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第4話 ヒーロー異世界に爆誕する ②

本日二話目です。

 白い空間から引きずりだされると、今度は青い空間だった。

というか、空の上だった。




「ぃぃいいいいい、あのクソ女神ぃぃいいい!!」




 普通にせめて町中じゃなくてもいいから地面に転移させて欲しかった大我からは悪態が自然と出る。




 しかも、これは何千メートルという高度ではなかろうか地面に生えてるらしき木が小さく見える。

まさか、この年になってパラシュート無しのスカイダイビングをやる羽目になるとは⋯⋯⋯⋯

なかば諦めかけていた思考の大我にどこからか声がかけられる。




『マスター、このまま地面と接触すれば死亡の可能性があります。早急に対処を』



 

 混乱している頭に、またもや混乱する事態が起きる。どこからか特撮ヒーローでよく聞く電子音声のような声色で話しかけてくるのは、どうやらさきほどのクソ女神に付けられたバックルから声が発せられているようだった。




『すぐに神核石マナスの力を顕現し、事態にあたるべきです』




「おまえはバックルか⋯⋯⋯⋯?」




『是、正確にはバックルに埋め込まれた神核石マナスです』




 どこまで厨二病を再現しているのか、大我は自分で穴を掘って穴にはいりたかった。空の上なので、穴など掘れはしないが――――




『まずは、この状態を最優先に解決することを強く推奨します。神核石マナスの力を顕現しないままでは死亡する可能性が大です』



 大というか必然だろう!大我はそうつっこみをいれたかったが、すでに地面が見えているこの状況ではなんとしてもその神核石マナスとやらの力を顕現させるしか助かる道はないと腹をくくる。

 しかし、空を飛ぶとか重力を操るなどということが混乱した頭では思い浮かんではこなかった。



 結果、必然として屈強な身体を望む。自分がいつも思い描き憧れていた不屈のヒーローに。




神核石マナスの力が重鎮されています。あとはワードを発すれば発動します。』




「わ、わーどだと⋯⋯⋯⋯まさか⋯⋯⋯⋯」



 こんな状況で羞恥心と言ってられないのは分かってはいるが、あまりにも⋯⋯⋯⋯あまりにもだと大我はさらに羞恥心の中へ足を踏み入れる。




「ちぇ、ちぇんじ、とらふぁいたー、え、えっくす、すりー」





 思い描いたのは幼い頃見ていた特撮番組トラファイター、光の力をもつ虎をモチーフにした金色のフォルムのトラファイター1号、敵対する組織に1号抹殺の命を受け最終的には和解し共闘する黒色同型のフォルムで闇の力をもつトラファイター2号。



 特撮番組トラファイターは、すごい番組であった。毎回、違う怪人が出現しCGも豪勢に使われていた。

 大我であらずとも、心奪われた子供たちは多かった。そして最終話の100話を迎え子供向けの情報誌には次回作の特撮番組トラファイターX3が載っていた。



 曰く、光と闇の力を同時にもつ

 曰く、1号2号よりも強い250tのパンチ力をもつ

 曰く、武装がさまざまある



 その情報誌には、トラファイターX3のスペックが余すことなく載っていた。大我は暗記するほどその情報誌を読みふけり、番組が始まるのを今か今かと待ち続けていた。



 しかし、トラファイターX3は放映されることはなかった。前作のトラファイターでの毎回の怪人スーツ代金、CGの代金により会社が倒産してしまい、幻の不遇のヒーローとなっしまったのだった。

 前作のトラファイターは、販促おもちゃがまったくといっていいほど無かった。きっと会社の経営陣が映像にこだわり過ぎて販促にまで気がまわらなかったのだろう。


 

 そこを反省しトラファイターX3は、さまざまな武装をほどこしたりし販促をうながし資金繰りをしようとしたのだろうが、すでに会社は立て直せるほどの状態ではなかった。



 だからこそなのだろうか、その不遇のヒーローには未だファンがいる。

大我もその一人であった。恥ずかしながらも、多分こういうふうにトラファイターX3に変身するのではないだろうか?と、顔を覆いながら赤面しながら声をやっとのことで発した言葉がそれであった。



 次の瞬間、バックルから黒と金の帯が身体を覆う。



 大我は驚愕したが、落下しているため抗うことは出来ない。



 神核石マナスに身を任せる。



 地面がもう数十メートルというときに大我に思い浮かんだのは――――




(地面に着地といったらヒーロ着地だな⋯⋯⋯⋯)




 なかば思考放棄しながらヒーローならこうするだろうと、片膝を地面につき片拳を地面に付けた着地姿勢を取り、爆音とともに着地した。



 自分の状態は、分からないが痛みはない。



 そして、神核石マナスから電子音声が発せられる。




『Change Try Fighter Ver.X3』

読んでくださりありがとうございますm(_ _)m

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