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親友〜由里〜


由里ちゃん目線のお話です。


では、どーぞ!!

うちには、友達なんていない。



『由里ちゃん、あたし達親友だねっ』



吐き気がする。虫ずが走る。


親友?なにそれ。

うちに得でもあんの?

本気で言ってんの?

本気で言ってるとしたら、あんた愚かだな。




「うん、そうだね」



しかし、思っていることとは反対の言葉を口にする。

内心とは全く裏腹なことを言っている自分に、嫌気がさした。






自分はもしかしたら、人を好きになることができない人間なのかもしれない。



由里はいつからか、そう思うようになっていた。


実際、それ以降も人を好きになることなんてなかったし、心のどこかで他人を見下していた。




だから、これから先もずっと″そう″なのだと思っていた。


りさと会うまではーー。





+++++++++++




りさと初めて言葉を交わしたのは、高校に入ってすぐの頃だった。


その頃、由里は他人を信頼することもなく疲れ果てていた。



けれど、ずっと見せかけだけでも笑顔でいたし、人には優しく接していたつもりだから、自分が

″そう″なのだとばれない自信はあった。






その日は、日直でたまたま学校に残っていた。


そこで、同じく先生からの課題を残ってしていたりさと会ったのだ。




「あれ?由里ちゃん。

残ってなにしてるの?」



・・・・ちゃん。うちに、ちゃんづけするのはあんただけだよ。


と、密かに思う。

なんたって、カッコイイと騒がれることはあれど、可愛いなんて言われることはなかった。


みんなうちのことは苗字か呼びすてだった。


だから、ちゃんづけで呼んでくるりさは新鮮だった。


今思えば、それがりさに

興味を持ち始めたきっかけなのかもしれない。




「由里ちゃんは、可愛いよ」


「・・・・・・」



いつの間にやら目の前に来ていたりさが言った。

不意を打たれて、つい黙ってしまった。

なにもかも見透かすかのような、真っ直ぐな瞳をしていた。

由里が″そう″だということも見透かされているような気がした。



「・・・そんなわけ、ないよ」



ようやく口から出てきた言葉は、小さく、かすれていた。



「可愛いよ。今の由里ちゃんはそう思えなくても。ーーー由里ちゃんならきっと大丈夫」



ーー大丈夫。

なぜだか、その言葉に泣きたくなった。


この子なら理解してくれるかもしれない、不思議とそう思った。



そんな出会いから、数日後。


うちらは、よく話すようになった。

何故かはわからないけれど、りさの傍にいるとほっとした。

素の自分を隠さないですむような、そんな気がした。



+++++++++++



今うちの前で泣いて話しているりさがいる。


どうやら、昔の幼馴染みとやらに迫られたらしい。


どう声をかければ正解なのか、由里にはわからなかった。



普通の親友なら、抱きしめて、大丈夫だよ、って声をかけるものなのかもしれない。


けど、うちは・・・。


話を聞いていてイライラした。

自分以外の人がりさに触れたということが、許せなかった。



その思いからか、今まで隠してきた思いが溢れ出てきた。






「じゃあ、うちがその人を殺してあげる」



口から自然と出てきた言葉に自分でも驚いた。


あぁ、うちはこんなにもりさが好きだったんだ。


改めて自分の思いを実感したような気がした。

それからはもう、止まらなかった。



「うちはずっと前から、りさが好きだったよ」



言ってしまってから後悔する。


ずっと隠してきたのに・・・・。ただ、りさの傍にいられれば、それで充分だったはずなのにーーー。


親友失格、だよね?



自分がどんな表情をしているのかもわからなかった。

声をあげて泣いてしまいたいのに、天の邪鬼な自分がいて、笑顔の仮面を被る。


もう親友には戻れない。

それだけはわかったから、由里は思いのたけをりさにぶつけた。



深くキスをして、自分だけのものにしようとした。


りさの怯えた顔が見える。

その顔を見て可愛いと思う自分はやっぱり異常なのかもしれない。



このまま、りさをめちゃくちゃにして、傷つけて傷つけてうちのことを忘れられないようにしたい。



由里はそう思った。



好きだよ、りさ。

好きで好きで好きで。

どうしようもないんだよ、りさ。


うちはどうすればいい?

最初から、りさを傷つけたい訳じゃなかった。

それは本当なのに。




りさ、助けてーー。





由里ちゃん、どーでしたでしょうか。


抑えられない気持ちって、だれにでもありますよね?



まぁ、暴走具合にもよるかもですが・・・。





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