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娘をダメにするスライム  作者: 紅花翁草
26/41

フルララ、再びダンジョンへ。


 ディムさんの上で、私とリリアナちゃんは並んでうつ伏せで寝そべっています。

 マントで自分とリリアナちゃんの体を覆い、顔だけ出して進行方向の景色を二人で眺めていました。

 終始笑顔のリリアナちゃん。

 1階から洞窟迷路になっている階層をディムさんは凄い速さで飛んで行きます。

 この前の一回だけで道順をほぼ覚えているとのことで、悩むそぶりもなく、どんどん進んで行き、4層手前の安全地帯を抜けました。

 3層までの洞窟迷路では、時間的に誰も狩りを行っていなかったみたいで、安全地帯に居た数人の冒険者がディムさんを見て驚いていましたけど、驚いた時にはもう4層へと飛び出していたので、声を上げていたとしても聞こえません。


《うわぁー!》

 4層の景色を見たリリアナちゃんが、ダンジョンに入ってから初めて言葉を口に出しました。


 まあ、念話なんですけどね。


《ここからがダンジョン界だ。どうだ不思議だろ? 外と同じような世界がこの中にはあるんだぞ。

 まあ、生き物とか植物とかが、外とは色々と違っているんだがな。》

《どらごんさんいる?》

《ドラゴンはもっと下の世界にいるからな。そこまで、さらに飛ばすぞ。》

《やったぁー!》


 ディムさんの魔法で、どんなに早く飛んでも、風で息苦しくなったりとか、飛ばされそうになったりとかがないので、景色だけが流れて行くのです。

 それと、ディムさんの上に乗っていると守られている感が凄いので、全然怖くありません。

 リリアナちゃんが怖くないって言っていた意味が判りました。

 むしろ楽しいです。


 5層前のダンジョン村は依然とは違って、外に人影がありませんでした。

 一部の建物から明かりが見えているので、村の管理者程度の人達だけが残っているのかも知れません。

 なので、ここでは誰の目にも触れられることなく、5層へと入りました。


《さて、ここではちょっと寄り道をしようと思う。》

「そうなんですか?」

《岩鳥を狩るからな。》

《おいしいとりさんー!》


 ドラゴンの事で忘れていましたが、ここに来たなら狩るのは当然ですよね。

 

《人族も居ないようだし、二人とも座ってくれるか。ここからは動きやすい形で進むことにする。》

《ん! フルララと座って見る!》

「はい。リリアナちゃんも、それのほうが見やすくなりますからね。」

 被っていたマントが消えたので、上体を起こした私はクッションの上に座るようにディムさんの頭にお尻を下ろし、リリアナちゃんは私の膝の間に座って背中を預けます。

 私はリリアナちゃんを包むように、手を回しました。

「こんな感じで良いでしょうか?」

《ああ、問題ない。それじゃあ岩鳥を探すか。》

 丸くなったディムさんは空中を右へ左へと滑るように飛んで行きます。


《居たぞ。寝ている状態だから岩と同化して判り難いが、崖の真ん中辺りに1匹。》

 ディムさんが言うとおり、どこに岩鳥がいるのか私には判りませんでした。

《パパだめ! あかちゃんいる!》

《なに? そうか、リリアナには見えているんだな。判った次を探そう。》


 リリアナちゃんには生体感知という特性がありました。

 ディムさんの魔力感知では判らないのでしょうか?


