大掃除開始な件
「…そうか、分かった
殿下、貴方は婿養子として本当によくやってくださっています。ティナを愛してくれているのもよく存じております
…ですが、今回はアンタレス公爵家現当主として落とし前を付けなければなりませんで…小娘とその周りは殿下に任せます。貴方も義理とは言え私共の息子でもあります。ご武運を」
「御意」
やあ。
報告を聞いて魔王になったお義父様と共同作戦する王子、エルグランドだよ
どうやら、今までで一番の大事になりそうだ。
気が付いたのは、干された家のクソガキに金なんかあるわけがないということ。
そしてアリシアには金持ちなシンパが居たということだ。
幼馴染のデビッド、その父親が会頭を務めるユニターミ商会。そこがパトロンだった
やはり、利益を優先しなければいけない商売人に過度な政治思想は毒にしかならんか。
無駄に得意先であるイヴィンシブルに傾倒した結果、これから商会は潰されてアリシアに手を貸した役員達は皆殺しされることになる。まあそっちはお義父様が指揮官を務める公爵家と王家の合同部隊が殺るんだがな
なにせ、公爵令嬢と婚約者の王子2人の暗殺未遂だ。自動的に国家反逆罪も付くぞ。散々拷問されてからの公開処刑という最も重い刑になる。
何があってもティナを護ると決意してはいるが、俺自身が標的に入ってるとか流石に予想外だわ!!
今後商会は王宮の監査が入り、派遣された人間が常駐して事実上乗っ取る形になる。
ま、そこらへんは兄上への手土産だ。今は後ろ盾であったイヴィンシブルが他の領地に総スカン食らったこともあって落ちぶれ気味だが、アリネーラ様なら安定した収益を出す組織に変えられるだろう。
そして俺はアリシア担当となった。依頼は何重にも偽装されているし「私はちょっと脅すように頼んだだけ」と主張されると命までは取れるかビミョーなラインだからな。
何故?
害虫が他国の王族の血を引く公爵家のご令嬢だからだ。まあ身分制度だな。身分制度を青臭い感情論で否定していたくせに、自身がそれに護られてるとは皮肉もいいところだよなぁ…?
今だから思うが、やはりサポートキャラポジだったんだろうな。害虫に高いドレスとか用意してやったり、高位貴族の立場を活かしてクズ男共の情報を教えてやったり、嫌がらせから守ったりみたいな?
そいつが今やクソビッチヒロインそのものに成り下り、しかも権力もあるというクソみたいな話だ
あ、王子が一応公爵令嬢をざまぁするから頭の悪い物語みたいだな。ざまぁというかこの手で殺すんだけどな
ムサシさんとカエデさんが居るのを確認し、行商人に偽装した馬車に乗り込む
イヴィンシブル公爵家はすぐそこだ
「ここは通さ…」
門番が崩れ落ちる。カエデさん得意の毒針投擲だ。避けられるやつはそうそう居ないだろう
二人は姿を消し、俺はそのまま屋敷に踏み込む。




