王妃様がご立腹な件
「もう…どうしてくれますの?」
「いや、どう考えても兄上の側近候補達があんな馬鹿女…あんな馬鹿令嬢の肩を持つからでしょう!私の所為ではありませんよ!」
「俺自身はそんなことしてないんだけどねぇ」
やあ。
婚約者の肖像画を依頼しすぎだと父上に怒られた系王子、エルグランドだよ。城の自室は婚約者グッズでだんだん棚のスペースが足りなくなってきました
あれからさらに2年経ちまして。俺やティナ、フランにセレナにセシリアとその他諸々は10歳になりました。
相変わらずティナとはラブラブで、ティナの親友3人組も相変わらずです
ところで今は同い年のクリストファー王太子の母君にしてこの国の王妃であり、実家は隣の大国の王家というまさに選ばれし才色兼備な女傑美女であるアリネーラ様が…不貞腐れているので宥めています
どうでもいいけどアリネーラ様、俺に対してガード無さすぎじゃね?!普段の近寄り難いオーラ全く無いんだが
あと可愛らしくぷんぷん怒るアリネーラ様ってギャップ萌えだよなぁ…密かに癒されているのは俺だけの秘密だが
「しかし、こうなってくると本気で側近候補から外れてもらわなきゃねぇ」
「そうね。クリスの側にあんな子達は要らないわ」
「エル、彼ら欲しいかい?」
「要りません!!」
アリネーラ様がプリプリ怒っているのは1週間前のとある伯爵家で開かれたお茶会での出来事だ。というわけで回想スタート!
その日はその伯爵家の8歳の令嬢の婚約発表でありとてもめでたい席だった
しかし、そこに悪意を持って参加している男爵令嬢が居た
名前はテレネッツァ(9歳)といい、婚約者の侯爵家令息に横恋慕したピンクブロンドゆるふわショートヘアの身の程知らずクソアバズレビッチだった。まあ要するに害虫だな
んで、いきなりクソビッチヒロイン特有のはしたない全力ダッシュで伯爵令嬢のところに走り寄り、罵声を浴びせながら突き飛ばした
婚約者が慌てて抱き留めたので大事には至らなかったが、キレた婚約者の母親である侯爵夫人が害虫を張り倒した
婚約発表をした2人は相思相愛でとても微笑ましいカップルだったため、会場はテレネッツァとクソメスガキを放置した男爵夫妻の吊し上げに移行。俺と公爵家のメンバーも積極的に加担はしないものの3人に汚物に向ける視線を投げた
あ、いくらティナが天使で女神でも人並みに人を嫌ったりはするからね?高位貴族としての誇りや自覚も強い彼女だから当然っちゃ当然だけど
んで。
そこでいきなり「やめてください!!こんなのあんまりです!!酷すぎます!!」とか寝ぼけたことほざいた馬鹿がおりまして
そう!!
偽善者な両親に育てられてすくすく育ち、勇者()のようなコンドーム並みに薄っぺらの正義を振りかざして周りを不快にする、立派なクソKY偽善馬鹿女に成長したアリシア10歳の登場だ!
そしてそれに追従するのは兄上の側近候補の三匹の知能指数5の馬鹿猿。まあ何というか自然の流れというか、アリシアのシンパになってんのよな
しかし、王族も居る場所で諸々の発言は取り消せない。王太子の側近候補達が公爵令嬢であるアリシアの肩を持ってしまうとテレネッツァをきちんと処罰出来ない可能性や伯爵家が悪者にされてしまう可能性が出てくる
そして馬鹿猿三匹は伯爵令嬢に罵声を浴びせ、悪女だとか言い出す始末
というわけで、王族や公爵家の血筋に与えられている懲罰権を行使して俺が猿三匹をボコボコにしてからアリシアを泣き出すまで正論でボコボコに論破してやったわけですが
…兄上がアリシアの味方したわけじゃねーし、猿三匹とアリシアは誰が見てもただの馬鹿なのに、王位継承権争いを再燃させたい一部の馬鹿共にきっかけを与えてしまったというこったな