「リリアナちゃんには見えるの?」

《ん! ちっちゃいのが4つみえるの。》

《俺の魔力感知は小さい子供の魔力が親の魔力に重なってしまうからな。とくに卵なんかだと、動かないから全く判らないんだ。》

「そうなんですか。凄いねリリアナちゃん。」

《ん。》

 背中越しに伝わる、嬉しそうにモジモジするリリアナちゃんに、私は合わせるように体を揺らしました。


 それから、渓谷を歩いている岩鳥を見付けたディムさんは、後ろから追いかけて首をエアカッターで切り落としました。




 結局、寄り道で岩鳥を3匹狩った私達でしたが、目的地の6層へと入ったのは屋敷を出てから一時間とちょっとでした。

《うわぁー! おっきいぃ!》

 6層の景色に驚くリリアナちゃん。

《冒険者ギルドの野営地ってあれだな。》

 6層の入り口がある山頂から見える眼下の草原。そこに松明のような灯りや住居のような建物やテントなどが小さいですけど見えていました。

《俺達は、このまま壁沿いに飛んで行って、あいつらが数日かけても来れないような場所でドラゴンを探す。》

《どらごんさんいるかな?》

 期待でソワソワするリリアナちゃんを私はそっと抱きしめました。

「ドラゴンさんってどんな姿してるのかな?」

《おっきいの! おっきいのがいい!》

 リリアナちゃんも私も、絵本の中に書かれているドラゴンしか知りません。

 なので、その絵本の中でも強くて恐ろしい姿で書かれていたドラゴンが、多分リリアナちゃんも見たいって思っているドラゴンだと思います。


 『英雄達の竜退治』

  突如、ダンジョンを突き破って地上に現れたドラゴンを、7人の冒険者が退治するお話。

  そこに描かれていた竜は、人の30倍の巨体で空を飛び、炎を吐き、咆哮で木々を薙ぎ倒す姿でした。


「おっきいの、見てみたいね。」


 ディムさん曰く、ダンジョンが何らかの原因で崩壊する直前、その予兆を感じ取ったドラゴンが地上に出て来ることがあるとのこと。

 ただ、人の30倍。50m級のドラゴンを人族が倒せるとは思えないと、ディムさんは疑問視して、30m前後のドラゴンを誇張しての伝承だろうと、その時のディムさんが話していました。

 ダンジョンに数匹居るのが普通。十匹いれば凄いと言われるドラゴン種。

 その大半が30m級だけど、極稀に50mを超えるドラゴンが存在しているとディムさんが言っていたので、私はちょっとだけ期待しています。



 6層の外郭部分になっている岩肌の山脈沿いを、景色を眺めるゆっくりとした速さで30分程たった頃、ディムさんが空中に停止しました。

《これは、大当たりを引いたな。》

《どらごんさんいたぁー!》

「えっ? あっ! ほんとだ。」

 少し先の、崖が平らになっている箇所に此方に視線を向けるドラゴンが見えました。

 ここからだと小さく見えますが、確かにドラゴンの姿をしています。


《ここは既に、あいつの縄張りの中らしい。敵意を向けているのが判る。》

「そうなんですか? 結構な距離があると思いますけど、縄張り意識が高いんですね。」

《まあな。ここからだいぶ離れているが、あいつにとっては、一瞬の距離になるからな。》

 徐々に近付くディムさん。

 ドラゴンは四足で立ち上がり、こちらを睨んでいます。

 そして、完全な威嚇行動を見せたドラゴンは、私の想像以上の大きさでした。

《うわぁー! やったぁ! おっきい! どらごんさんおっきいね!》

「ディ…ディムさん…あれって、どれくらいの大きさあります?」

《ざっと見て、50mは超えているだろうな。な、大当たりだろ。》


 …そりゃ、見たいとは思ってましたけどね。

 でも、実際に見ると迫力が違います! もう少し小さいのでも十分です!

 こんなのに…勝てるんですか?!


