いよいよ本番?な件
「エル、贈ってくださったドレスを着てみましたわ!…どうですか?」
「………」
「エル?」
「ごめん、見惚れてた」
「も、もう!」
「ふふ、相変わらずお熱いですわね」
「ティナ様、赤くなってしまわれてお可愛らしいですわ…」
「学園楽しみですわね〜」
「ソフィー様もちゃんと3年間楽しむのですわよ?」
「そうですわ!」
「うん。みんなの護衛もよろしくお願いするけど、ここに居る皆で有意義な3年間にしよう」
「は、はい!」
やあ。
相変わらずたまに婚約者見て鼻血な王子、エルグランドだよ。
今日はお茶会。ホストは俺とティナで招待してるのはいつもの親友3人組とソフィーティアだ。
彼女だけ爵位が低いわけだが、プライベートな時は誰もそんなん意識していない。暗めの金髪をポニーテールにした元気いっぱいな彼女は、いつもティナ達に愛でられている。美少女達の美しい友情は尊い
この国の身分制度は基本的に公式な場では厳格で、公式とまではいかないが公共の場である時はそれなりに緩和される。ごくプライベートな友人しか居ない場なら本人達の裁量
そしてそのそれなりが理解できないゴミがヒロインというわけだな。
さてさて。
ソフィーは俺が身体強化のコツを何度か教えたら、天才的な剣技とうまくマッチしていて今や騎士団長レベルに強い
これで不安はかなり減った。
そう、俺たちはとうとう15歳になった!
そしてティナは相変わらずどんどこ美しくなる!視界に入るだけで幸せなのに、隣にピトッと寄り添ってくれるとかもう心臓バクバクするわ!
ところで。イヴィンシブル取り潰しからはそこまで変なことは起きなかった。
んで、学園とは。
なんだか知らんがこの世界ではオパビニア以外の国も含め15歳〜18歳を学園で過ごすのが王族・貴族・裕福な平民・優秀な平民の定番らしい。貴族なら入学までは家庭教師だな。
名目としてはある程度大人となったところで共通の場所で学び切磋琢磨し、また人材交流を行い互いを高めあいうんぬんかんぬんという理念だ。これも大体どこの国も同じ。
また貴族としては自分の領地の配下になる家との交流を深めて結束を強めるとか、婚約者探しとか
商人の子だったら後ろ盾&お得意様探し、特待生の優秀な平民なら王宮関係などのエリートコースへの第一歩として
まあそんな感じでみんな入学してくるらしいんだが。なんせここは地球じゃないのでその体制が妥当なのかは俺には分からん
ただ、兄上の婚約発表パーティーの国賓来賓の、爵位が低い人達を見る限りそのシステムでうまく回っているのだろう
優秀なら身分関係なく雇用する、役職として立場を与える。
それはもちろんいいことだ。
その制度を悪用して高貴な男に近付く身の程知らずさえ居なけりゃの話だが。
他国は居ない。仮に居たとしても事前段階で排除されるので学園には来られない。
父上にクソビッチ排除の仕組みを作って欲しいとお願いもしたけどあーでもないこーでもないとグダグダ言い始めて中身のない話し合いに終わった。
ぶっちゃけ、かなりイラっとした。アリネーラ様も父上の隣でイライラしてた
アリネーラ様は母上が宥めてたけど。そういやあの二人もやたら仲良くなった。息子同士の対立の構図がかなり前から消えているので、本来そんなものかも知れない
今日はアゲーラお義母様も王宮に招かれていて、今頃は向こうも3人でお茶してる筈だからな
結局のところ害虫さえ湧かなければみんな仲良し、ほのぼのした平和な日常が続くってことなんだろう
一応王太子であるクリス兄上と俺の連名で入学時に人柄も厳しく審査するように学園には要請してあるけど、そういう事に慣れてない職員達にいきなりフィルターやれと言ってもちゃんと作用するかはビミョーなので気休めだ
この国の学園ってのがまた曲者で、他の国は王家の下にある一機関でしかないのに対してこの国では一種の治外法権的な性質を無駄に持っている。
あまりにも異常な事態になれば当然権力は王家の方が上なので、制圧する・潰す・人員を刷新して実質違う組織にする、といったこともあり得るが平常であれば干渉はほぼ出来ない!
まるで身の程知らずアバズレクソビッチを援護するかのような無駄制度!!いや、なんでやねん!!
身分制度に変な例外作るなボケ!!
一応ものすんごい昔に高位の者達がいばり散らして内部に特権階級クラブみたいなものを作って私法を敷き、まともに運営が出来なくなったことがあったから、というのが学園の権限が強い理由らしいが
今の世代はそういうところはまともだぞ?平民や下級貴族だからって見下す奴なんて全然居ないとは言わんがごく一部だしな




