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吟遊詩人のマーチ

見切り発車中になります。



「戦士達に気炎の力を!剛の者の行進!!」


ピューールルルー!


「戦士達に大鷲の眼を!賢の者のオッドアイ!!」


ピリリーピュルー!


「賢者達にマナの息吹を!金色のオアシス!!」


ピューーーピリリーー!



私の名前はイレーザ。

今、朝の7:00。毎日の日課の喉の調子を確かめる為、

詩を歌っている。

昔の詩は、朗読のような感じだったらしいが、

現代の詩は、「詩」というより、「歌」といった感じに

近い。

まず、専用の詩を歌って?それから、楽器を奏でる。

この一連の流れで、強化詩や弱体詩の効果が発揮される。


効果の高い高LVで覚える詩になるほど、音域も上がって

いき、男性では歌えない程になってくる。

そして、詩と楽器の音を外すと詩の効果がだだ下がり

になってしまう。


なので、こうして毎日、喉の調子を確認している。

喉はとても繊細なので、日によって出せる音の高さが

少し変わってくる。

今日は喉の調子が悪くて、高音域が辛いなと思ったら

、戦闘ではあえてLVの低めな詩を選択する程だ。


そんな、吟遊詩人なのだが、近頃、はぐれ吟遊詩人界隈

では、あることの話題で持ち切りになっている。


曰く、「ミックスボイスなるもので歌うと、歌の効果が

    劇的に上がるらしい、、、」と。


はぐれ吟遊詩人の友達とあった時は、このミックスボイス

の話題で時間が潰れる。情報交換だ。


曰く(いわく)、地声と裏声を滑らかに繋げる、

        テクニックらしい。


曰く、地声と裏声を滑らかに繋げた際に、発声される

   特殊な声の種類らしい。


曰く、ミックスボイスを用いれば、高音域も地声の

   ように歌え、それを聴いたものは感動するらしい。


曰く、一朝一夕で出せることは稀で、修練が必要らしい。


曰く、曰く。


もう何が何やら解らないので、友達ではぐれ吟遊詩人

のアーシアにミックスボイスで歌えるという、

これまた、はぐれ吟遊詩人のサーナさんを

紹介してもらい、歌声を聴かせてもらえることに

なった。


________________



「宜しくお願いします!サーナさん!」

「ふふ、宜しくねイレーザ。」

「早速だけど、聴かせてもらえる?」

「ええ、分かったわアーシア。今日は喉もバッチリ

 で、調子いいし。」


サーナさんはそう言うと、ヒヒイロカネの琴を構えて

歌い出した。


序盤の歌い出しの低音部から歌中盤の中音部へ。

そして、歌終盤の高音部へと滑らかに声が移行する。

私では裏声になってしまう高音部も難なく、

地声のようなそうでないような響きの声で歌い上げる

サーナさん。

そして、何よりも耳を疑ったのが、低中音部での発声が

とても艷やかに聴こえるのだ。


パチパチパチ!!


