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季節がめぐる中で 18

「まあ大丈夫なんじゃねえの?」 

 そう言って要が胸のポケットに手をやるのをカウラがにらみつけた。

「タバコは吸わねえよ。それより前見ろよ、前」 

 そう言って苦笑いを浮かべる要。渋々カウラは前を見た。道は比較的混雑していて目の前の大型トレーラーのブレーキランプが点滅していた。

「そう言えば要ちゃん義体変えたんだってね?」 

 切れ長の目をさらに細めて要を見つめるアイシャ。紺色の髪がなびく様の持つ色気に誠は緊張しながら、その視線の先の要を見た。

「なんだ、それがどうしたんだ?」 

「なんか少し雰囲気が違うような……」 

 とぼけたような調子でアイシャが要を見つめている。はじめのうちは無視していた要だが、アイシャの視線が一分ほど自分に滞留していることに気付くとアイシャの目をにらみつける。それでもアイシャの視線は自分から離れないことに気付くと、要はようやく怒鳴りつけようと息を吸い込んだ。

「胸、大きくしたでしょ?」 

 先手を打ったのはアイシャだった。その言葉に怒鳴りつけようと吸い込んだ息をむせながら吐き出す要。

「確かにそんな感じがしたな」 

 カウラまで合いの手を入れた。誠の隣で要の顔色が見る見る赤く染まっていく。

「88のEから93のF……いやGかしら?」 

 そう言いながらアイシャは視線を落として気まずい雰囲気をやり過ごそうとする誠を眺めていた。

「おい、テメエ等なにが言いてえんだ?」 

 要の声は震えている。

「西園寺。暴れるんじゃないぞ」 

 そう言うとカウラはそのまま前を向いてこの騒動からの離脱を宣言した。しかし、アイシャはこの面白い状況を楽しむつもり満々と言ったように、後ろの要に挑発的な視線を送っている。

「やっぱり、配属してからずっとレベッカちゃんが誠ちゃんにくっついているから気になるんでしょ?」

 誠はそこまでアイシャが言ったことで、なぜ要が義体のデザイン変更を行ったかに気付いた。アメリカ海軍からの出向組である第四小隊のアサルト・モジュールM10には専属の整備技師レベッカ・シンプソン中尉が着任した。彼女が一気に保安隊の人気投票第一位に輝いたのは様々な理由があった。

 金色のふわりとした長い髪、知的でどこか頼りなげなめがねをかけた小さな顔、時々出る生まれ育った長崎弁ののんびりとしたイントネーション、そして守ってやりたくなるようなおどおどとした態度。

 だが、なんと言ってもその大きすぎる胸が部隊の男性隊員を魅了していた。一部、カウラを御神体と仰ぐカルト集団『ヒンヌー教』の信者以外の支持を集めてすっかり隊に馴染んでいるレベッカを見つめる要の視線に敵意が含まれていることは誰もが認める事実だった。

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