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5.冷凍保管庫殺人事件

 (特別調査員・二村幸治)


 目の前では社長が苛ついていた。社長はどっかの漫画か何かにでも出てきそうな、ガマによく似た造形をした中年で、センスのないあだ名をあえて付けて、俺は心の中でガマウシと呼んでいた。そのガマウシが俺を睨みつけながら言う。

 「殺人事件だぞ? いったい、どうなっているんだ?」

 そんな事、俺に訊かれても困る。

 と、内心では思いながらも俺は必死に演技をして真剣な振りをしつつ、「まったく、困った事態で」と、そう答えた。本当は全くやる 気がない。いい加減、座りたかったが、ガマウシ社長がずっと落ち着きなく歩き回っているものだから、座る訳にもいかずずっと立っていた。

 「あの養殖タコは、うちの主力商品なんだ! こんな事で頓挫して堪るか! 全く、意味が分からん!」

 また、ガマウシが怒鳴った。パワフルな親父だ。よく体力がもつ。まぁ、怒る気持ちは分からないでもないが。軌道に乗り始めたと思っていた商品に妙な風聞が流れ、しかもそんな中で、その商品の冷凍保管庫で殺人事件まで起こってしまったのだから。だが、社長の怒りが治まらない原因はそれだけじゃないだろう。恐らくは、隣にいるこの男も原因の一つになっている。ガマウシ社長は俺が連れてきた、この神原とかいう男が気に食わないのだ。いや、気に食わないとも少し違うか。きっと、苦手なのだと思う。

 「まぁ、そう怒らないで。怒っても問題は解決しませんよ」

 神原とかいうこの男は、にこにこと笑いながらそんな事を言った。イヤな男だ。と、俺はそう思う。どこに本心があるのか分からない態度をしている。掴みどころがない。職業は人気のないカウンセラーなのだそうだが、その割には妙に偉そうだ。自然体で、相手を見下ろしているような。そう言えば、何故かこの男だけはずっと座っている。客のようなものだから、当然なのかもしれないが、だとしたって、雇われている立場なのだから、少しはわきまえてもらってもいい気がする。

 いや、そもそもどうしてナノネットの調査にカウンセラーがやって来るのか、そこから分からないのだ。自分で連れてきておいて、あれなのだが。

 ガマウシ社長がまた怒鳴った。

 「そもそも、なんだ? そのナノマシンなんとかとやらは、あいつらを買収してやった時は、そんな事は少しも言っていなかったぞ?」

 あいつらというのは、うちの会社“海に千年”のタコ養殖部門の連中の事だ。ベンチャー企業を立ち上げ、タコ養殖の技術開発にだけはなんとか成功したが、事業として成立する見通しが立たず、うちの会社に技術を売り込み、そのままタコ養殖部門として買収された連中。そしてそのタコ養殖に、どうやらナノマシンが使われていたようなのだ。その所為で、本来営業の仕事をしていた俺が、過去、ナノマシンを勉強していた事があるというだけで、調査員として駆り出されたのだが。全く、いい迷惑だ。そもそも俺がナノマシン関連の仕事に就かず、営業になったのはナノマシンが肌に合わなかったからなのに。

 このところ、タコ養殖に関わる事で妙な噂話が飛び交うようになった。近くの海を、人を狙うようにたくさんのタコが泳いでいただとか、そのタコが話しかけてくるだとか、タコの霊が取りついただとか。普通なら、馬鹿話で終わりそうなものだが、そのタイミングで殺人事件が起きてしまい、完全には無視もできなくなった。そのタコを冷凍保管しているCAS冷凍保管庫で、死人が出たのだ。しかも三人も。更にその過程で発覚した事実なのだが、その冷凍保管庫では、必ずタコに対するナノマシンの駆除処理が行われていた。つまり、タコにナノマシンが入っているだろう事をこれは物語っている。しかも、連中はそれを知っていた。

 タコの養殖から、冷凍保管をするまでの過程は、完全にタコ養殖部門の管理下で、うちの上層部はその事実を全く把握していなかったらしい。それで、青くなったのだ。まだ警察にはこの事実を伝えていないのだが、下手すれば関係があるのかもしれない。なにしろ、ナノマシン・ネットワークというのは、人や動物の精神に影響を与え、時には意識を乗っ取る事すらもあるのだ。それはタコ養殖に関わる怪談のような噂とも符合する。もし、これが事件の直接の原因だとするのなら、うちの会社は大打撃を受けてしまう。それで、タコ養殖部門には秘密のまま、まずは調査が行われる事になったのだが(タコ養殖部門に調査している事実を伝えれば、証拠を隠される可能性があるからだ)、外部に漏らす訳にはいかない。内部で調査して、穏便に済ませたい。その調査には少しでもナノマシンの知識がある者が適任、という訳で俺に白羽の矢が立ったのだ。食品会社で、ナノマシンの知識を持つ奴なんて滅多にいない。