「サーナさん!綺麗でした!!!」

「ありがと。どう?ミックスボイスがどんなものか

 少しは掴めたかしら?」

「はい!今歌ってもらったような声で歌えば

 いいんですね?」

「正確には、ミックスボイスで歌おうとするうちに

 、少しづつ歌声が出来上がっていくのよ。

 だから、歌声を真似するだけじゃきびしいかも

 しれないわ。

 色んなニュアンスを取り入れたり、色んな歌い方の

 アプローチをしていくことで、いつの間にか、

 ミックスボイスの感覚を掴んでいくの。

 そうね、、、私の持ってる感覚は、序盤の低音部は

 裏声の筋肉で歌って、終盤の高音部を地声の筋肉で

 頑張って歌うって感じだわ。」

「普通、低音部って地声の筋肉で歌いますよね??」

「そうね、でも理屈で考えずに色々試すの。

 そして、最終的に上手くいったものが正解。

 理屈は後から付いて来るわ。まずは実践ね。」

「そうか、、考えずに実践か。」

「私も、いろんな人に聞いて、それを実践

 していったわ。そうやって、出来上がっていくの。

 自分だけのオリジナルのミックスボイスが。

 だから、ミックスボイスのことをオリジナルボイス

 って言う人もいるわ。」

「オリジナルボイス、、。」

「そうそう、人によっては

 年単位の習得を視野に入れないといけないかもね。」

「うぐ?!そんなに?」

「ええ、更には色んなことを試してるうちは、歌声が

 汚くなっちゃうこともよくあるから、支障のない

 範囲で練習するのも大事ね。」

「解りました!今日はありがとうございました!!」

「困ったことがあったら、また言ってね。」

「はい!」


____________


サーナさんにミックスボイスのコツを聞いて、

ひとまず分かった事がある。


今の私にはミックスボイスは無理だということが。

なので、無理せずに今まで通り歌おうと思う。


「それにしても、サーナさんの低音、綺麗だったなー。」


私は、夢見心地で回想するのだった。


______________


俺はこのダンジョンの主、アンクだ。


ダンジョンは連日大賑わい。

スキル:万能感知のおかげでダンジョン内の様子は

手に取るように解る。


それはもう、悲喜こもごも、色んなドラマが

ダンジョン内で毎日、繰り広げられている。


惜しい!実に惜しい!!


皆にも見せたい!!

ほんとに!!


「ダンジョンメッセージさ〜ん?」

「はい、魔王神さま。」

「ダンジョン内の様子って、冒険者の皆に

 見せれないかな?」

「写真などなら可能です。

 動画を録画するのであれば、私の処理能力では

 できる事に限界があります。

 Live動画などはいかがでしょうか?」

「なに?Live動画って?」

「はい、ダンジョン内のパーティーの様子を

 リアルタイムで掲示板のモニターに映すことが

 出来ます。」

「ほえ〜、あ、でも、掲示板のモニターって

 1つの門につき、4つしかないよね?」

「今以上の混雑が予想されます。」

う〜ん、混雑の緩和か、、。

「では、こういうのはいかがでしょう?

 大きいモニターを用意して他国のダンジョン内の

 様子を映します。

 現在、各国各々、国ごとによって、ダンジョン攻略の

 仕方が違います。

 なので、他国の攻略を見る事は自国の攻略の参考に

 なると思います。」

「う〜ん、それも採用したいけど、何か物足りないな。

 なんか、人の攻略法をなぞるだけだと、

 いつまで経っても、なんちゃって玄人の

 ままなんだよね。永遠と最大効率の動き

 ばっかりして、相手に対応されやすいばかりか

 挙げ句には、「なめプ(相手に遊ばれる)」

 なんかされちゃって、初心者から全然脱却

 出来ないんだよね。」

「どうなさいますか?」

「俺が一肌脱ごうか、、、。」


この世界の東、遥か東方に和の国という所で

「囲碁」というボードゲームがある。

その「囲碁」には、師匠が弟子に教える、

指導碁(教え碁)というものがある。


この指導碁(教え碁)、普通の対戦する囲碁とは違い、

まず対戦では、対戦相手の弱点があればそれを突いたり、

相手のやりたい攻めを潰したりしながら、勝利を目指す。


一方、指導碁(教え碁)は、師匠が弟子に好きに

攻めさすのである。

その際、重要なのが、弟子のやりたい攻めを適度に

防ぎながら最後まで攻めさすということ。

勿論、弟子の弱点も突かない。

稚拙で幼稚な攻めでも、攻めの途中で潰さない。

必ず、攻めが最後まで完成して形になるまで

攻めさして、その上で潰すのである。


そういう風にやることで、弟子は「ああ、この攻めは

相手に通用しないんだな」と、諦めて、今の攻め方を

アレンジしたり、違う攻めを試してみたりして、

次のステップへ進んでくれる。


人間諦めが肝心と言うが、この諦めることが大事

で、次のステップ(技術のLVアップ)に繋がっていく。


これが出来ない人はアホみたいに永遠、

繰り返してしまう。


いい師に恵まれること。とは、指導碁(教え碁)を

正しく理解している師匠に巡り合う。

こういうことを言ったりする。


んで、この指導碁(教え碁)もとい、

指導戦をダンジョンに入ってくる冒険者に

施したい。

悲しいことに、冒険者は脳筋の割合が多い。

それはもう、、、。

ほんとに、、。


さて、どうしよう?