 全くの余裕で話すディムさんと、嬉しそうに目を輝かせているリリアナちゃん。

 そんな二人と一緒なので、私は平常心を保つことが出来ました。


《出来るだけ、傷を付けずに倒したいからな。

 首を切り落とすのが一番良いのだが…ドラゴンには魔法が効きにくい。

 少し長期戦になるが、持っている剣に魔力を乗せて撃ち込むことにするか。》

《パパ、アトラは? アトラ、けんもってたよ。》

《そうだな…アトラに細かな命令が届くかどうかだが…リリアナはアトラに倒して貰いたいか?》

《うん! アトラつおいってバーチャが言ってた。どらごんさんにも勝てるって!》


 そうでした。絵本を読んだ後に、リリアナちゃんがルヴィア様に聞いていたのでした。


《よし! アトラに頑張って貰うか。多少の傷が付いたとしても、人族が狩るよりはマシだろう。

 リリアナ、アトラへの命令は、『首を落として倒せ。』と、言ってくれるか。》

《ん! わかったぁ!》

《アトラは空を飛べないからな。あいつをどこかに落としてからアトラを出す。》

《はぁーい!》

 元気に手を上げるリリアナちゃん。

 最近はティエスちゃんとアンジェちゃんの会話を真似するようになって、色々と子供らしい動作を見せるようになりました。

 もちろん、以前から可愛い仕草はありましたけど、それはリリアナちゃん独特のってことで、よく見る子供らしい仕草ってことです。



 ディムさんの放出した魔力に気付いたのでしょうか。

 ディムさんが戦闘態勢に入ると、唸るような威嚇から、咆哮からのブレス攻撃が私達に撃たれました。

《このクラスのドラゴンと対峙するのは久しぶりだな。》

 嬉しそうなディムさんの声が聞こえます。

 ドラゴンのブレス攻撃は、ディムさんの魔術防御壁に塞がれて、私達には音すら届きませんでした。

 ディムさんの前には砂が集まり、大きな岩へと形作ります。

 それがドラゴンに向けて飛んで行くと、ドラゴンの居た岩場の壁に当たって砕けました。

 空へと避難したドラゴンは、真っ直ぐこっちに飛んで来ます。


「ディムさん!」《きたぁー!》

 ドラゴンから発せられる威圧に、私は思わず声を上げてしまう。

《問題ない。》

 急降下するディムさんをドラゴンが追い掛けてきます。

 それから、岩場が広がる場所に誘導したディムさんが、アトラを呼び出しました。

《アトラぁー! どらごんさんをやっつけてぇー! くび、くびをきるのぉ!》

 全身真っ白な鎧姿のアトラは、リリアナちゃんの声を確かに聞いたと、コクリと頷きを見せて、アトラと同じくらいの長さがある剣を構えました。


 突然現れたアトラに警戒したのか、追い掛けて来ていたドラゴンが急上昇し、見定めるように私達を中心に旋回します。

《無闇には近付かないか。だが、獣としての本能には抗えないだろう。》

 ディムさんのウィンドショットが、次々とドラゴンの顔に当たります。

 でも傷は付いていないようで、苛立ちを露にするドラゴンが体当たりをするかのように突進してきました。

 それを、ディムさんは急上昇で回避した思ったら、ドォオーン! という音の後に、地面に叩きつけられて倒れているドラゴンが見えました。

 ディムさんが、上から風魔術をぶつけたみたいです。


《アトラぁー!》

 リリアナちゃんの声が届いた時には、既に走り始めていたアトラ。

 実際は、人の倍近い大きさで金属の塊のようなゴーレムですが、ガトラ叔父さんの全力の動きよりも早い動きで、ドラゴンに迫ります。


 アトラの接近に気付いたドラゴンは体を捻り、尻尾を振り当てようとすると、アトラはその尻尾の付け根に飛び込み、ジャンプして飛び越えます。

 ドォオーン! と2回目の音とともに、もう一度地面に打ち付けられたドラゴン。

 そんなドラゴンに躊躇なく飛び掛かるアトラの剣は、リリアナちゃんが指示した首へと振り下ろされました。

