにしても、この家は中々に広い。小さな少女一人が住むには大きすぎる。最低でも母親と父親、大人があと二人住んでいそうな家だ。

 あの少女の両親は死んだのだろうか? よくある話ではある。人間は脆弱、しかも予備知識によれば、最近は国と国との間の戦争が増えているんだとか。男は軍人として戦場へ、女は死ぬまで働かされるか飢餓で死ぬか……まぁ、実際に見ていない私には分からないが。


 ただ、体調管理が難しい子供だ。体調の変化や以上にすぐに察知できる人間が近くにいないというのは、とても危険だ。掃除がされていないこの部屋が、それを証明していた。


 まぁどちらにせよ、私がやる事は変わらない。あの少女の「生きる」を補助・観察……少しでも人間のデータを集めなければ。


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