季節がめぐる中で 6
「とりあえず東和陸軍の面々に見てもらおうじゃないか、05式と言うアサルト・モジュールを」
緩んだ顔でヨハンがそう言うと、あわせるようにして誠は固定器具のパージを開始した。
東和陸軍の面々はハンガーの入り口で誠の痛特機を眺めている。薄い灰色の地に『魔法少女ルーラ』や『スクール&バケーション』などの上級者アニメのヒロインキャラを誠のデザインで配置した機体の塗装に彼等は携帯のカメラを向ける。
「凄いっすねえ、神前曹長。人気者じゃないですか!」
冷やかすように言う西を無視して誠は機体をハンガーの外へと移動させた。
「おい、西。頼むからあの野次馬何とかしてくれ」
神前の言葉を聞いた西が保安隊の整備員達を誠の足元に向かわせる。ハンガーの前に止めてあったトレーラを見下ろす。視点が上から見るというアングルに変わり、誠はその新兵器を眺めた。
特に変わったところはない。
これまでも法術や空間干渉能力を利用した兵器の実験に借り出されたことは何度かあったが、そのときの兵器達と特に違いは見えなかった。
『非破壊とか言ってたよな……』
誠はその長いライフルをじっと見つめる。しかし、その原理が全く説明されていない以上、わかりようが無かった。
「神前。とりあえずシステム甲二種、装備Aで接続を開始しろ」
何かを口に頬張っているヨハンの言葉が響く。保安隊の出撃時の緊急度によって装備が規定されるのは司法実働機関である保安隊と言う部隊の性質上仕方の無いことだった。甲種出動は非常に危険度が高い大規模テロやクーデターの鎮圧指示の際に出されるランク。そして二種とはその中でもできるだけ事後の処理をスムーズにする為に、使用火器に限定をつけると言うことを意味していた。
『非殺傷兵器と言うことだから二種なのか』
そう思いながらオペレーションシステムの変更を行うと、目の前のやたらと長い大砲のシステム接続画面へと移って行く。05式広域鎮圧砲。それがこの兵器の正式名称らしい。直接的な名称はいかにも無味乾燥で東和軍中心での開発が行われたと言う名残だろうと誠は思った。そのまま彼の機体の左手を馬鹿長いライフルに向けた。
『左利き用なのか?僕専用ってこと?』
そのまま左手のシステムに接続し、各種機能調整をしているコマンドが見える。
「接続確認!このまま待機します」
右腕でライフルのバーチカルグリップを握って誠の機体はハンガーの前に立った。




