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第2話 プロローグ ②

2話目です。

『Change Try Fighter Ver.X3』




 無機質なとても人が発するような声ではない、その黒金の存在は両陣営のど真ん中に轟音と共に片膝と片腕の拳つけ着地し地面からゆっくり立ち上がる。



オークも護衛騎士団も、その存在から片時も目を離せず動くことができなかった。




(なんなのだ⋯⋯⋯⋯あれは⋯⋯⋯⋯)




エリシアは、自問自答する。




 どこかの騎士か?




 否―――




 あのような異様な出で立ちの騎士など見たことがない




 魔族か?




 否―――





 魔族ならば直接こちらを襲撃すればいいはず




 答えの出ない存在を双方が見つめていると黒金の存在に動きがあった。急に首元の風もないのにたなびく赤いマフラーが現れたのだ。



 そして、その黒金の目に赤い双眸が宿りまたしても人とは思えない声が聞こえる。




『Try Blade Set Up』




 その声と共に黒金の存在の手には光輝く剣、いや柄以外は光そのもののそれが握られていた。




「うぉおおおおお!トラファイターX3行ってやるっ!!」




 黒金の存在から、今度はちゃんと認識できる言葉が発せられオークの群れに突撃していった。

エリシアは一応敵ではないことに安堵し、その黒金の存在の戦闘能力に驚愕した。




 オークがすべて1刀のもとに切り伏せられていた。どうみても我流の剣で動きはぎこちないが、あの光の剣はすさまじい。不思議なことに返り血が一切でなかったがオークの巨大な体もオークジェネラルの重装甲ごと真っ二つになっていた。



 あっけに取られていたオークキングも焦りを感じたのか黒金の存在を囲み四方から攻撃するように指示を出す。



 あっというまに黒金の存在は囲まれ四方から攻撃を受けそうになる。




(あぶない⋯⋯⋯⋯!)




 エリシアが同時に思ったその時――――




『Try Claw Set Up』




 またもや、人ならざる声とともに黒金の存在の両腕には30cmくらいの分厚い爪が3本ずつ生えオークの攻撃を受け止めていた。



 オークも攻撃を受け止められると、思っていなかったらしく驚愕の表情を浮かべ次の瞬間には黒金の爪により引き裂かれ臓物をまきちらしていた。




「⋯⋯⋯⋯うぷっ⋯⋯⋯⋯」




 エリシアはオークのひどい臓物の臭気による吐き気をこらえ黒金の存在を見ていた。

だれもが女の子は、ピンチのときに現れる存在に憧れるだろう。それは、かっこよく剣を振り涼しげに敵を倒す存在だ。



 決して、いま目の前にいるオークの臓物を撒き散らしてる存在ではないのだ。

だが、エリシアは決して目を離せなかった。



なぜなら――――




『Exceed Try Knuckle』




 オークジェネラルもすべて蹂躙し、オークキングの前にたった黒金の存在から発せられる音声とともに右の拳に光と闇が集まりだす。




「トラファイターパンチ」




 なんの威力もなさそうな、それでゆっくりなストレートはオークキングはあっけにとられ嘲笑した。

無数のオークとオークジェネラルで疲れきったのだろう、そんなパンチを受け止めカウンターでその首をこの大剣で刈り取ればよい、と。




 ポスン⋯⋯⋯⋯





 オークキングにパンチが当たった。なんとも頼りない音だ。オークキングが、大剣をふりかぶるその刃が黒金の首に達しようとしたその時――――




ドバッシャーーーーーー!!




 オークキングの全面にはキズ一つ付かなかったが、背中から臓物という臓物が行きよいよく噴出された。



 エリシアもローゼレッタも騎士団の面々、オークキング当人もなにが起きたか理解できなかった。




 オークキングは崩れるようにその場に倒れ伏すと、残りのオークは蜘蛛の子を散らすように逃げていった。




 残るはさきほどの惨状を作り出した黒金の存在、あまりにも理不尽な暴力と惨劇を作り出したにも関わらずローゼレッタは目をいまだ離せない




 なぜなら――――




(なんて禍々しいのに神々しい存在⋯⋯⋯⋯黒金ニエロの戦士)




 堕ちた神なのだろうか、もしくはそれに類する存在なのだろうか?

とにかく、この場を収めるべくローゼレッタは一歩黒金の戦士に近づき話しかける。




「わたくしはアゼレア王国第一王女ローゼレッタ・フォン・アゼレアと申します。この度は窮地を助けていただき⋯⋯⋯⋯」



ローゼレッタが感謝の口上を述べている最中、黒金の戦士はふらふらとローゼレッタのほうへ向かっていく。




「ま、待て貴殿がいくら助力を下さったとしてもそれ以上姫様の元に近づけさせるわけには――――」




 咄嗟に黒金の戦士とローゼレッタの間にはいり抜剣の姿勢をとるエリシア。



その言葉に反応したのか黒金の戦士の口元の甲冑部分が開き口があらわになる。




「う⋯⋯⋯⋯⋯⋯」




 黒金の戦士からの言葉に皆耳を傾ける。あんなすごい戦士が敵なのか味方のなのかまだ完全に分からない状況、糸が張り詰めたような空間である。




「う?」

「う?」




 そんな、場面で出た意味埋めない発音。ローゼレッタとエリシアは思わず聞き返してしまった次ぐの瞬間。




「うぼろろろろろろ~~~~っ!」




 大丈夫か?怪我はないか?

大した敵じゃなかったな、運動にもならなかったな

姫、このわたくしの忠誠を是非お受け取りください



 味方ならばと、いろいろと妄想していたローゼレッタであったがまさか目の前で吐かれるとは思いもよらなかった。



 あたりのオークの強烈極まなりない臓物臭と伴い、黒金の吐瀉物の臭いがさきほどの光と闇の力が混ざるようにとけあう。それは今まで耐えていた決壊を壊すのに十分な臭いだった。



つまり――――




「うぼろろろろろろ」

「うぼろろろろろろ」




ローゼレッタもエリシアも騎士団全員もらいゲロをした。


 






プロローグで吐瀉するヒロインがあってもいいかもしれません。


みてくださりありがとうございますm(_ _)m

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