 だが、真面目にナノマシンを勉強した事なんかないこの俺に、真っ当な調査ができるはずがない。俺は考えた末、裏の人材を雇わせてくれ、と上司に願い出て、なんとか認めてもらったのだ。そして、探り当てた人物が、この神原徹とかいうカウンセラーだ。初めは、ナノネット関連の事件を扱うと評判の藤井とかいう探偵に頼もうと思っていたのだが、この探偵には紺野秀明というナノネット研究者を通して警察に繋がりがあると聞いてパスした。しかし、その代わり、その周辺から融通が利いて、ナノネット関連の相談もできるという、神原というこの男が釣れたのだ。何故か職業はカウンセラーだった。その点が、本当によく分からない。そして今、調査を行う俺と神原の二人は、社長室に呼び出され社長の前にいるのだ。他の人間がいないのは、恐らく逃げているのだろう。誰も社長の愚痴や怒鳴り声なんか聞きたくない。やがて、いつまでも愚痴を言うばかりで少しも話を前に進めようとしないガマウシ社長に痺れを切らせたのか、或いは、その様子を見かねたのか、神原は不意にこんな事を言った。

 「不安になる気持ちは分かりますが、少し落ち着いてください。私には、今直面している問題が、致命的とは思えません。むしろ充分に乗り越えられる範疇だと思っている」

 言葉遣いは丁寧だが、それでいて迎合してはいない。そんな喋り方だ。ガマウシはその言葉に過敏に反応した。

 「致命的ではないだと? 事はタコ一品だけの問題ではないのだぞ! もし、世間にばれればわが社全体のイメージは大きく傷つき、どれだけの損失を被るか…」

 それを聞くと神原は笑った。

 「ばれなければ良いのでしょう? もちろん、風聞の一つや二つは流れるかもしれませんが、そういった類のデマは、大きな会社なら何処にでもあります。目立ちはしません。むしろステータスくらいに考えておいた方がいい」

 デマ。

 神原はそう言った。俺は心の中でツッコミを入れる。デマじゃないだろう、これは。……が、世間でデマかそうでないかの区別がつかなければ、同じなのだが。

 「警察がナノマシンの事実に気が付けば誤魔化しはきかん!」

 ガマウシは次にそう怒鳴った。が、神原はそれに動じなかった。余裕の表情で、こう返す。

 「警察は、ナノネット関連では動きませんよ。というか、動けないのです」

 それを聞いて、初めてガマウシ社長の表情が緩んだ。

 「何故だ?」

 「簡単です。日本の法律では、自然界に繁殖し人間の精神に影響を与えるナノネットの存在を認めていないからです。

 存在しないものを、取り締まるなんてできないでしょう? ま、実は非公式には活用しているのですがね」

 それを聞くとガマウシは少し黙った。そして、ゆっくりと「本当か?」と、そう神原に問いかける。その間、“どうか俺に話を振らないでくれ”と、俺は心の中で願っていた。正直、そんな方面の知識はない。

 「本当です。世間では、ナノネットが自然界に繁殖している事までは認めていても、それが人間の精神に影響を与えるとなると、眉唾と捉える向きがある。UMAや幽霊と同類の扱いですね。もちろん、法律的にも認められてはいません。何故なのかは分かりませんが、一説には、ナノネットを自然界に繁殖させてしまった、医療機関などを保護しているのではないか、とも言われています。

 ま、どんな理由であるにしろ、法律的に認められていないのは事実です。こちらはそれを有効に活用させてもらいましょう」

 言い終えると、神原は何か妙な笑顔を浮かべる。その笑顔が気に入らなかった、というのでもないのだが、それを聞いて、俺は疑問の声を上げた。

 「ですが、それは自然界に繁殖をしているナノマシンについてでしょう? 意図的に養殖目的で活用していた、となると話が違ってくるのではないですか?」

 その俺の発言に、ガマウシは機嫌の悪い目を見せた。が、何も言わず神原を見る。神原は“面白い”とでも語っているような笑みを浮かべると、少し冷たい目つきで俺を見、それからこう言った。

 「何も馬鹿正直に、ナノネットを意図的に活用していたなどと告げる必要はないでしょう? ナノネットの除去を行っていたのは、念のため、自然界で繁殖しているケースもあるという話を聞いていたので、とでも言い訳をしておけばいい。

