まさかの進化というか劣化というかメッキが剥がれた件
「…私は…私…私の……私はっ!!!」
何回私私言うんだよ。厨二病か?思春期か?自我の確立ってか?
「…………そうよ、私は公爵令嬢だし可愛いっ!!いい男を狙って何が悪いのっ!!」
げぇ?!
開き直り覚醒?!よし、死ね!!
やあ。
婚約者とくっついて座るのがデフォな王子のエルグランドだよ。あの話し合いから1週間が経ちました
えーそれで只今ですね、お義父様と兄上と俺とティナの前で…
あくまで綺麗事偽善者馬鹿女だった正統派ゴミヒロインが男漁り上等のクソビッチヒロインに"羽化"する歴史的瞬間()を捉えた!!
貴重な映像ですね!そしてどう考えても劣化ですね!!
ダーウィンが来い!!
では少しVTRを巻き戻して…
「いい加減にして欲しいですね。あなた方の出席不可は王族とそれに連なる者全員で話し合いをした結果です」
「そんなっ!酷いですっ!!」
「…うん、酷いのは君の頭だね。思わずエルの台詞真似しちゃったよ」
流石に自分の婚約パーティーのことなので兄上がイヴィンシブルの対応をしている。俺とティナは立ち会ってるだけだ。まあ座ってるけど
いやさ、文句言いに押しかけてきたのよ馬鹿公爵家。こいつらは自分たちが厄介者の自覚が無いから困る
まあ流石に両親は干されてる自覚はあるみたいだけど。
文句言ってきた直接の理由はパーティーに出れないことで娘がショックを受けた!!酷いです!!…ということである…ていうかビッチサイドって基本「酷いです!」ってすぐ言うよな。
因みに、最初対応してたのはたまたま時間が空いてたお義父様で、兄上が駆けつけ、城内デート中だった俺とティナにも白羽の矢が立った…要するにデートの邪魔しやがったので俺は猛烈に頭にきている
というか明日だったら殺してた。明日は以前から計画しているティナとの、ちゃんとお外に行くデートだからな!!
「…お前は、何なんだ?」
俺が心底呆れた表情を作ると、アリシアはキッと俺を睨む。
その表情には…焦りが多分に含まれているように見える
彼女にとって俺は天敵と言えるか。矛盾を突いて正論をぶつけてくる俺は、お花畑偽善者であるアリシアには一番嫌な存在だろうからな…あ、兄上が早速アイコンタクトで俺に投げて来たよも〜
次期宰相になるためのトレーニングの一環ですねわかります
「そもそも、何故お前は兄上の婚約パーティーに参加したいんだ?
他の令嬢がみんな出るからか?」
「…そうよっ!!私だけ出ちゃいけないなんて差別よっ!!!」
「本当にそうか?」
「どういう意味よっ!!!」
「お前の出席不可はお前のこれまでの振る舞いによるものだ。お前が秩序を乱す問題児だからだ」
「…っつ!!」
「否定は出来まい。実際お前は愚かな行いを扇動し、エレナ嬢という何の罪も無い被害者を作り出し、多くの人間を不快にさせた…それを理解できる脳すら持っていないとは言わせんぞ!!!」
「………」
「…結局のところお前に抗議する正当な理由など無い!
自粛しろと言われて反発するのは、自分が行きたいからという幼稚極まりない理由でしか無い…ではその理由はなんだ?
金と地位を持った眉目秀麗な男子が沢山集まるからか?
豪華なドレスを着て、煌びやかな空間に居たいからか?
違うというのなら証明してみせろ
違わないなら貴様はテレネッツァやアイシラ、あの忌々しいアバズレ共の同類だ
やたらと庇ったのも、共感できるところがあったからではないのか?」
「………………」
「………………」
「…………………私はっ!…」
んで、冒頭に戻ります〜
「本性を表したね…エルの詰め凄いなぁ…多分さっきまでアリシア嬢本人も自覚してなかったよね自分の本性」
まあ若干誘導気味だったけど。でもそもそもアリシアにビッチ傾向がなけりゃ引っかからない筈だし
こうして、クソうざヒロイン気質ではあったものの唯一ビッチ要素は無かったアリシアが結局そこらへんの平民やら男爵令嬢のクソビッチと同じということが証明されたのでした
「クリス様、良かったですわねエルグランド様が味方で」
「セレスティナ様とのデートを邪魔されていらっしゃいますから、いつもより魔王でございましたね」
「だよねぇ」
おい、兄上の専属侍女の皆さん酷くね?人を危険人物みたいに言うな!
そして顔を赤くしてもじもじするティナは女神です!
…そして娘の本性を目の当たりにした馬鹿両親は固まっちゃったしどうすんのこれ?
あ、うん。ちゃんと自粛する?娘も社交界に出さないようにする?頼むわ〜