魔法事情が残念な件
「…ふんぬっ!!」
掛け声と共に地面が900×1900×4000の直方体でズボォと持ち上がり、空中に浮いて下の地面には同じサイズの空洞ができる
おし。いい感じ
婚約者溺愛系王子のエルグランドです。翌朝一応兵士が穴の中をチェックしたが俺がクソピンクの死骸を隠すために適当に積み上げた土砂を崩落の前触れと勘違いしたらしく、かなりしっかり埋めてくれた
クソビッチヒロインよ、大地の栄養となれ
そしてただいま魔法の練習中。マリアだけ連れて騎士団の演習場の隅っこの死角なスペースでこっそりとな!
魔法に関して俺は…チートと言えばチートかも知れないけどやっぱりちょっとチートとは言えない、みたいな感じである
このもどかしさよ!!
乙女ゲーム転生風の世界だからか、この世界の魔法は定義がフワフワしている
きちんと体系化している魔法技術は騎士や兵士、冒険者や力仕事の職人とかが使う身体強化魔法のみ
暖炉に火を灯すとか、少し水を出すとかは平民でもみんな親から教わって何となくやってるといった感じのようだ。マリアもたまに水を出してくれるし
身体強化だけ体系化して普及してるのは身体に魔力を巡らせてパワーアップ!!ってのが誰でもイメージしやすいからなんだろうな
実用レベルで攻撃や防御に活用できるような火やら水やらの魔法を使える奴はそれだけで天才扱いであり、ほぼ居ないのだ
魔物が居て冒険者ギルドがあると聞いた時はテンション上がったけど、魔物もそんな強大ではないみたいだし、前世でいうところの熊を猟友会が仕留める的な位置付けっぽい。夢がない
一応自然四属性の概念もぼんやりあるけどきちんと細分化や体系化がされてる訳じゃないしな
要は自分の魔力を感じ取り、制御さえ出来る様になったらあとはイメージ次第でかなり万能だ
実際、ピアノ線だって土魔法の応用だし身体強化も近衛騎士とかにも負けないレベルだと思うし
そうなると「前世の知識でやりたい放題キタコレ!!!」と思うだろ?!
俺も魔法のことを大体理解したあと「チートキタコレえぇぇぇ!!!」と喜んだものだが、一つ問題があったのだ
魔力量が全然チートじゃなかったんだよ!!
王族だからそれなりに多いけど、前世知識フル活用のとんでも攻撃魔法なんか使ったら一発で魔力切れ起こして丸一日寝ないと回復しないだろう
なんというか、みんなポケベルでたまに天才がPHSのところに一人だけMocBook Proだけど充電器が心許ないみたいな…残念だ!!
まあそんなわけで魔法に関しては無難なやつは最近チラホラお披露目しており「才能が凄い」みたいな評価になってはいるが、王族をやるにあたって魔法の才能は何にも役に立たないから問題無い
それにどっちみち次期公爵だしな
とにかくレパートリーだけは無限大に考えつくので将来ティナを守るための魔法を沢山編み出しておこうと思う
昨日の害虫は転生ビッチっぽいことを言って死んでいったが、そこはぶっちゃけあまり重要じゃない
ここは間違いなく現実だからだ
昨日の害虫がこの世界を乙女ゲームだと思っていたのかは正直もう確かめようがないしな
問題なのはティナが非常に誤解されやすいという事実があることだ
結婚して公爵夫妻になってしまえば屋敷の皆はティナにとって旧知の間柄だし旦那は俺だから問題ないが15歳から18歳まで学園に通わなきゃいかんみたいだしな…クソが。
ティナはとても繊細で引っ込み思案で人見知りな女の子で、悪意にすごく敏感なんだよな。
他家のお茶会とか、ガチャガチャした場ではどうすればいいかすぐ分からなくなって表情が固まってしまう。それが怖く見えるのと権力も相まって遠巻きにされて悲しみ、余計表情筋が固くなってしまうスパイラルのようだ
でも心から信頼している、彼女を大切にしている人達の前ではちゃんと笑顔になるのだ!
ちなみに!!
俺には笑顔を見せてくれるぞ!!えっへん!!
…まあとにかく転生者らしきメスガキは殺したがティナの性格が誤解されやすいため、寝取りクソビッチ行動を仕掛けてくる平民や下級貴族の身の程知らず雌ドブネズミは今後も出て来ることが予想されるわけだ
そういうクソ雌に攻略対象的な地位と顔だけの女を見る目ゼロな童貞脳共が味方すると厄介だからな
今開発した魔法は名付けて強制土葬だ!
中世風味なこの世界は舗装されてない場所が大半だし、科学捜査とか無いから大体これでいけるだろ




