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季節がめぐる中で 22

 助手席でうつむくアイシャをうっとおしく感じたのか、カウラは生協の駐車場に車を乗り入れた。

「誠ちゃんとカウラはいいの?」 

 アイシャの言葉に首を振るカウラ。

「僕はいいですよ。せっかくナンバルゲニア中尉の好意ですから」 

 そう言う二人を見て、アイシャはそのまま車を降りた。

「今回の殿上会か……荒れるな」 

 要はそう言うと車から降りようと、アイシャの座っていたシートを動かしてそのまま外に出た。伸びをしてすぐに彼女は胸のポケットに手を伸ばす。

「荒れるって?」 

 誠の言葉を聞きながら要はタバコに火をつけた。

「おい、誠。胡州の国庫への納税者って何人いるか知ってるか?」 

 タバコをふかしながら前の工場の敷地内を走るトレーラーを眺めながら要が言った。

「そんなこと言われても……僕は私立理系しか受けなかったんで社会は苦手で……」 

 そう答えて頭を掻く誠に大きなため息をついて要はタレ目でにらみつけてくる。

「三十八人。全員が領邦領主の上級貴族だ。胡州は領邦制国家だからな。領邦の主である貴族がすべての徴税権を持っている」 

 カウラは迷う誠をさえぎるようにしてそう言った。

「さすが隊長さんだ。胡州の政治情勢にも詳しいらしいや。その三十八人の有力貴族はそれぞれに被官と呼ばれる家臣達が徴税やもろもろの自治を行い、それで国が動いている。まあ世襲制の公務員と言うか、地球の日本の江戸時代の武士みたいなものだ」 

 そう言うと要はタバコの煙を噴き上げる。

「けどよう、そんな代わり映えのしない世の中っつうのは腐りやすいもんだ。東和ならすぐ逮捕されるくらいの賄賂や斡旋が日常茶飯事だ。当然、税金を節約するなんて言うような発想も生まれねえ」 

 いつに無くまともなことを口にする要だが、彼女は胡州貴族の頂点とも言える四大公筆頭、西園寺家の嫡子である。誠は真剣に彼女の話に耳を傾けた。

「今回の殿上会の議題はその徴税権の国への返還だ。親父の奴、この前の近藤事件の余波で保守派の頭が上げにくい状況を利用するつもりだぜ」 

 そう言うと要は車の中を覗きこんだ。カウラはハンドルに身を任せて要を見つめていた。誠は膝に手を置いた姿勢で要を見上げている。

「しかし、それでは殿上会に無縁な下級貴族達の反発があるだろうな。胡州軍を支えているのは彼ら下級貴族達だ。特に西園寺。お前の籍のある陸軍はその牙城だろ?大丈夫なのか?」 

 カウラは静かにハンドルを何度も握りなおしながら振り返る。

「だから荒れるって言ってんだよ」 

 そう言うと要はタバコをもみ消して携帯灰皿に吸殻をねじ込んだ。

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