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初登校デートでほのぼのな件




「エルはいいよねぇ。セレスティナ嬢も一緒なんだから」


「…ものは考えようですよ兄上。私はティナやティナの友人達を護ることを常に念頭に置かなければいけないのですからね


兄上の場合、トリッシュ殿下は言わば要塞におりますから様々な下らぬ懸念とは無縁ではありませんか」


「…いやまあそうなんだけどねぇ…エルは詐欺師の才能があるなぁ」

「なんでやねん」




「ぶっ…エルグランド、クリスのことも頼んだぞ!」

「はっ!」





やあ。

ついに入学式なエルグランドだよ。兄上のやっかみをうまくかわしたつもりだったのに詐欺師とか言われて納得行かん!

とりあえずお義姉様には敬礼!



今は王宮の朝早い時間。兄上とトリッシュ殿下とのイチャイチャお別れ会が目に毒です。

……今生の別れみたいな雰囲気出してるけどあなた方毎週末会うことになってますよねぇ?!

あと俺をイチャイチャに巻き込まないでくれ!義実家にティナ迎えに行くことになってんだからさぁ!じゃあまた後でな!





というわけで到着!



俺の服装は気合い入れて王家御用達オートクチュールのおばあちゃんとデザインの協議を重ねた三揃いのスーツ?だ。この国の正装は上着がコートみたいに長い



なんていうのかな?70年代頃アメリカに渡ったイタリアンマフィア達の間で大流行したズートスーツの、ズボンがシュッとしてるバージョンみたいな奴だ。あれはズボンのワタリがニッカみたいにダボっと膨らんでるからな



まあとにかくスーツはシルバーの上等な生地に紫の糸の刺繍をふんだんに入れたデザインになっている。要するにティナの髪と瞳の色だ。

"私は貴方のものです"アピールはどっちかっていうと令嬢がやることらしいが、まあ俺はお婿さんだしいいだろ!



「さあ、参りましょうお嬢様」

「うぅ…はい」



手を差し出すともじもじするティナが可愛すぎる!!

そして露出は控えめながら、上半身のラインが結構出ているブルーの落ち着いた七分袖のAライン、そして胸元と袖口に豪華な金糸刺繍をあしらったドレスがティナの美貌に花を添えている。俺が贈ったものではないから公爵家で仕立てたやつってことだよな…嬉しいサプライズ!



「殿下、このデザインお嬢様のご希望なんですよ〜」

「恥ずかしがりながらデザイナーさんと話し合うお嬢様はぁ…控えめに言って女神でしたわぁ」


「も!もう!貴女達は〜!」



ニヤニヤニヨニヨなフィリーネさんとマリアにプンスカ怒るティナが女神過ぎて昇天しそうだけど我慢!

微笑んで手を振るアゲーラお義母様、頼みましたぞ!と目で語りながらゆっくりと頷くお義父様、勢揃いした使用人のみんなに見送られて俺たちの馬車は出発した。荷物はすでに寮に運び込まれてるので手ぶらなんだが…




…ていうか、今更だが全寮制って何?

馬鹿なの?重要人物が1箇所に集まって寝泊まりってアホか?



まあたしかに毎日通学となると個別に攫われたりとかそういうリスクもあるから、学園内部に留めた方が防衛の効率はいいかも知れんが




それからもう一つ不満なのが、ティナと一緒に受けられない授業が結構あるってとこなんだよな!だからこそソフィーに護衛をお願いしてるわけだが。あ、彼女とは現地集合だぞ



血筋優先と乗っ取り防止の観点から女当主もチラホラとは居るんだが、基本的には男女の役割がキッチリ分かれてる世界だからなぁ



…とりあえず卒業したらソフィーには王家のコネをフル活用して選りすぐりの縁談を用意するか。まあ卒業時点で本人が決めた人が居るならそれで良しだしな



因みにティナの親友3人組、フランとセレナとエセリアは婚約決まっていて、婚約者との仲も良好だ。

全員3つ上なので学園に一緒に通えないというデメリットはあるが。つまりトリッシュ殿下と同い年の令息達だな。




彼等は将来クリス王太子とトリッシュ王太子妃、ゆくゆくは国王夫妻を支えるために選ばれた選りすぐりの令息だ。間違っても寝取りアバズレクソビッチヒロインに靡くような人達じゃない。俺も審査に参加してるから間違いない!



そして!

あとから知った話なんだが、もし俺が攻略対象風味の馬鹿のままだった場合、3人の婚約者はアリシアの逆ハー要員だったあの馬鹿共になっていた可能性が高いらしい



強制力とかそういうオカルトめいたものではなくて、単に家同士のアレコレでそうなってた可能性が高いというわけだが…いやもうほんと、テンプレ展開的運命?いい加減にしろ!!



俺が前世の記憶戻ってなかった場合、まんま冤罪をふっかけられるまともな女の子×4(被害者)VS自称被害者の害虫(ヒロイン)の周りに侍って真実の愛()を囁く童貞脳丸出しの女を見る目が破滅的にないゴミクズ婚約者×4の構図じゃねーか!ほんと勘弁してくれや



さて、もう学園に着くな。

王都の中心である貴族街の中にあるからすぐだ。




「…ドキドキしますわ」

「俺もだよ。有意義な3年間にしよう!いっぱいデートもしようね」

「は、はいですわ!」


か わ い い!!!

ツンとした表情からぱあぁっと花の咲いたような笑顔になる落差だけでもうキュンキュンするわ!…まあ手はずっと繋いでるんだけどな



馬車のロータリーがくっそ混んでるけどティナと車内でまったりイチャイチャしてるから特に気にならないぜ!のんびり待とう




2人でふと外を見れば、騎兵の護衛が付いた兄上の馬車が誘導されて違う場所に向かっていく。そりゃ王太子だからね。

防衛上の観点からも順番待ちは無視で違う入り口からそっと入るだろ常識的に考えて…と言いたいところだがこれ、俺の進言が元になってて本来兄上の馬車も並んでるんだよな!



学園はとにかく何かにつけて青臭い平等()を押し付けたがるので「万が一次期国王になんかあったらてめぇら責任取れるのかこのクソハゲ」的なことを丁寧に(したた)めた抗議文をアリネーラ様と俺の連名で出して対応させたぞ。



これが本当の裏口入学なんつって



まあ裏口入学(物理)だけど。





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