表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
24/171

季節がめぐる中で 24

 そのまま戦闘機のエンジンを製造している建物を抜けて、見慣れた保安隊の壁に沿って車は進む。だが、ゲートの前には完全武装した警備部の面々が立っていた。

「どうしたんだ?」 

「ベルガー大尉!実は……」 

 スキンヘッドの男が青い目をこすりながら車内を覗き込んだ。

「ニコノフ曹長。事件ですか?」 

 誠を見て少し安心したようにニコノフは大きく息をした。

「それがいなくなりまして……」 

 歯切れの悪い調子で話を切り出そうとするニコノフに切れた要がアイシャの座る助手席を蹴り上げる。

「わかったわよ!降りればいいんでしょ?」 

 そう言って扉を開き降り立つアイシャ。ニコノフの後ろから出てきたGIカットの軍曹が彼女に敬礼する。

「いなくなったって何がいなくなったのよ。ライフル持って警備部の面々が走り回るような事件なの?」 

 いらだたしげにそう言うアイシャに頭を掻くニコノフ。

「それが、ナンバルゲニア中尉の『お友達』らしいんで……」 

 その言葉を聞いて、車を降りようとした要はそのまま誠の隣に座りなおした。

「アイシャも乗れよ。車に乗ってれば大丈夫だ」 

 要の言葉に引かれるようにしてアイシャも車に乗り込む。開いたゲートを抜けてカウラは徐行したまま敷地に車を乗り入れる。辺りを徘徊している警備部の面々は完全武装しており、その後ろにはバットやバールを持った技術部の隊員が続いて走り回っている。

「シャムさんのお友達?」 

 誠はそう言うと要の顔を見つめた。

「どうせ遼南の猛獣かなんか連れてきたんだろ?先週まで遼南に出張してたからな」 

 要の言葉に頷くアイシャ。

「猛獣?」 

 誠はあの動物大好きなシャムの顔を思い出した。

「部隊には吉田に言われて黙ってたんだろ?あの馬鹿はこう言う騒動になることも計算のうちだろうからな」 

 投げやりにそう言った要は、突然ブレーキをかけたカウラをにらみつけた。

「なんだ?あれは」 

 カウラはそう言って駐車場の方を指差した。そこには茶色の巨大な塊が置いてあった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