表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

雪うさぎのおくりもの

作者: 翔という者

黒森 冬炎様企画「劇伴企画」参加作品。

冬童話2020用に書いた作品に、今度はBGMも添えて。


で、肝心のBGMですが、ざっくりと「感傷に浸れるピアノ音楽」でお願いします。

綺麗だけど、ちょっと切なくなるようなBGMなら、だいたい合うと思います。

古い音楽に詳しくない自分は、こんな大雑把なご提案しかできませんでした……。

ある冬の日。


その街では、珍しく雪が積もりました。


その街に住んでいた女の子は、初めて見る雪に大興奮です。


真っ白な公園で、元気良く飛び跳ねています。


その様子を見たお母さんは、あることを思いつきました。


まず雪を集め、それをこんもりと丸めます。


次に、ナンテンの葉っぱと実を持ってきました。


葉っぱを耳に、赤い実を目につければ、かわいい雪うさぎの完成です。


「かわいい!」と、女の子は大喜びです。


女の子は、その雪うさぎを家に連れて帰ることにしました。




庭の四角いテーブルの上が、雪うさぎの新しいおうちです。


女の子は、毎日雪うさぎのお世話をしました。


耳が取れていたら、新しい耳をつけてあげました。


身体が溶けてきたら、雪を集めて、身体を治してあげました。


日が経つにつれて、積もった雪が溶けてきました。


雪うさぎを治す雪も足りなくなってきました。


女の子は、家の氷でかき氷を作り、それを雪うさぎにあげました。




しかし、やがて冬も終わりが近づいてきました。


このままでは、雪うさぎは溶けて、死んでしまいます。




冬の終わりの日のことです。


女の子は雪うさぎを「いえのれーぞーこでかう!」とお母さんにお願いします。


しかしお母さんは困った顔をします。


「どんな生き物も、いつかはお別れしなくちゃいけないのよ」


と、お母さんは言い聞かせます。


女の子は、悲しみ、泣きました。


泣いて、泣いて、泣き続けました。


やがて泣きつかれて、眠ってしまいました。




その夜のことです。


女の子の夢の中に、あの雪うさぎがあらわれました。


「私のことを大事にしてくれてありがとう。


 私のために泣いてくれてありがとう。


 けれど、もう冬は終わりだから。私ももう行かなきゃ。


 明日の朝、私がいた場所を見てみてね。おくりものを用意したよ。


 私を大事にしてくれたその気持ち、いつまでもいつまでも大切にしてね。

 

 それじゃあ、今までありがとう。本当に楽しかったよ」


と、雪うさぎは言いました。


「まって! いかないで!」と女の子は叫びました。


雪うさぎは、消えてしまいました。




そして、春の最初の朝が来ました。


女の子はベッドから飛び起きて、庭のテーブルの上を見ます。


そこには、綺麗な石がありました。


透明で、真っ白な、小さいけど、綺麗な石です。


「これは、あのこだ。あのゆきうさぎさんだ」と女の子は思いました。


女の子は、その石を持って帰りました。


女の子は、その遺志を、いつまでもいつまでも大切にしました。

ご読了、ありがとうございました。

雪うさぎかわいいですよね。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 雪うさぎ可愛いですね。 関係ないですが、雪見だいふく食べたくなりました。てへ。
2023/04/27 20:46 退会済み
管理
[良い点] すごく素敵で可愛らしいお話でした。 雪うさぎが作りたくなりました。(早く冬になれ〜) 女の子もお母さんも雪うさぎも、みんな優しいですね。 とても心が温かくなりました。 読ませていただきあり…
2021/07/12 17:33 退会済み
管理
[良い点] 「劇伴企画」から参りました。 大事にしてくれた気持ちを大切にしてほしいと、雪うさぎが残してくれたのは、ただの綺麗な石ではなかったのですね。雪うさぎの心の入った遺志なのですね。 「ちょっと切…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