狐耳族 キシリアさん
見切り発車中につき。
「やっ!?やった?!やったよ!みんな!」
じょわわ〜〜〜〜!
その日、私は生まれて初めて、嬉ション
(嬉しすぎてお漏らしする)というものをした。
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その日は私にとって長い長い一日だった。
パーティーのリーダーであり、同時に狐耳族の
獣人でもある、私、キシリアは例のダンジョンに
潜っていた。
☆ 1周目
「出た!出た!本当にでたよ!スキル:オーバーキラー!」
「ウチも!ウチも!ムッフフー!幸先いいにゃ〜!」
酒場で噂になっていた、スキル(上級)のドロップスキル
、オーバーキラー。
私達のパーティーはこれを求めて、やってきていた。
「この分なら、苦労しなさそうだが、油断は禁物だ!
皆、気を引き締めて行こう!」
「うん!」
「はいにゃ!」
「わかったよ。」
私達のパーティー構成は、獣耳族で構成されている。
獣頭族と獣耳族の違いは、
獣頭族は顔が完全に狐だったり、猫だったりするのだが、
獣耳族は耳と尻尾だけ、獣の物が生えており、他は
人の姿と変わらない。
そして、獣頭族と獣耳族の間での同族意識も皆無である。
例えば、狐の獣頭族と、狐の獣耳族の間には、
別段何の感情も無く、同族である意識すらない。
生物学的に、言えば繋がりが有るのかもしれないが、
そんなこと、考えもしない。
完全な別種扱いで交流もゼロである。
獣耳族は多岐にわたり、
狐や猫、兎にジャッカル、カンガルーなど
ピューマとヒョウにいたっては、外見は似ているが、
纏っている雰囲気で分かるらしい。
獣耳族の亜種として、尾長族。背中に退化した
小さい羽根と、尾だけが鳥の者。
主に鳥類の亜人までいる。
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☆ 5周目
「出た出たー!後はリーダーだけ?」
「うん、後は私だけだな!よっし!気合入れてくぞ!」
「はいにゃ!」
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☆ 10周目
「うーん、出ないね?」
「そだねー。でも、皆すぐ出たしリアルラックが
悪いだけかな?」
「リーダー物欲センサーに引っかかってる?」
「オカシイなー?あれー?私そんな物欲あるかなー?」
「リダ、気にするなにゃー。」
「うん!」
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☆ 15周目
オカシイ…。何かがオカシイ…。何か気のせいか
誰かの悪意を感じる…。
「どういうことにゃ?リーダーだけでないにゃ?
ダンジョンメッセージさんに悪いことでもしたにゃ?」
「ブルブル!してないしてない?!」
「あーれー?リーダー嫌われてる?
ダンジョンメッセージさんに?」
「え?あれー?私何かしたかなー?」
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☆ 20周目
ヤバい…。パーティーメンバーの視線が痛い。超痛い。
痛すぎてマトモにメンバーの顔が見れない…。
「リダ完璧嫌われたね?ダンジョンメッセージさんに?」
「う、うん…。」
「リーダーそういうこともあるにゃ?」
「う、うん、分かってるけど。これ、ヘコむ…。」
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☆ 25周目
「リーダー?いくらなんでも私達でもおこるにゃ?
これはダンジョンメッセージさんに
嫌われまくってるにゃ。確定にゃ。」
「謝ろう?リーダー?」
「あーれー、私何もしてないと思うけど?
あー?れー?」
「嘘はいけないよリーダー?何かしてないと
こんなに嫌われないよ?」
「あるぇー?(てか、何で、嫌われてるの前提なの?)」
「リダ!め!」
「わ、分かった。」
私は、仰向けになり、お腹を出して、
犬が服従するようなポーズをとった。
これが、獣耳族の最大の謝り方だからだ。
「ごめんなさいダンジョンメッセージさん。
許してコン!!!」
「それでいいにゃ、リーダー。」
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☆ 30周目
「リーダー?これは言いたくなかったけど、
ダンジョンメッセージさんのこと馬鹿にしてるにゃ?」
「うん、リーダー答えて?
ダンジョンメッセージさんのこと見下してるの?」
「(な、何でダンジョンメッセージさんに話の矛先を
持って行くんだ?で、でも、皆怒ってきてるから
何も言えない)い、いや、ホントね!?
あのね?!絶対そんな事思ってないから?!」
「リーダー…見損なったよ…。」
「ひぐ?!(てか、ダンジョンメッセージさんて誰?!
ダンジョンメッセージに人格とかあるの?
教えて誰か?!)そ?!そうじゃないの!
ね?信じて?!」
「リーダー最低…。」
私の中で何かが壊れていく。
オカシイ…。メンバーの私を見る目が冷えていく。
私はいつだって皆の先頭に立って皆をまとめてきた。
そんな自分が今は皆からの汚物を見るような目に
晒されている。
私のプライドが頭からガラガラと音を出して
崩れていった。
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☆ 35周目
「リーダーもしかして私達まで、馬鹿にしてる?」
「し、し、し?!してない?!してない?!」
「えと、リーダーって優等生だから、私達なんて
、、、ふーん、そうかー…。」
「ちょっとまって?!お願い信じて!」
「口ではそう言って内心ではどうだか、、、」
「お、お願い?!信じて?!うぇ…。」
「やだリーダー嘘泣き…。」
「下衆にゃ…。」
「(いつも慕ってくれる、にゃー子まで?!?!)
ひっく、私頑張るから!?頑張るから!?」
「「「「「 ………。」」」」」
何でこうなったんだろう?
私ってこのパーティーに居ちゃいけないのかな?
心が灰色になっていく。
ボロ雑巾を見るようなメンバーの目と目。
もっとちゃんと謝ればいいのかな?
「あ、、、あうぅ…。」
「「「「「 ………。 」」」」」
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☆ 38周目
「やっ!?やった?!やったよ!みんな!」
「やっと出たね。」
「ふう、どうやらダンジョンメッセージさんも
許してくれたらしいし許してやるにゃ。」
じょわわ〜〜〜〜!
私は余りの嬉しさと粉々になったプライドの間
で失禁してしまった。
これが嬉ションというやつか!
ああ、いいんだ!
いいんだ!
漏らしちゃったけど、こんなに嬉しくて!
こんなに気持ちよくて!
もう訳が分からない!!!
「リダ汚え…。近寄るな。」
「リーダー変態にゃ。」
「もう、精悍さの欠片もないな。」
「うぇーーーーーーーーーーーんぅぅぅ!!!」
「近寄るなっての…。」
「ほら、帰るにゃリーダー。」
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俺はこのダンジョンの主、アンク
「やり過ぎちゃったかな、ダンジョンメッセージさん?」
「おそらく、もう立ち直れないかと。」
「だよね…。思ったんだけど、
何でこのパーティーメンバーってダンジョンメッセージ
さんのこと知ってるの?」
「おそらく、獣耳族特有の第六感ではと考えます。」
「何か、リーダーへの責め方が怖かったね、、、。」
「まったくです。私を引き合いに出されるのも心外
でした。」
「そだよね…。
あんまり追い込まれると、自分がいけないって、
自己否定しちゃうんだよね。リーダーの狐耳族さん
には、今度、ダンジョン来た時、
フォローしとこうか。」
「はい、魔王神さま。」
怖かったな、、、。




