季節がめぐる中で 147
「さっさと武器の返還してと!飲むぞ!今日は」
部下達にそう言うとマリアは手にしていたSVDSドラグノフを武装保管担当の兵士に手渡した。
「ああ、そう言えばキムの野郎バカンスだとか言ってたな」
次々とベストからライフルのマガジンを取り出しては担当兵士に渡していく警備部の兵士達を見ながら要がつぶやいた。
「そう言えばそうですね」
「いなくても気がつかない……影が薄いんじゃないの」
誠とアイシャの言葉に頷きかけたカウラだが、そこは隊長らしく深く考え込む。
「それは言いすぎだろ。キムは一応部隊の二番狙撃手だ。なにか別任務でも隊長から与えられているかも知れないだろ?」
そう言うカウラだが要とアイシャは一斉に天井を向いて一考した。
『それは無いな!』
二人がタイミングを合わせたようにそう言う。
「おう!ご苦労さん」
そう言ってエレベータから現れたのは明石だった。
「タコ、今回の作戦はこれでいいのか?」
言いたいことが山ほどあると言う表情で明石を睨みつける要。だが、そのつるつるの頭を叩いているサングラスの大男はただにやにやと笑うだけだった。
「中佐は今回は留守番ですか?」
「ああ、まあそう言う形になってもうたからのう。ワシ等が出張らなならんようになったら困るんじゃ。そう言う意味では神前はようやってくれた」
そう言ってからからと笑う明石。
「ほうじゃ!ワレ等の健闘を祝してケーキを用意しといたから……食うか?」
自信満々でたずねる明石。だが、要は辛党であり甘いものは苦手だった。露骨に嫌な顔をする。
「ああ、それといろいろと酒も用意しといたけ、気が向いたら……」
「なんだよ、タコ。それなら早く言えよ。神前!行くぞ」
そう言って誠を引っ張る要。
「無茶しないでよ!クーラーボックス落しちゃうでしょ!」
引っ張られてあわてるアイシャ。酒に釣られている要はそのまま軽がるとクーラーボックスを持ち上げてエレベータに向かう。
「おい!置いてくぞ!」
よく見れば缶ビールを飲みながら明石や要に先駆けてエレベータの中にいるカウラ。
「ちゃっかりしているのね」
缶ビールをちびちび飲むカウラを呆れた視線で眺めながらアイシャは冷えた両手をこすって暖めている誠の背中を押すようにしてエレベータに乗り込んだ。




