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悠の家



サブタイトルまんまですが、どーぞ!!



初めて知った。

由里が私を好きだったなんてーー。



今思えば、疑問に思う場面がいくつかあった。


なんで気づかなかったんだろう。

それに、最後に見た苦しそうな顔。

あれは、なんだったのかーーー。





薄暗くなってきた道を、りさは俯きながら歩く。街灯がぽつりぽつりと道をてらしていた。


答えのない問題に、頭の芯が酷く痛んだ。



もう元には、戻れないのかなーー。





ーーカサっ。

りさが思い悩んでいると後方で茂みが揺れる音がした。


しかし、振り返ってもだれもいない。



りさは首を傾げて、また歩きだすと、

ジャリ、ジャリと後をつけてくる音がした。



誰、なんだろ・・・。


りさは怖くなって、小走りで暗い小道を急いだ。




ジャリジャリジャリっ。


りさが速く走るほど、足音も速く大きくなる。




な、なんでついて来るのーーっ?


恐怖で何度も躓きながら、それでもりさは走った。

気が遠くなりかけたその時、家の明かりが見えた。


どうやら、無我夢中で走っているうちに、りさの家とも近い悠の家まで来ていたらしい。





悠ーーー。


悠のことで悩んでいたことも今は気にしていられず、家の戸を叩いた。




「りさです!悠いる?ーーいたら開けてっ」



声を大きくして聞くと、返事が返ってきた。




ーーガチャ。


家の戸が開けられる。



「りさ、珍しいね。ーーどうしたの?」





悠が心配そうに聞いてくる。

その顔を見て、心底ほっとした。



「ごめん、ちょっと・・・。あがってもいい?」


「?。どうぞーー」


「ありがとう」



そう言って、靴を脱ぐために屈み込むと、悠の脱いだ靴が目に入った。



ーー草?


悠の靴には草がついていた。

しかも、つい先ほどついたばかりのように見える。



ーーさっきまで外に出ていた?

そういえば、あの足音は途中で止んだ気がする。

茂みがある道も通ったし・・・。




「大丈夫?」



りさが俯いたまま考えていると、悠が不安そうに覗き込んでくる。



「だ、大丈夫!」



いや、まさか。

たまに怖い時はあっても、こんなに優しい悠がするはずない。

あの時だって、なんか理由があったんだーー。





「とりあえず、お茶でも飲む?」


「うん」



悠の言葉に頷く。

キッチンへと消える姿を見届けた後、改めて部屋の中を見回した。




懐かしい・・・。


今座っているソファーも、ソファーの上(わたしの横)にちょこんと座っているクマのぬいぐるみも、子供用の小さいテーブルも、どれもが小さい時悠の家に遊びに来た時のまま。


悠達家族はしばらくこの 家にいなかったはずなのに・・・・。

何一つ変わらず、小さい時のまま時間が止まっているみたい。



りさがふと目をやると、写真が飾ってあった。




これはーー。


りさと悠がまだ小さい時に撮ったツーショット写真。

しかし、悠の顔は幼さが感じられない、無表情なものだった。




この時はまだ、悠って全然笑わない子だったっけ。

その無表情が怖くて、でも危うげな感じが心配で、わたしはよく悠の後を追いかけてた。




「懐かしい?」


「わっーー。悠」



いきなりの悠出現に驚くと、悠は不満そうな顔をした。



「わっ、はちょっと傷つくんだけど」


「ご、ごめん。びっくりしちゃって・・・」


「ーーまぁ、いいけど。

はい、お茶」


「あ、ありがとう」



温かいお茶をゆっくりと飲む。

昔飲んだ時と同じ、悠の家の味がした。



「・・・・写真、見てたでしょ」


「うん」


悠は写真を手に取って、それを愛しそうに眺めた。



「この頃から、りさは優しかった。

僕はいつもりさのその優しさに、救われていたんだよ」


「悠・・・?」



少し悲しげにも見えるその横顔が気になったが、悠はすぐに話を変えた。




「それで、なにかあった?」


「えっ・・・」


「なにかあったから、僕の家に来たんでしょ?」


「・・・・・」



ど、どうしよう。

正直に言うべき?

でも気のせいだったら、

迷惑だし。



「な、なんでもない!

ただ、久しぶりに悠の家に来てみたくなっただけだから・・・・」


「ふーん」



悠がうろんな目つきで近づいてくる。

りさも後ずさるが、すぐに壁に突き当たってしまった。



「一人暮らしの男の家に来るってことが、どういうことかわかってる?」



ふるふる、と首をふる。

今までとは違う悠がいた。



悠はりさの両手首を手で抑えた。

その拍子に飲んでいたコップを落としてしまう。



ガシャンっーー。

耳障りなコップが割れる音が、部屋に響いた。




「悠、放してっ」



りさが抵抗しても、びくともしない。


男の人なんだ、悠はーー。

あたり前のことを、今さら実感した。




耳元に悠の唇が寄せられる。


「僕は君をどうとでも出来るんだよ。

力じゃ、絶対りさは僕に勝てないんだからーー。

ね?」


「ーーひゃっ」



耳をそっと噛まれる。


それから、悠はりさを名残惜しそうに解放した。



「今日はもう許してあげる。けど覚えておいて。

りさ、君は女の子なんだ」


「・・・う、うん」




それから、別れを告げて悠の家を出る。




『りさ、君は女の子なんだ』


気をつけてーー。



そう口の形だけで告げてきた悠の言葉が忘れられない。


なにかを懸念するような響きが、りさの中を木魂していた。





話の展開がなかなか進まない(泣)


けど、だんだんと佳境に入っていく予定です!

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