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災厄の双子 赤子を捧げられる

「ねぇ貴女。お肉食べれる?」

「いいえ、当分は無理だわ。貴女もよね?」

 双子の魔女は、心底嫌そうに顔をゆがめ、互いに同意するようにうなづく。

 人気が無いところで着陸し、歩こうとしたときの第一声である。

「「ぬあぁぁっ! やりすぎたぁっ!!」」

 互いに頭を抱え、地面へ倒れる。それぞれ小声で、弁明するようなことを言い、ごろごろと転がる。

 内容は・・・司教このエロ野郎とか、野郎ばかりで怖かったとか、悪人面ばかり、ついやりすぎた、演出過剰だとか等々。

 ひとしきり転がった後、互いに顔をあわせ

「「逃げましょう!」」とうなづき、「北へ!」「南へ!」

「「・・・はっ!?」」

 答えが違ったことに驚いたのか、互いに沈黙し、遠いところを見て

「「家に帰ってかんがえましょう」」と先送りにした。


「「まぁまぁ、なんてこと!?」」

 双子が根城とする森の前に、赤ん坊が2人入ったカゴがあった。周りには季節の野菜や果物、穀物やイノシシ等が置かれ、赤ん坊には呪い的な化粧が施してある。言わずもがな、近くの村から双子への上納金・・・もとい生け贄である。

 心底嫌そうな顔で互いを見つめ合うも、何かに気がついたのか、無表情へと戻り

「「ほほほほっ、これはこれは男女の双子とは珍しい。根幹は同じなれど、全くの別、これは素晴らしい。この素材で、滅多にできぬ強力な呪いができよう。この褒美は、十年の豊作でも足りぬ。どれ、関でも作り川を鎮めてやろうか」」

 互いに笑い声をあげるなか、少し離れたところで人が慌てて走っていく姿がある。双子はその姿を横目で見ながら、半ば自棄になったのか顔に力を入れて、笑い声をあげる。やっと姿が見えなくなり、互いに顔を見合わせて、ため息を一つつく。

「「今夜中に、土に栄養を与え、適当に関を作りましょう。それで赤ちゃんをどうするの?」」

 双子の魔女は、世間一般では悪いイメージを持たれていることは知っているし、そのイメージを守っている。しかし、さすがに赤ん坊で何かをするのは気分がよくない。互いに解決策を出し合うが、それは可哀想との理由で互いに却下していく。

 意見を出し尽くしたところで、互いに手を取り合い

「「他に預けるには問題があるし、私達で育てましょう!」」

 双子は朗らかに笑いあう。

「そうと決まれば、赤ちゃんには、健やかに眠れるよう呪いを」

 片方が、赤ん坊に浄化と睡眠の魔法をかけるため頭をそっとなで

「そうね、赤ちゃんには、温かな毛を持つ獣を守護者に」

 片方は地面に印を描き、大きな黒猫を召還し、その上にそっと赤ん坊を寝かせた。

「「さぁさっさと、終わらせましょう!」」

 双子の魔女は袖をまくり上げ、拳を突き上げた。


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