親友
いろいろと重なり、
遅くなってしまいました(汗)
今回は久しぶりに、
鬼原 由里ちゃんが出てくる話です。
『急な用事ができてしまったため、先に帰りました。本当にごめんなさい。
埋め合わせは今度します。』
先輩宛てにそうメールを送ると、ベッドに突っ伏した。
「つかれたーー」
心からの声が出た。
今日の悠、怖かったな。いつからあんな風になってしまったんだろ。
その疑問ばかりが、頭の中を埋めつくす。
しかしいくら考えを巡らせても、ほしい答えは得られなかった。
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翌日。
学校での放課後。
りさは鞄をとりに職員室から教室へと戻ってきた。
「りさー!お帰り」
教室の戸を開けると、由里が満面の笑顔でりさを出迎えた。
「ただいま。なんかあった?」
「なんで?」
「いや、すごい笑顔だから」
そう返すと、由里はより一層笑顔になった。
「朝も思ったけど。
休み挟んで、久しぶりにりさに会えたから嬉しくて」
そう照れて言う由里に、りさは微笑を浮かべた。
「やっぱり、由里といると安心するよ」
「そう?」
「うん。由里みたいな親友がいてよかった。
ーー昨日も色々あったし」
「・・・親友か」
その呟きは小さいもので、りさの耳には届かなかった。
しかし、苦虫を噛み潰したかのような、少し痛々しいまでの自嘲的な笑みは目についた。
「由里ーーー」
「昨日、どーかしたの?」
りさが気になって尋ねようとするのを、まるで遮るかのように由里は聞いた。
「え、あ、うん。
昨日・・・・・」
りさは昨日起こった出来事を一通り由里に話した。
由里はりさが困っている時は、いつも助けてくれるのだ。
だから、そんな由里をりさはとても信頼していた。
それこそ、誰にも負けない自信があった。
「へぇ、そんなことが」
「うん。
なんでこんなことになったんだろうって、わたしーーーーっ」
涙が出てきて止められなかった。
由里の前でなら我慢しなくていい、そう思えた。
「じゃあ、うちがその人を殺してあげる」
「え・・・・・・?」
そう恐ろしいことを口で言いがら、由里の指はまるでガラス細工に触れるかのようにりさの涙を拭った。
「そうすれば、りさは苦しまずに済むでしょう?
ーーりさが苦しんでいる顔もうちは好きだけど、その原因がうち以外なのはいやだからね。
だから、
うちが殺してあげる」
その顔は、まるでテストでいい点を取った時のようなくもりのない笑顔で、夕日に照らされていつもより一層綺麗に見えた。
それが、今のりさには不気味なもののように見えた。
由里はその綺麗な笑顔で、近づいてくる。
「・・・・っ」
りさは恐くなって後退った。
しかし、その分由里も間合いを詰めてくる。
そして、もう後退れなくなった時、由里は小さく呟いた。
「りさは気づかなかったようだけど。
うちはずっと前から、りさが好きだったよ」
「・・・・・・・っ!?」
由里は深くりさにキスをした。
それは苦しくなるほどの、強い思いだった。
「ーーーんっ」
由里の舌が、りさの舌を絡めとった。
その行為が恐ろしくて、また涙が出た。
「ーーい、いやっ!!」
「ーーーっ」
やっとの思いで由里を引きはがす。
由里は、笑顔だった。
「嫌だった?
ーーけど、キスした時のりさの顔、涙まで流して、すごく可愛かったよ。
今までずっと我慢してたんだよ?ずっとずっとずっと、りさを見て、犯したいって思ってた。けど、りさのよき親友としてずっと我慢してた。
けれど、それももう無理。
だって、先に勝手なことをしたのはりさだから」
「勝手・・・なこと?」
りさは涙に濡れた顔を傾げた。
「そう、勝手にうちになにも言わず遊園地なんかに行くから・・・・」
「だってーー」
「だってじゃない!!」
「・・・・・・」
完全に由里は怒っているようだった。
「それともなに?
うちのことを焦らしてるの?
ならもっといじめてよ。
りさから与えられるものなら、苦しみでも痛みでもなんでも快楽になるから。
りさの全てがうちのもの。
だから、他の奴のものになるなんて許さないから」
その言葉は先日の悠のものと似ていて、それはまるで呪いの言葉のようだった。
大胆、由里ちゃん。
て、主人公はかわいそうな気もしますが・・・。
まぁ、ヤンデレって時点で、主人公気の毒な感じですよね。
た、たぶん・・・。
あとこれは余談ですが、由里は当初もっと変態設定でした。