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季節がめぐる中で 45

 廊下に出て周りを見回した誠。もう秋も深くなろうとしている。すでに夕日は盛りを過ぎて、紺色の闇に対抗するべく蛍光灯の明かりが降り注ぐ。

「あの、僕も着替えたほうが……」 

 勤務服姿の誠の問いに肩に手を当てる要。

「いいんだよ、こいつだって先月までは制服以外の服はろくに無かったんだからな」 

 そう言って要は後ろに立つカウラを親指手指した。

「お姉さんにそうしろと言われただけだ。その……」 

 そう言って顔を赤らめるカウラ。要は今度はカウラの肩に手を乗せる。

「なんだ?お姉さんに何を言われたんだ?」 

 そう言ってうつむくカウラに絡みつく挑戦的な表情の要。そしてねちっこくカウラの頬を突く。そのタレ目はゆっくりと方向を変えて誠を見つめた。うつむいたカウラのエメラルドグリーンの髪が蛍光灯の明かりに照らされて輝いて見える。

「何してるの?カウラちゃん、要ちゃん」 

 突然声をかけられて飛びのく要。そこにはお茶菓子の皿を持ったリアナが立っている。

「お姉さんじゃないですか、驚かさないでくださいよ」

 そう言うと良いことを思いついたとでも言うようにリアナに近づいていく要。

「そう言えばなんかコイツにふきこみましたか?」 

 要にそう言われると口に指を当てて天を見上げたリアナ。

「別に何も言ってないわよ。それより誠君、着替えたほうがいいわね。一応いつものあまさき屋とはいえ、腰に拳銃下げてぶらつくわけにも行かないでしょ?」 

 リアナは誠の腰にぶら下がっているホルスターを軽く叩いた。そして要とカウラに向き直った。

「丁度いいわ。二人とも上がりでしょ?これ洗っといてくれない?」 

 そう言うとリアナは手にしていた盆を要に渡す。喰いかけの羊羹や飲みかけの緑茶の残った湯飲みを見て嫌な顔をする要。

「なあに、上官命令よ」 

 そう言うとリアナはそのまま隊長室へと向かう。

「じゃあ着替えてきますね」 

 肩を落としている要にそう言うと誠は廊下を早足で歩いた。雑用を押し付けられた後の要のわがままぶりを知っている誠はとりあえず着替えを早く済ませるのが上策と言うことで、すれ違う時に軽く手を上げたヨハンを無視して更衣室に飛び込む。

「上がりですか。ご苦労様です!」 

 中にはつなぎを着込んだ西が立っていた。

「夜勤か?大変だね」 

 そんな誠の言葉に、西は軽く頷く。

「仕方ないですよ、島田先輩は出張中ですから仕事が結構たまっちゃうもので。それにレベッカさんも早く05式の整備に慣れたいって言ってくれるんで……それじゃあ!」 

 誠は冷やかすタイミングを計っていたが、西は計算したように華奢な体を翻して飛び出していった。

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