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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

悪役令嬢の女中

作者: 秋兎

私は転生者だ。

小説でよくある乙女ゲームの1人に転生してしまった私は、最初こそ人生勝ち組とまで1人悦に入っていたが、周りをよーく見て気づいてしまった。


私の仕える悪役令嬢様は生前好きだったガンアクション漫画の主人公だと。

しかも、戦闘好きで一度スイッチが入ってしまうと、皆殺しし兼ねないトリガー・ハッピー(むやみに銃で撃ちたがる者)であることを。


漫画では、カッコイイ!とかこの人に殺されたい!とか軽く思っていましたが、実際に目の前にいていつ起爆してもおかしくない状況では、そんなこと軽々しくは言えない。


ただ救いだと言えるのは、お嬢様はまだ目醒めてはいない(・・・)。

まだお嬢様が殺めたのは護身用ナイフで暗殺者を数人程度。

普通からしてみれば十分過ぎるが、私の知る漫画のお嬢様は1話で10人以上殺すこともザラにある。それが今は正当防衛で、銃ではないのだ。


だが、勿論のことだけど元の乙女ゲームではお嬢様の殺人設定なんてない。それが影響してか、この世界は物語から少しずつ改変されてる感は否めないが、概ね平和でありお嬢様の性格も漫画の時よりはお淑やかである。


まあ、私が原作より大きく変わってしまったなと感じるのは、お嬢様の婚約者であるリロイド様だ。

この世界の攻略者の1人でもあるが、俺様な美形が売りだった筈なのに相手が悪かった。お嬢様は漫画でもなのだが色恋ごとに疎い。あまりにも釣れない態度にリロイド様は気を引くために様々なことをしてきたが……。


「暗殺者を送りこんじゃうなんて」


最初は可愛いもんだった。カエルや蛇のゲテモノ類から始まった悪戯は数年前から人攫いや暗殺者にまで行ってしまった。

そこで婚約解消とならないのは、お嬢様が「殺していいの?なら構わないわ」なんて言っているからだ。


お嬢様は完全ではないが、原作へと少しずつ近付いている。

殺しへの快楽を知り過ぎているお嬢様にとってこの世界はきっとつまらないものなのだろう。

でも、だからと言ってお嬢様を漫画のようにはさせたくない。


「お嬢様……直ぐに片付けいたします」

「ハイネ、……ごめんなさい。こんなに散らかすつもりはなかったの」


今日は2人。

お嬢様の身体を返り血が汚し、お嬢様の白い肌をくすんだ赤が際立たせている。まだ興奮の解けぬ表情は死への恐怖と快楽が混じり合い妖艶的見えた。

殺しなれた漫画では見れなかった残酷で美しい姿に私は思わず息を飲んだ。


先程の漫画のようになって欲しくないという気持ちとは反対に、血に濡れ、快楽へと絡められていくお嬢様を間近で見続けたいと思う自分がいる。


「お嬢様、そのような格好では風邪を引いてしまいます。お風呂の準備が整っておりますのでお入り下さい」

「わかったわ。ねぇ、ハイネ……。私っておかしいのかしら」

「いいえ、お嬢様。お嬢様がおかしいのではなく、この世界がおかしいのです」


お嬢様の瞳は、得体の知しれない自分の渇望感に恐怖しているのか僅かに揺れている。


お嬢様はここへ来るべきではなかった。

ですが、お嬢様がここにいる以上、私はお嬢様をトリガー・ハッピーなんかにさせない。


読んで頂き、ありがとうございます。

誤字、脱字がありましたら教えて頂けると嬉しいです。


この作品ですが、もっとこうして欲しい!など意見がありましたら参考にしたいので教えて頂けると嬉しいです!

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