 こちらの上層部が受け取っているタコ養殖部門の報告書にも、ナノネットは全く触れられていないのだし、充分に通用する言い訳だと思いますよ」

 俺はそれを聞いて、「なるほど」と声を上げた。

 「それに、あながちそれは嘘だとも言えないかもしれない。どこまで、ナノネットの存在と影響とをタコ養殖部門が意識していたかは分かりませんから」

 神原の説明が終わると、ガマウシ社長はようやく落ち着きを取り戻したようだった。安心したのだろう。気の弱い男だと、俺はそれを見てそう思う。

 「すると、問題は週刊誌やなんかの雑誌方面だな」

 ガマウシ社長がそう言うと、神原は「そうでしょうね。しかし、それも時が流れれば騒がれなくなる。飽きるのが早いですから、消費者というものは」と答えた。

 俄然、ガマウシは元気になり始める。少し感情の起伏が激し過ぎないか? と、俺はそう思った。躁の傾向があるのかもしれない。

 「ガハハハ! つまり、大きな問題はないという事か!」

 が、ガマウシがそう言うと、神原は首を横に振った。俺はそれを見て、こいつはただの太鼓持ちでもないのか、とそんな感想を持つ。

 「いやいやいや。社長、最大の問題が残っていますよ。仮にナノネットが原因だとすれば、どうしてそんな事が起こったのかを解明して、その原因を断たなければならない。これからは二度と起こらないように、です。それが一番の問題だ」

 だが、神原はそうガマウシの言葉を否定しながらも、態度では余裕を崩さなかった。そのお蔭でか、不安を煽られガマウシ社長が再び乱れる事はなかった。それを見て、“なるほど、この男はカウンセラーなのだな”と、俺は初めてそう思った。これが計算した上での行動だとすれば、だが。

 「自信はあるのか?」

 ガマウシがそう声を発すると、神原は余裕の表情でこう答えた。

 「自信とまでは言いませんが、少なくともできる可能性があるとは思っていますよ。今のところ、タコ養殖場がある岩盛島ではナノネットが関係していると思われる事件や事故が起こっていません。つまり、タコ養殖場ではナノネットの制御ができている、と考えられる。ならば、離れた場所でもそれは可能でしょう。それを調べればいいのです」

 その回答にガマウシは満足そうに頷く。

 「なるほどな。話は分かった」

 しかし、神原の話は続く。

 「今のところ、私は自身の経験に照らして、この問題を解決できる可能性は大きいと考えています。が、しかし、その為にはそれなりに費用がかかると考えください。問題を解決する為には、費用を出し惜しみしてはいけない」

 それを聞くと、ガマウシは顎に手をやり目を上に向け、左右に動かしながら、「ふーむ」とそう声を発すると、

 「分かった。覚悟しておこう。出すべきポイントで、金を出さなければ経営というものは失敗をするからな」

 と、そう応えた。ガマウシは、すっかり神原のペースに乗せられている。それを見て、俺はそう思った。

 「何にせよ。まずは、このCAS冷凍保管庫から調べ始めます」

 神原はそう言うと席を立ち、ガマウシ社長に頭を下げると、それから直ぐに社長室を出て行った。もちろん、俺は後を追った。


 それから俺達は、小さな来客用のコミュニケーション・スペースで、話し合った。まず俺はCAS冷凍保管庫について説明する。

 「CAS冷凍保管庫というのは、固有名詞ではありません。特殊な電磁波を当てて細胞を壊さないように冷凍する技術を、CAS冷凍というのです。CAS冷凍保管庫の、CAS冷凍とは、この技術を指します。このCAS冷凍により、食品の保存期間を数年以上伸ばせるのですが、それを活用した保管庫ですね」

 そう俺が言うと、神原は面白そうに頷いた。

 「なるほど。CAS冷凍で保存しておけば、無駄に廃棄される食品をなくせると。保存しておいて、注文が来た時に売ればいいのだから」

 「その通りです。無駄な廃棄をなくせば、ごみ処理の経費も削減できるし、エコでもあります」

 そこまでを語り終えた後で、俺は少し黙る。それから、こう続けた。とにかく、何かを言わなければと思ったからだ。

 「CAS冷凍は、本当に素晴らしい技術だと思います。聞くところによると、医療分野で臓器保存にも応用されているのだとか。ですが、もしかしたら俺は、これが今回は仇になったのではないか、とも考えているのですよ。タイプにもよりますが、冷凍するとナノマシンは死にます。が、このCAS冷凍の所為で、死ななかったのではないか、と」

 その俺の言葉に、神原は「ふむ」と言い、こう続けた。

 「可能性としては考えられますね。CAS冷凍というのは、恐らく水の氷結に関する技術なのでしょう? ナノマシンにも同じように効果があるかもしれない。しかし、決定的な要因ではないでしょう。そもそも、ナノネットを死滅させる為の処理を、その保管庫では行っているらしいじゃないですか」

