季節がめぐる中で 63
「ああ、荷物なら別便でもう送ったからな。それにどうせ殿上会に着ていく装束はあっちの屋敷の蔵から引っ張り出すつもりだし」
そう言いながらも嵯峨の視線は誠達が再生している動画に移った。
「ああ、これか。しかし、非破壊設定だろ?制御系はどうなってるのかね」
嵯峨の言葉で一同は画面を見つめた。画面右上に地図が表示され、誘導反応にしたがって効果範囲設定が設定されていく。
「おい、指定範囲と範囲内生命体の確認画面?こんなのも必要なのか?」
呆れる要。腕組みしたまま動かないカウラ。
「とりあえず一射目はこれでやりましたよ」
そう言う誠の目の前で法術射撃兵器の周辺の空間がゆがみ始めた。
「俺がやるとこのまま空間崩壊が起きるなこれは」
そう言う嵯峨を無視して画面を凝視する誠達。桃色の光が収束すると、砲身が金色に光りだした。法術単位を示すゲージは振り切れている。
「ここです」
誠の声と同時に視界は白く染め上げられた。しばらく続く白い画面が次第に輪郭を取り戻す。
『第一射発射。全標的に効果を確認』
オペレータの淡々とした声が響く。大きくため息をつく誠の吐息まで聞こえる。
『第二射発射準備開始。法術系バイパス解放』
誠の震えている声に要が思わず噴出す。
「笑うこと無いじゃないですか」
「すまねえな。今度こそまともな射撃なんだろうな」
すぐにまじめな顔に戻った要が誠を睨みつける。
「ええ、機体の地図情報から効果範囲を設定。そこへの到達威力の測定がメインですから。一応成功しましたけど」
そう言って胸を張る誠のこぶを押さえる要。痛みに脂汗を流しながら誠は黙って画面を見つめた。
「ああ、いいもの見せてもらったよ。茜、留守は頼むぞ」
「お父様、それは明石中佐におっしゃったらどうですの?」
鋭い切れ長の目からこぼれる視線に気おされるように身をそらした嵯峨はそのままテーブルから立ち上がる。
「じゃあ、お前等もちゃんと仕事しろよ」
そう言うと娘を無視して嵯峨は部屋を出て行った。
「……仕事って言ったって、模擬戦のデータ収集と豊川警察の下請けの駐禁切符切る以外に何があるんだよ」
そう言って要は再び今度は爪を立てて誠の頭のこぶを突いた。
「マジで勘弁してくださいよ!」
涙目で誠は叫んでいた。




