雪うさぎのおくりもの
黒森 冬炎様企画「劇伴企画」参加作品。
冬童話2020用に書いた作品に、今度はBGMも添えて。
で、肝心のBGMですが、ざっくりと「感傷に浸れるピアノ音楽」でお願いします。
綺麗だけど、ちょっと切なくなるようなBGMなら、だいたい合うと思います。
古い音楽に詳しくない自分は、こんな大雑把なご提案しかできませんでした……。
ある冬の日。
その街では、珍しく雪が積もりました。
その街に住んでいた女の子は、初めて見る雪に大興奮です。
真っ白な公園で、元気良く飛び跳ねています。
その様子を見たお母さんは、あることを思いつきました。
まず雪を集め、それをこんもりと丸めます。
次に、ナンテンの葉っぱと実を持ってきました。
葉っぱを耳に、赤い実を目につければ、かわいい雪うさぎの完成です。
「かわいい!」と、女の子は大喜びです。
女の子は、その雪うさぎを家に連れて帰ることにしました。
庭の四角いテーブルの上が、雪うさぎの新しいおうちです。
女の子は、毎日雪うさぎのお世話をしました。
耳が取れていたら、新しい耳をつけてあげました。
身体が溶けてきたら、雪を集めて、身体を治してあげました。
日が経つにつれて、積もった雪が溶けてきました。
雪うさぎを治す雪も足りなくなってきました。
女の子は、家の氷でかき氷を作り、それを雪うさぎにあげました。
しかし、やがて冬も終わりが近づいてきました。
このままでは、雪うさぎは溶けて、死んでしまいます。
冬の終わりの日のことです。
女の子は雪うさぎを「いえのれーぞーこでかう!」とお母さんにお願いします。
しかしお母さんは困った顔をします。
「どんな生き物も、いつかはお別れしなくちゃいけないのよ」
と、お母さんは言い聞かせます。
女の子は、悲しみ、泣きました。
泣いて、泣いて、泣き続けました。
やがて泣きつかれて、眠ってしまいました。
その夜のことです。
女の子の夢の中に、あの雪うさぎがあらわれました。
「私のことを大事にしてくれてありがとう。
私のために泣いてくれてありがとう。
けれど、もう冬は終わりだから。私ももう行かなきゃ。
明日の朝、私がいた場所を見てみてね。おくりものを用意したよ。
私を大事にしてくれたその気持ち、いつまでもいつまでも大切にしてね。
それじゃあ、今までありがとう。本当に楽しかったよ」
と、雪うさぎは言いました。
「まって! いかないで!」と女の子は叫びました。
雪うさぎは、消えてしまいました。
そして、春の最初の朝が来ました。
女の子はベッドから飛び起きて、庭のテーブルの上を見ます。
そこには、綺麗な石がありました。
透明で、真っ白な、小さいけど、綺麗な石です。
「これは、あのこだ。あのゆきうさぎさんだ」と女の子は思いました。
女の子は、その石を持って帰りました。
女の子は、その遺志を、いつまでもいつまでも大切にしました。
ご読了、ありがとうございました。
雪うさぎかわいいですよね。