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第十一話「かみ」

 


「なぜ動物を食べてはいけないのでしょうか?」


 俺は神と呼ばれる人物に質問した

 神と呼ばれる人物は庭のテーブルに座っており

 彼女の手のひらには小鳥たちが乗り音楽を奏でている


「動物は食べ物ではありません、友達です」


 彼女はエリナとも呼ばれエリナ教創設者でもある


「ですが、人間が動物の中では頂点だと思います」

「だから動物を食べてもいいと?」

「……はい」

「それは傲慢です、何度も言いますが動物たちは食べ物ではありません」

「……」

「なぜ動物たちがあなたがたを見て逃げ出すか分かりますか?」

「……分かりません」

「あなたがたが動物たちを脅かす存在だからです」


 神と呼ばれる人物は美しい容姿をしているが

 近づきがたいオーラを放っていた 

 

「では何故人間は動物たちを食べるのでしょう?」

「それは昔の人々が興味本位で動物を食したことから始まります」

「……」

「彼らがやったことは愚かとしか言い様がありません」


 彼女の言葉には説得力がある


「ですが動物を食べないと生きていけない人もいます」

「ならその人たちにあなたがたが食べ物を譲れば済む話でしょう」


 俺たちは狩猟をして今まで生きてきた

 確かにその通りだ

 だが待てよ


「その人たちも食料に余裕が無いのではないでしょうか?」

「いいえ、神は全ての人間に食料が行き渡るように配慮しております」

「ではなぜ?」

「恐らくその人たちが暴食なのが原因かと思われます」


 エリナが言ってることは的を射ていた


「それで私たちに食料が行き渡らないと」

「そういえば、あなたは狩猟を行っていた方でしたね」

「ええ、そうです」


 俺たちの周りでは狩猟を行うことが禁止されている


「エリナ様、何卒狩猟をすることをお許しにならないでしょうか?」

「ダメです」

「そうじゃないと私たちは生活出来ないのです」

「その運命を受け入れなさい」

「無理です! 私には!!」


 俺はポケットからナイフを取り出した

 その途端彼女の手のひらに乗った小鳥たちが飛び立つ


「どういうつもりですか?」

「これも私たちの生活のため」

「私が殺されてもこの習慣は生き続けるでしょう」

「……」

「それに私を殺せばあなたがたは罪を被り死後苦しい思いをします」

「何だよ! 上から偉そうに!!」


 そう言って俺は彼女をナイフで突き刺した

 

「こんな……ことをしても……何も変わらないというのに……」


 彼女は体から血を流しその場に倒れ込んだ














「お帰り、エリナ」


 声がする


「神よ、私がやったことは本当に正しいのでしょうか?」

「ああ、君は間違えていない」


 相変わらずこの声は聞いてて心地良い


「神よ、私は無念です、使命を果たせないまま死んでしまいました」

「いいや、君は充分使命を果たしてくれた」

「……」

「君の教えは後生にも生きるだろう」

「神よ、もう一度私に使命をお与えください」


 私は神に懇願した


「いや、君の使命は他の者に受け継がれていくだろう」

「……」

「君に神として世界を管理する役目を与える」

「私にそんな大層なこと出来ません」

「君なら出来る」

「……」

「使命と言えば分かってもらえるかな?」

「……分かりました」


 その途端周りの景色が一気に変わった

 普通に見る分には霊界とは変わらないのだが

 感覚的にはもっと高い感じを受けた


「これが……神になるということ……」


 私は神になった幸せを享受した



















「人間とは愚かなものだ」


 私は相変わらず世界を眺めそう呟く

 エリナ

 彼女は良くやってくれた

 しかし、彼女は殺されてしまった

 彼らは自分たちの生活を優先した

 そんなことをしても根本は何も変わらない

 不幸が広がるだけだ


 彼らがいづれそれに気づくことを切に願う

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