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季節がめぐる中で 36

 そろそろとハンガーを出たプレハブ小屋はグラウンドをゆっくりと移動する。

「ほら!もっと急ぎなさいよ!」 

 はっぱをかける明華。誠の額に汗が浮いた。

「大変ねえ、誠ちゃん」 

 そう言いながらアイシャがハンカチで誠の額を拭う。冷たい視線を整備員から浴びて沈黙する誠。

「オメエなあ。もっと力入れて運べ!」 

 今度は誠の尻を蹴り上げるラン。小柄な彼女だが、その一撃に手が滑りそうになる誠。

「クバルカ中佐。そんなに苛めなくても……」 

 心配そうにアイシャが口を挟むがぎろりと言う音でもしそうな調子でランがアイシャを見上げた。

「クラウゼ。私はこいつ等の管理をタコから引き継ぐんだからな」 

 ランはそう言うとさらに手を滑らした整備員たちの尻を蹴り上げ続ける。

「そうよねえ。清海きよみはちょっと甘かったかも知れないわね。少しは鍛え上げないと脱走で有名な遼南帝国軍が出来上がっちゃうものねえ」 

 そう言いながら次々と自分の部下を蹴り上げていくランを見守る明華。ようやくファールグラウンドから畑に向かう空き地に到着したところで吉田が手を上げた。

「手を挟むんじゃないわよ!私は怪我で休みますなんて認めないからね!」 

 そう声をかける明華。この騒ぎを見て駆けつけたレベッカが心配そうに整備員達を見つめている。プレハブの小屋は静かに雑草の上に置かれた。グレゴリウス13世を連れたシャムが早速中に入る。

「それじゃあお前の腕前見せてもらうぞ」 

 作業服の襟を掴まれて誠が振り向く。ランははるかに大きい誠を掴んでずるずると引きずり始める。

「大丈夫ですよ!逃げたりしませんから!」 

 そう叫ぶ誠を鋭い目つきでにらみながらランはようやく手を離した。

「そうだ、クラウゼ!」 

 シャムと一緒にグレゴリウス13世と遊んでいるアイシャを呼ぶランの一声。アイシャはそのまま跳ね上がるように立ち上がるとそのまま駆け足でランのところまでやってくる。

「お前も付き合えよ。カウラの機体のシミュレータなら使えるんだろ?」 

 そう言ってつかつかとグラウンドを横切ってハンガーに向かうラン。誠とアイシャはお互い顔を見合わせるとその後に続いた。

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