事前情報な件
「ふうん…成程」
「あの小僧が居ないのは僥倖ですな。悪知恵ばかり働く絵描きも厄介ですが、頭の無い腕力ばかりの猿も行動が読めませんのでな」
「何か企んでるってことも無さそうなんだよね?」
「はい!ただの腑抜けです!」
やあ。
最愛の婚約者を護るためなら学園にも根回ししまくるエルグランドだよ。
今は王宮の俺の部屋でムサシさんとカエデさんから報告を受けて書類を眺めとります
アリシア(故)の逆ハーメンバーで唯一生存しているチャーチルだが、すっかり腑抜けており、結局穏やかに廃嫡となったようだ。
王都の立ち入り禁止期限はもうすぐ解けるが、既に平民なので騎士団長の実家の領地からもそうそう出ることはない。もちろん学園にも通わない
本人もそのことをあまり深刻に考えてもおらず、最後の情けで渡された平民向けの小さな家でのんびり暮らしているらしい…多分貴族に根本的に向かなかったんだろうな
逆に他のクソ猿2匹は権力欲とかは強かったように思う
「しかし…プリシラにエミリーにアリスだったか?まったく何故こう次々と…!」
「姫様の害になりそうなら私が毒針で…」
「死骸の片付けは任せてくれ」
「事実確認が済んでからですぞ!」
「「はい」」
カエデさんと2人で盛り上がって、ムサシさんに頭チョップされて地味に痛ぇ!
この世界はなかなかに広いが、暗殺諜報員と漫才してるのはうちぐらいだよな。ムサシさんとお義父様も友達感覚だからなぁ
プリシラってのはプリシラ・ヴァン・ネラルトーネ。アイシラと同じ感じで伯爵がメイドに産ませた庶子だ
アリスってのは平民で、魔力がやたら多いことが最近発覚して魔法の使い方きちんと教えないと暴走して危ねぇというわけで強制入学になった女だ
アリスに関してはアリネーラ様曰く、どっちみち卒業後も市井をフラフラされては困るので何かしら公的な職に就いてもらわなきゃいけないと。したがって最低限の礼儀作法や教養は必須とのこと…本人が覚える気あんのかなぁ、それ。
エミリーってのはエミリー・ヴァン・エネマグラ男爵令嬢。俺やティナと同い年なんだが末端の男爵家の令嬢だから顔を合わせたことは無い。夫人と男爵のもとに産まれた正規の子女ではあるものの、テレネッツァ(故)を彷彿とさせる非常識アバズレだと報告書に書いてある。
元々は辺境の領地に居たし、そもそもなんの関係もない小物なので流石に義実家も調査などしていなかったが、入学にあたって王都に滞在し始めたらすぐに令嬢の非常識っぷりが同じ下級貴族の間で広まり、白眼視されているようだ
またアイシラに関しては伯爵夫人リビエラ様からの報告によると、最近は以前の非常識アバズレ行動も無くなり礼儀作法とかもどうにか付け焼き刃で詰め込んだらしいので一応警戒から準警戒に格下げ(格上げ?)してある
もーとにかく色々入学準備大変だわ!!
トリッシュ殿下には「クリスに寄ってくる虫の排除を頼むぞ義弟!」と両肩を掴まれてガッコンガッコンされるし!意外とそういうとこめっちゃ乙女なんだよな殿下。
大丈夫ですよ。兄上はなんだかんだ、王太子関係の諸々以外は脳内メーカーは貴女で埋まってますからね〜
学園で会えない間、毎日見る!とか言って手のひらサイズのトリッシュ殿下の絵姿描かせてるくらいには溺愛だからねぇ
それから、テレネッツァ(故)みたいな害虫案件起きた場合は最悪即応無力化する許可もアリネーラ様から出たぞ
秩序を著しく乱されてエレナ嬢みたいな被害者が出ても学園内部は王家が手出ししにくいからというのが理由だ。
何せクソ妹やらアリシアなどの前例があるからな。逆ハー、他人の男寝取りを邪魔されたヒロインは何をしやがるかわからんからな。キチガイだし。見つけ次第ぶっ殺すに越したこたぁねぇ
あと、イヴィンシブル公爵家取り潰しにリスラネルは特に抗議はしなかったが、これからもお付き合いを!という意味を込めた留学を提案されたので留学生が来る。
それから攻略対象風味な奴の中で唯一ほったらかしなのがミックと名乗り子爵令息ということになっているメガーヌ帝国第3皇子ミクシリアンだ…今のところ動きはないが、何かとめんどくせぇな…
ま!
何がなんでもティナ達を護りきると同時に学園生活をエンジョイしてやる!!
そんな決意で綺麗に揃え直した報告書の束をムサシさんに返した。




