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季節がめぐる中で 40

「こなくそ!」 

 叫びながら誠はレールガンをランに投げつける。ランはそれを半分に切り分けるとさらに突き進む。だが、誠もすでにサーベルを抜いていた。

『動きを止めればアイシャさんが何とかしてくれる』 

 そう心に浮かんだ言葉をアイシャへの指示にしようとしたときには、すでにランは切削空間を展開していた。誠のサーベルが空を切る。ランはすでに誠にかまっていない。

「ごめん!誠ちゃん!」 

 そんなアイシャの通信が途切れた。振り返れば誠についてきていたアイシャの機体が爆縮をはじめていた。

「得物は?」 

 サーベルを使うには距離があった。左足を失ったことによる重力バランスの再計算が行われている為に機動力も極端に落ち込んでいる。ランは無情に再びレールガンを構える。切削空間を展開しようとしたが、誠はいつもの訓練からそれが無駄であることを知っていた。視界が途切れれば必ずランは切削空間を使用した転移を行って回りこんでくる。いつもシャムが使う手口だ。

 とりあえず干渉空間をいつでも展開できる体勢でランの機体を見つめた。ランは発砲しなかった。そのままサーベルを右手に引っ掛け、左手でレールガンを構えながら突入してくる。

 とりあえず誠はSマインを放った。誠の読み通り、ランが切削空間を展開する。Sマインの散弾が散らばり、視界が途切れた。誠はわざと動きを止めた。

 ランは誠のSマインが目くらましであることぐらいわかっていると誠は読んだ。そうなれば必ずこちらが切削空間を展開していた以上、転移を行うと読んでくるはずだ。その裏をかく。

 誠はサーベルを握り締めて爆発地点を中心にランの気配を探った。背中に直撃弾。そして撃墜を知らせる画面が全周囲モニタに映し出される。

「どうして?」 

「馬鹿だろ、オメー。アタシがお前と同じ行動を取ったらどうなるかぐらい頭がまわらねーのか?ったく、第二小隊は役立たずぞろいだなあ」 

 ランはそう言うと素早く通信を切った。開くコックピットと装甲版。誠は呆然としながら、こちらを見上げている要とカウラの姿を見ていた。

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