偉大なる発明
「ついに完成したぞ。」
ジェイ博士は大声を挙げた。
助手も手をたたいて喜んでくれた。
「博士!やりましたね。これであいつ等に目にものを見せてやりましょう。」
「そうだな、私の発明をバカにしていた奴らをギャフンと言わせてやろう。」
「その前に試験をしないとな。いざという時に恥をかかんようにな。」
そして助手は、準備に取りかかる。
一見するとただのテレビのような感じに見えるが、普通のテレビとは違っていろいろな形をしたアンテナや基盤がむき出しになっている。いくつものスイッチを順番通りに入れていくと、テレビのようなものからブォンという低い音がなった。どうやら動き出したようだ。
このテレビのようなものが、世紀の大発明だというのだ。
「準備が出来ました!」
「よし、私の理論が正しければ、これにすばらしい……。」
と、博士は黙ってしまった。そして助手に向かって
「君はクレジットカードを持っているかね?。私は研究費に莫大な借金をしてしまい、もっておらんのじゃ。」
困った顔をして、助手も
「私もです。」
「これじゃ試験失敗じゃ。」
せっかくの世紀の大発明だったのに残念で仕方がありません。
「よし、気を取り直して別の開発を始めよう。」
と、いう博士に助手はこう言いました。
「私の知人にたいそうな金持ちがいます。そいつを使って試験をしましょう。」
「しかし、これは発表するまで君以外、関わって欲しくないのだが…。」
「ですが博士!今までの苦労を水の泡にするつもりですか!?。」
しばらく考えた博士は、助手にこう命じた。
「ある程度のことは説明しても構わん。その知人とやらを連れて来てくれ。」
「はい!」
と、助手はすぐに出かけていった。そして知人宅についた助手は、
「ついに世紀の大発明が完成したんだ。」
知人は興味津々の眼差しで助手を見た。
「それはな、あの大発明家だって完成させることが出来なかったものだ。」
知人の目が爛々としてきた。
「何だ、それは!?」
「霊界と繋がるテレビ電話だ。」
それを聞いたとき、知人は
「すごいじゃないか!、これで様々な問題点が解決できるぞ。早速見せてくれ!。」
助手と知人は急いで博士の研究所に戻った。
「博士!知人を連れてきました。」
博士は早速準備してあった、霊界とのテレビ電話の前に座ってもらった。
「ではスイッチを押してくれたまえ。」
と言われ知人は、その指示に従った。
しばらくすると画面に文字が浮かんできた。
「この通話は、一分間でおよそ50円の料金がかかります。またご指定された魂を呼び出す際は、指名料がかかります。まずはお支払いの為のクレジットカード番号を教えてください。」
と……。
知人はボソッとつぶやいた。
「地獄の沙汰も金次第か……。」
終わり。