脳筋だよ?

自分に「様」とかつけちゃう脳筋様だよ?

ワクワクしてくっぞ。

そうだ、俺も脳筋になればいいんだ!!

いや待て、落ち着け俺?


あ?!そうだ!引退した冒険者っていっぱい余ってるから

、雇っちゃえばいいんだ?!

これだよこれ!

ある程度、名声を極めた人でも、今度は指導者として

成功するか?っていう次のステップで躓いたりしちゃう

んだよね。

そういう人をサポートして、自分の教えた冒険者を

競わせる。ブリーダー魂ってやつか?!


ついでに、指導者にもクラスを授けちゃおう。

指導者クラスSSとか。


並の冒険者は貯蓄があまりない。引退したあとの事が

不安だろう。

そこで、引退した後の指導者としての第2の人生。

いい、夢がある!

ちゃんと、指導碁(教え碁)の概念を叩き込んで、

クラスAの冒険者には元クラスAの指導者を。

クラスCの冒険者には元クラスCの指導者をあてがう

ようにすれば、あぶれる指導者もいないだろう。


よし!立て札に書いておこう!


「引退した冒険者さんへ。

 ダンジョンで働いてみませんか?

 現在、冒険者への指導員を募集中。

 魅惑的な職場環境!

 自分のスキルを活かしませんか?

 引退前の冒険者クラスによって、指導する

 冒険者を決めるので、心配ありません。

 どしどし!ご応募ください。」


______________


とある酒場


「おい、マーク聞いたか?」

「おう、ライン、ダンジョンの指導員の話だろ?」

「ああ、どうする?」

「俺はいくぜ。試してみたいんだ、自分の第二の

 可能性ってやつを。冒険者としてはうだつの

 上がらなかった俺だが、人に教えることだけは

 皆から褒めてもらえていた。狙ってやるさ、

 クラスSを!指導者の立場でな!!」

「マーク、、、俺も募集しようとおもってる。

 まあ、動機はお前と違って夢が無いが。」

「何言ってんだ、、、可愛い奥さんに飯を喰わせる。

 これ以上の夢があるかよ?」

「ああ、メルシャには色々我慢してもらってる、、。

 少し位は贅沢さしてやりてえんだよ。」

「ライン、目指そうぜランクSの指導者ってやつを!」

「ああ、メルシャに腹いっぱい喰わしていい思い

 さしてやるぜ。待ってろよメルシャ!

 俺の愛をくらいやがれ!!」


俺はダンジョンの主、アンク。


ダンジョンの指導者の募集の反応を調べに、酒場に

やってきているのだが。


「サーガス?どうする?」

「いいじゃねえか?腕がなるってもんだ!

 近頃の日和った冒険者に修羅場の毎日だった、

 昔の冒険者の気質ってもんを叩き込んでやる

 いい機会だ。俺は今日限りで冒険者を引退する。

 そして、ダンジョンの募集にのってみようと

 思うぜ。ジルはどうする?」

「あたしももう33だからね。」

「まあ、引退するにはいい頃合いだな。」

「あたしも、サーガスと一緒にいったらだめかい?」

「いいぜ!日和った冒険者をビシビシ叩いて

 やろうぜ!」

「(告白したつもりだったんだけど、、

  気付けきゃしないね、この脳筋は、、、、)

  はあぁぁ、、、ああ、そのつもりだよ。」

「へへへ、楽しくなりそうだぜ!」


至るところで、話題になっている。

俺は手応えを感じつつ、ダンジョンに

帰っていくのだった。


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