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76話 全力の懇願。


 76話 全力の懇願。


「高位のドリームオーラを使われたら、銃も爆弾もほぼ効かん」


 絶対無敵ではない。


 だが、『HP100億』で『毎秒1000万の自動HP回復』のスペシャルをもつ神格に、1や2のダメージを与えることに、何の意味があるというのか。


「多少のダメージは与えられるかもしれんけど、自動回復されてしまいや。携帯ドラゴン以外に『魔力型兵器』を持っていない人類は、抵抗できずに、圧殺される。あんたみたいに、えっと……『内気の鳴動』やったっけ? そういうのを練れる人間はそうおらん」


「……」


「本音を言おうか。あたしは、別に、すべての人を守りたいってワケやない。知らん人の事とか、マジでどうでもええ。ただ、自分にとって大事なものは、全部守りたい。あたしの人生は、幸福でいっぱいってワケやなかった。理不尽な地獄を何度か見てきた。でも、だからこそ、『幸福』の価値が、ハッキリと分かるんやろう、とも思う。生まれた瞬間から幸福で、ずっと、幸福のままやったら、それが当たり前すぎて、幸福の価値が理解できんかったやろう。地獄を経験したことを良かったとは思わんけど、あたしの中に刻まれた『痛み』は、とてつもなく大きな財産となり、今のあたしを支えてくれとる」


 トコは、バーっと、自分の想いを吐露してから、


「あたしは『あたしを守ってくれた家族』を守りたい。『あたしを愛してくれた友達』を守りたい。『あたしを守って死んでくれた先輩たちが守ろうとしたもの』を……あたしは、何が何でも、守りたい」


「……」


「せやから、たのむ。この『健気で可哀そうなあたし』を、どうか、後生やから、助けてくれ」


 そう言って、頭を下げるトコ。


 その懇願に対し、センは、


「……」


 ほとんど反射的に、スっとソッポを向いた。


 何を考えているかわからない顔で、

 窓の外の雲を眺めているばかり。

 決して、窓の前に立っているメイドさんを見つめているわけではない。


 ――この期に及んで、一切、気前のいい返事をしてくれないセンに、

 トコは、普通にイライラして、


「もう、ほんま頼むわ! この際、全部、ぶちまけさせてもらうけど! あたしら、全員、一杯一杯やねん!」


 狂ったように、頭をかきむしる。

 そこに『演技の要素』はわずかもなかった。


 高校入学前に起こった『GOO大戦』で、

 『十九人もいた心底頼もしい先輩達』や、

 『無敵だと信じていた超人の親友』――が、

 目の前で次々と、呆気なくバコバコ死んでいき、


 最終的に、それまでは何も考えず先輩達についていくだけで良かった『紅院』が、

 いきなりリーダーとして、生き残った連中を引っ張っていかなくてはいけなくなった。


 『ミレーが気丈に頑張ってくれている』のだから、

 『姉である自分トコが折れるわけにはいかない』と、

 トコも必死になって虚勢を張って、

 毎日を必死になって生きてきた。


 けど、もう限界だった。

 現状という重荷は『所詮ただの女子高生でしかないトコ』に耐えられる絶望じゃない。



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