 「そうですね。保管庫に届いた途端に、その処理を行っているようです。ただ、その処理が完璧ではなかったのかもしれない」

 そう俺が返すと、神原はふぅとため息に近い感じで息を吐き出した。そして、少しの間の後で、次にこんな事を言ってくる。

 「二村さん。茶番は止めましょう。あなたはそんな点が重要ではないと、実は分かっているのではないですか?」

 俺はその言葉に少し驚く。神原は更に続けた。

 「いやいやいや。すいません。失礼を言いました。しかし、あなたはそれなりに頭の切れる人だ。先ほどの社長との会話で、少なくとも私はそう判断しました。だが、今回の件に関してはやる気がない。それで、真面目にやっているぞ、というスタイルだけを取っている。違いますか?」

 俺は何も返せなかった。ほぼ、その通りだったからだ。この男、やはり侮れない。神原は続けた。

 「ナノネットが関与しているとして、そのナノネットにどんな性質があるかを掴むのがまずは重要です。そして、後は殺された人達の経歴等も知りたい。どんな役割を与えられていて、どんな性格だったのか。趣味や生活習慣や、或いは何か宗教に入っていたかどうかも重要ですね。

 この辺りの事はお願いできますか? 私は、あの地方の風俗だとか、特性だとかを調べたい。つまり、ナノネットの性質と育った土壌を掴んでおきたいのです。後は、調べ終えた後で、お互いに情報を交換しましょう」

 そう言われて、俺は何も反論ができなかった。完全に主導権を神原に握られている。が、下に見られていると意識しても不思議と屈辱は感じなかった。そして、その後で更に神原はこう話を続けたのだった。

 「ところで、二村さん。あの社長さんをどう思いますか?」

 俺はその質問に少し驚いた。まさか、ガマウシだと思っているとは言えない。それで無難にこう返しておいた。

 「多少、癖はありますが、優秀な人だと思います」

 その返答を聞くと、神原は明らかにつまらなそうな顔になった。

 「それは、そうなのかもしれません。しかし、私はこうも思いましたよ。典型的な支配者タイプだな、と。例えば、社長さんはあなたを自分の会社の人間というだけで、すっかり信用しているようでしたが、あなたは信頼を勝ち得るような何かをした事があるのですか?」

 俺は首を横に振った。まさか、と思う。そもそも俺はこの会社に対しても、社長に対しても忠誠心なんて欠片も持っちゃいない。今回の仕事だって、面倒で仕方ないんだ。

 「そうでしょう。でも、外部に漏らしてはいけない今回のような件で、あなたを呼び、あなたを使っている。私からすれば、随分と危ういと思える。つまり、あの社長は自社の者ならば、支配下にあると考え、道具のように使えると錯覚しているのですよ。自らの一部だと思っている。こういうのを、主客が未分化、と言うのですがね」

 俺はその説明を聞き終えると、こう言った。

 「そうかもしれません。しかし、そういう人は珍しくないのではないですか?」

 これは本心だった。世の中、そういう奴がやたらに多い。人間、偉くなると駄目になるんだ。

 「珍しくないでしょうね。人間は権力を握ると感覚が麻痺したり、判断力が鈍ったりするらしいのですが。もしかしたら、他人が存在しない、自分一人の世界に住み始めるのかもしれない。自分一人だけの世界だと、人はとても我儘になる。主客の未分化な幼児が我儘なように。

 これは個人の話ですが、集団でも同じです。私は集団心理を重要視しているカウンセラーなもので、特に強調したいのですが」

 俺はどうして神原がこんな事を語り始めたのかが分からず困惑していた。

 「集団?」

 「そう。集団です。例えば、政治の世界でも社会全体の事は考えず、自分達の為だけに税金を利用したりする連中がいるでしょう? 官僚や政治家。専制政治を敷いた国家。極めて自己中心的な判断を行う集団です。ところが彼らは個人を観れば、自分達の属する集団の為に行動していたりするのです。つまり、個人を単位に見れば、利己的とは言えない。が、集団を一つの主体と判断するのなら、利己的な行動を行っている。だから、監査機関には“外部である”という条件が必要なのですが。

 因みに、封建主義だろうが、共産主義だろうが、資本主義だろうが、権力が一部に集中をすれば、似たような体制になるそうですから、これはイデオロギーの問題ではないのではないか、と考えられます。一部に権力が集中した資本主義企業の様相は、共産主義のようだと揶揄されていますよ。

 要点を抑えるのなら、客体の存在しない世界では、意識あるものは、どんなものでも自己中心的になる、のです」

 そこまでを語ると、神原は満足そうな顔になり、俺を見た。

 「私は、あの社長。いえ、この会社にとってみれば客体です。そしてあの社長は、私を客体と認識していたからこそ、自己中心的な判断を捨てる事ができた。あなたが私を引き入れたのは、正解だと思いますよ」

 そして、そう言ってにやりと笑ったのだ。相変わらず意味が分からなかったが、それでも俺は、なんとなく、この男が何を言いたいのかを察した気になった。

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