キチガイ毒親と姉妹テンプレが発生した件
「はぁ?!婚約者の家に令嬢が監禁されている?!」
「どういうことですの?!」
「ええ、一応そういう主張ですが…」
やあ。
過去の尻軽と尻軽の取り巻きの馬鹿男糾弾の印象が強いのか、貴族令嬢人権保護の駆け込み寺みたいな扱いになり始めてるエルグランドだよ
兄上のパーティーは無事終わり、全ての国賓来賓の皆様も帰路につきひと段落したと思ったら何やら異常事態か?
しかし話を持ってきた顔見知りの王宮の女官さん的には疑問が多い感じらしい。
話が俺のところに回されたのは…婚約者絡みの案件なのとなんだかんだ兄上は正統派腹黒系なのでめんどくさそうだから丸投げされた感あるな
ティナも何か察したようだ。それでも動じない。最近は彼女もただ女神というだけでなく"強さ"を身につけ始めてくれたのが本当に嬉しい
とどのつまりそれは一種の攻撃性なんだが、知り合った頃のティナは本当にガラス細工みたいな人だったから、人並みに図太くならなきゃ後々苦労することは必至だったからね
仮にティナがガラス細工のままでも俺が支え、護り愛するのは変わらんがな
それならそれで彼女を傷付けようとする害虫を片っ端から殺せばいい話だからな!!…とまあ、悪役令嬢にベタ惚れの元攻略対象あるある(溺愛魔王化)を順調に踏襲してる俺ですわ
さてさて、どういう話なのか
「まあ、取り敢えず会うよ。んで、訴えて来たのは?」
「有難うございます。ポルデリシア子爵夫妻ですね…」
ん〜と、頭の中の貴族年鑑を…えーとたしか姉妹が居る家だよな。領地が豊かだから資産はそこそこある家で…ん?姉妹?
「内容としてはどういうものなの?」
「姉であるセレーネ嬢が婚約者であるブライアン伯爵子息の家にて監禁されている、といったものですが…これは私の主観ですが、どうにもデタラメな印象を受けます」
「うん、俺も今の話を聞いて違和感しかないなぁ…ティナは?」
「同じですわ。そもそも、愛情の有無に限らずそんなことをしても利点が何も無い上にあらゆるリスクが降りかかるだけです。何の意味もないのに暴走しているとしたら、それはもう気のふれた方ということになります
ですが、もし仮に、本当にその令息が気がふれてしまったというのならば当主や夫人がやめさせるでしょうし」
「うん、まさにそれだ。ティナは優秀だね!」
「も、もう!このくらい普通ですわ!」
今すぐ抱きしめたいな…あ、ダメですかそうですか
「ふむ。
つまり何か後ろめたいのはポルデリシアの方で、王家を味方につけようと必死になって嘘を吐いた…といったところか」
「ご明察感謝します」
女官さんはホッとした表情だ。兄上は立場的に何でもかんでも聞き入れるわけにはいかないし、父上はポンコツ、母上はぽわーん、アリネーラ様はそのせいでお忙しいからねぇ
その点自分の意見を混ぜた報告でもきちんと吟味して受け止める俺が駆け込み寺になるのも仕方ないか
「まあ先に裏取りだな。
ブライアン殿の実家は…ツナドンサ伯爵家か…馬車を準備しておいて下さい。先に子爵家の連中に会います」
「「はっ!!」」
うお!
マジで現れるまで気配無いからビビる。流石はアンタレスの影の皆さんだ。黒ずくめが今日もキマってるなぁ
因みに、元は東の島国の人達で先代に救われてからアンタレスに忠誠を誓っている忍びの一族だとか。
ここらへんも本来なら俺がざまぁされるフラグ満載だよな!
彼らが恩義を感じているのはあくまでアンタレス公爵家のみ。姫様が不当な扱いを受け、万が一深く傷付いたりすれば原因が王族だろうと報復するのは容易に想像できるし、それだけの実力もあるし
さてさて、女官さんに案内されて子爵夫妻の待たされている部屋に行くぜ
本来ならすぐ王族に会えるわけないし、適当な人が対応して終わりなんだが、話の内容も穏やかじゃないしな
やらかした!
キャラの名前がイレーネとセレーネに分裂していましたのでセレーネに統一します。ご指摘有難うございました!