 そして返す2撃目の剣は切り口に突き刺さり、ドラゴンは断末魔をあげるように口を大きく開けた後、地面に倒れました。


 呆気なく、なんて言葉は出てきません。

 短い戦いでしたが、その攻防の一つ一つが信じられない力の見せ合いで、只々、驚嘆の気持ちで胸が一杯になりました。


《アトラすごかった!》

「うん。凄かったね。」

《パパも!》

「うん。凄かった。」

《アトラはしっかりとリリアナの命令通りに動いていたな。》

《アトラに! アトラをほめてあげるの!》

《ああ、すぐに降りていくからな。ドラゴンを収納しないとだしな。》


 ディムさんは降りると同時にドラゴンを次元倉庫に仕舞うと、残ったアトラの前にリリアナちゃんが駆け出します。

 片膝を着きリリアナちゃんを迎えるアトラに、よじ登るリリアナちゃん。

「えっ?! あっ、危ないわよリリアナちゃん!」

 私は慌ててディムさんから飛び降ります。

《大丈夫だ。危ないと思ったら俺が重力魔術で支えるからな。》

 それでも、アトラの前まで私は心配で足を進めましたが、当のリリアナちゃんはアトラの差し出した腕に乗って、アトラの頭を撫でていました。

《アトラいいこ。ありがとう!》

 それはアンジェちゃんが、ティエスちゃんによくしている行動でした。




 ドラゴンが居座っていた崖の広場に家を出して、明日の朝から食材探しを再開することになりました。

 場所的に比較的安全だという事と、ドラゴンの縄張りだった場所だから魔獣が近付かないだろうということからでした。

 それと、アトラが家を守ってくれているので、仮に魔獣が来たとしても安心です。


 寝室のベッドの上でリリアナちゃんに絵本を読んであげると、すぐに寝てしまいました。

《リリアナは寝たようだな。》

「はい。今日は楽しい事が沢山ありましたからね。

 そう言えば、輪投げのスライムになにかしました? リリアナちゃんが止まってくれたって言ってましたし。」

《ああ、あれか。》

 それから、輪投げ屋での出来事をディムさんから聞いた私は、色々と納得した事と、疑問になった事がありました。

「えっと…そのスライムって人族からすれば、不滅的な存在になりませんか?」

《ん? ああ、そうなるか。まあ、商売的に使えないとなって捨てられることになるくらいだろう。

 ちょっと硬いスライムに進化した。って思うだけだろうからな。》

「そうなんですか?」

《スライムは稀に耐性が付いて進化する魔物だからな。》

「そうなんですか?!」

《ああ、その土地の気候や環境に耐えられるように進化している。

 そうじゃないと、生き残る事が出来ないからだ。》

「そうなんですね。……んはぁ…」

 いつもの何気ない会話に気持ちが落ち着いたのか、睡魔が私を襲いました。

《今日はそのままベッドで寝るといい。アトラが守っているとはいえ、万が一に備えて俺が外に出れる方が良いからな。》

「…はい。今日はそうします。おやすみなさい、ディムさん。」



 翌朝、いつものようにリリアナちゃんに起こされた私は、ディムさんから借りているドレスに袖を通しました。

 伸縮素材なのに締め付けるような感覚は無く、絹のように柔らかい肌触りに、私は着ているだけで幸せな気分になります。


 所々に宝石が付いていたり、銀糸かなにかの刺繍にフリルもあって、本当にお姫様になったみたい。


《その服、気に入ったようだな。》

「あ! はい。着心地が凄く良いです。」

 顔に出ていたみたいです。

「それに、こういうドレスって着たこと無かったですから。」

《そうだな。普段のフルララに合うドレスを一着仕立てて貰うか。》

「えっ! 良いのですか?」

《当然だろ。俺の娘なんだからな。》

 ディムさんの言葉は、それが作られた言葉でも、気を使った言葉でもなく、素の言葉だと判るほど、自然で、いつもと変わらない口調に、私は嬉しくなりました。

「はい。」



 いつもと変わらない朝食の後、家を出ると景色はいつもと違います。

