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片割れの魔女 たいへ~ん、私達のお家がつぶれちゃった!! 師匠の偽物め、私は絶対に許さない!!

 右の扉から出た魔女は、屋敷の中にいた。

 大きなシャンデリアの灯りが部屋を照らし、品の良い調度品が置かれた広間であった。

 窓から見える景色は、雪がちらちらと舞い、遠くにある山は真っ白だ。

「お師匠様、おかえりなさいませ」

 ローブを羽織った栗毛の少女が出迎えた。目が悪いのか、眉間にしわがよっているものの色も白く、小柄なかわいらしい娘だ。

 手に持つ杖が頭一つ分大きいのが、またかわいらしいものよと魔女は微笑みを浮かべ

「ただいま、何か変わったことはなかった」と挨拶をした。

「もうしわけありません。一つだけありました」

 少女は悲しそうに顔をうつむきながら言う。

「まぁ、なにがあったの?」

「それは・・・」

 悲しそうな少女を抱きしめようと、魔女が近づいたとき、少女は顔を真っ赤にし怒りを魔女へむけた。

「この偽物め、なにが狙いよ」

 魔女の頭へと杖が振り下ろされるが、魔女は後ろへとバク転しかわした。

「いくら師匠に姿形を真似ても、指先のシワの形が違うのよ」

「えっ指のシワ?」魔女は指先のシワ(指紋)をまじまじと見てみるが、なるほど細かい紋様としか、わからない。

「ふふっっ、こんな細かい形を覚えているとは、たいしたもの。だが、魔法を習う者なら、相手の力を感じるのが大切よ。このようにね!」

 魔女は右手に力を込め、前へ向ければ、魔女の右手に白く輝く玉が浮かび上がる。白く輝く玉から漏れ出す力を感じて、少女は両手に持った杖を前に出し、歯を食いしばる。

「ほほほっ、力を見せねば分からぬのは修行がた・・・ん?」

 悪党らしく嫌みな言葉に続けて、どら説教の一つでもと口を開けた魔女は、右手の球体に違和感を感じた。

 魔法で組み上げた球体が、魔女が思っていたより、少し大きい。いや、徐々に大きくなってきている。

 球体内の力が大きく動いているのを感じ、これはまずいと球体を打ち消そうとして、爆発した。

 屋敷全体を揺るがす爆音、部屋の天井が崩れ、落ちてくる瓦礫と白煙が視界を覆い隠す。

 どこからか強い風が入り、周囲の煙を取り除いていく。爆発の中心部辺りの瓦礫が宙に浮き、瓦礫が左右へと移動する。

 瓦礫の中から魔女が出てきた。服はあちこち破れ、顔はホコリやススで汚れている。

 口の中にまで、ホコリが入っているのか、魔女がセキをするたびに白い煙がでる。

 周囲を見れば、少女が杖を構え、瓦礫の間を歩き魔女へと近づいてくる。

 これはたまらないと、魔女は目くらましに瓦礫を宙にあげ、風で周囲のホコリをかき乱し逃げることにした。

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