 アトラが静かに家の前に立ち、眼下にはダンジョン6層の景色が広がっています。

《アトラ、おはよう!》

 駆け出すリリアナちゃんに膝を着いて迎えるアトラ。

 既にリリアナちゃんの行動を理解しているのか、リリアナちゃんの手が届くように、頭を下げていました。

《パパ、アトラもいっしょにさがしにいける?》

《そうだな。常に守護するように命令して、護衛として一緒に探索するか。》

《やったぁー! アトラもいけるって! アトラ、リリアナをまもってね。》

 上体を起こして頷くアトラ。

 ディムさんはログハウスを収納して、私とリリアナちゃんを乗せます。

《ここから崖の下の森を探索して、そうだな…昼食に、またここに戻るとしようか。》



 森の中には沢山の魔獣が居ましたが、好戦的な魔獣は思っていたよりも少なかった。

 でも、北の大地で戦った魔獣よりも大きくて強そうなのに何度か遭遇し、その度にアトラが活躍していました。

 ディムさん曰く、ある程度の大きな魔獣には縄張りがあって、餌となる魔獣を横取りしそうな相手には容赦なく攻撃してくるそうです。

 そして、そういう魔獣は乱獲するような事はしないから、それが魔獣の数が多い理由でした。

 魔獣が食べる草や果物の中には、人族には貴重な食材になっている物も多く、ディムさんは知識として知っている物を見付けては大きな木箱に入れていきました。

 そうじゃないと、取り出す時に思い出すのが面倒だからとの事です。


《いっぱいとれたぁー!》

《そうだな、これだけあれば十分だろう。俺達の食材も獲れたことだしな。》

 ディムさんが美味しい魔獣だと言って、大きな猪と鹿のような魔獣を、それぞれ3匹狩っていたのでした。


《まだ昼食までには時間があるし、少しダンジョン界を見て回るか。》

「はい!」《みるぅー!》


 それから、森を抜けて大きな滝を眺めたり、川で魚や蟹などを捕まえたり、空から大きな竜のような魔獣を見たり、走る獣を追い掛けたりしながら、私とリリアナちゃんはダンジョン界という世界を観光するように楽しんでいました。

「ほんと、ここは凄いところです。」

《ダンジョン界は場所によって気候や景色が違うが、ここは一般的な熱帯の森だから過ごし易いし、貴重な食材も多い。》

「他にはどういった場所があるのですか?」

《氷と雪。火山と溶岩。あとは殆どが砂地か海といったところもある。まあ、それはそれで、特殊な素材や食材が獲れるからな。》

「行ってみたいです。」《リリアナも!》

《ああ、連れて行ってやるぞ。世界を旅するついでにな。》

 クラリムでの生活も楽しいのですが、やっぱり期待しています。

 フルラージュさんに魔鉱石の作り方を教えたら、世界を巡る約束。

 アンジェちゃん達との出会いで、教えたら直ぐにとは思っていませんが、家族で旅をする事を、私は楽しみなんです。


 お母様達も、一緒に行けたら良いのにな…


 さすがに、公爵家を長期間不在にすることは出来ないと、お母様は一緒に行く事を断念しました。

 なので、旅に出る日までが、お母様と一緒にいられる時間です。

 ディムさんはクラリムの屋敷は売らずに残して置くと言っていましたから、また再会する場所にはなりますが、世界を巡る旅がどれ程の時間を費やすのか判りません。

 だから、少しだけ寂しい気持ちになりました。

 でも、もう会えないと思っていたお母様に会えた事。

 お母様が元気になって、一緒に暮らしている今が十分過ぎる程の幸せな時間だと知っているから。

 だから、少しだけの寂しさなのです。


 私は想いを馳せて笑顔をつくる。

「世界を巡る旅…絶対! 楽しいですよね。」

《ああ、楽しいに決まっている。俺が保障する。》

 ぷるん♪ と振動で伝わるディムさんの気持ちに、私の笑みは零れそうになるほどの笑みへと変わったのでした。

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