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この作品には 〔ガールズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

奏と唯

花火

作者: 澄雨

暑いなかたくさんの人で賑わい

いつもよりお金使っちゃうし、テンションが高くなる。

楽しい時間を過ごす人もいれば、はぐれてしまって困っている人もいる。

みんなと楽しく過ごす人もいれば、一人寂しく過ごす人もいる。


これらを満たす場所はどーこだ?

正解は祭りですっ


今年も夏休みが来た。

暑いし、だるいし、宿題あるし…でいろいろめんどうな夏休み。

でも、得なこともある。

損があれば得なこともある。

世の中そういうものだと私は思う。


あ…話しがそれましたね。

えーと、簡単に言うと今日は祭りです。

高校の友達3人と私とで祭りに行きます。

昨日はよく寝れませんでした。

別に祭りが楽しみで寝れなかったんじゃありませんよ?

私には好きな人がいるんです。

優しくて、いつもそばにいてくれて…大切なんです、彼女のことが。

え?女が好きなの?女なのに?

って言う人がいるかもしれません。

軽蔑する人もいるだろうし…

でも、私はこれでいいんです。

自分だけの道を歩いてる気がして、意外にも楽しいんです。

確かにつらいこともある。でも、そんなもんだと思う。

嫌われたっていい。

友達が私は同性愛者だと知った瞬間、友達じゃなくなったとしてもいい。

本当の私を好きでないなら、軽蔑するなら、そんな人は友達でもなんでもない。


って、また話しがそれましたね。

祭り一緒に行く3人の中に好きな人がいるんです。

どれだけ嬉しかったことかっ

ほんと、家でジャンプしました!


なんて考えていると、ピーンポーンとインターホンが鳴った。

なんだろう?と思いつつも、ドアへと足を運び扉を開ける。


「よっ」

「…え、え? えぇぇえ⁈」


さわやかな笑顔で挨拶する彼女。

そんな彼女に見惚れながらも頭はパニック。

な、何でいるの…?

好きな人が目の前にいる…夢、なのかな?


「だ、大丈夫?そんなに驚くことかな」


何て言いなが難しそうな顔をしている。

ごちゃごちゃな頭でようやく出た言葉は「…何でいるの?」だった。


「何でってそりゃ祭りに行くからでしょ。確かに現地集合とは決まってたけど、別に(ゆい)を迎えに来てもいいでしょ?」

「は、はぁ。そんなんですかね」

「なぁに?嬉しくないのー?」


と言いながら彼女は私の頭を撫でる。

何だか恥ずかしくて顔が熱くなる。

嬉しい、嬉しいに決まってるっ


「あはは、顔が赤いよー」

「あ、赤くないっ」


指摘されて余計に赤くなる。


「その服で行くのよね?」

「うん。(かなで)も浴衣着て来なかったんだね。」

「めんどくさいじゃない」


そう言って、笑う彼女は浴衣なんて着ていなくても、すっごくすっごく綺麗だ。




祭りに向かう途中、私たちはなぜか手を繋いでた。

私の心臓はすごくうるさくなった。

顔も真っ赤になっていたと思う。

彼女と手を繋げる日がくるなんて思ってなかったから、この幸せを胸いっぱいに吸い込んでおいた。

あぁ、このままがいい。

緊張しすぎて心臓がうるさいけど、それすらも心地いいくらい本当に幸せだった。

彼女はなぜ私と手を繋いだかわからない。

聞いたら手が離れそうだし、たぶんただのスキンシップだと思うから何も聞かないでおいた。




待ち合わせ場所についた。

友達2人は私たちを見つけると手を振った。


「ごめん ごめーん。遅れちゃった?」

「ううん、まったく待ってないよ。ね?冬ちゃん」

「はい、さっき来たばかりですよ」


彼女が友達に話しかけたときに、繋いでいた手が離れた。

寂しくない、寂しくないと言い聞かせながら私は自分の手を握った。




あれから数時間が経った。

あともう少しで花火が打ち上げられる時間になる。

そんな時に彼女は私の手を掴んで、「よし、じゃあ約束通り唯を借りるねー」と言った。

友達は「はいよー。仲良くねー」と言って手を振っている。


「へ?」

「ほら、行くよ」


えぇ?一体どこに⁈

ってか約束通りって?

なんだか嬉しそうに笑いながら私の手をひいて小走り彼女を見て、まぁなんでもいいか、なんて思ってしまう。


今日はいい日だな

いつもこんな日だと私はきっと幸せボケでもしてしまうね。




「ついたよ」

「?」


そう言って立ち止まるけど、周りには何もないし、誰もいない。

えっと…


「ここね、花火がよく見える穴場スポットなんだよ」

「あ、それで…」


彼女は少し大きな木を背もたれにして座って空を見上げた。

私も彼女の横に座って空を見上げてみる。

彼女のそばで見る空は、いつもよりとても綺麗だった。


「あれ みんなと来なくてよかったの?」

「うん。唯と二人で来たかったの」


えーと…なんだかすごく恥ずかしいな。

ほんと、勘違いしそうになるね。

彼女も私のことが好きなんじゃないかって。

そんなわけあるはずないのに。

そう思うと少し心が痛んだ。


「さっきまで顔を真っ赤にして嬉しそうだったのに、今はつらそうな顔ね」


彼女は私を見つめながら、そう言う。

よく見てるな、とどこかの冷静な私は思った。


ふと思った。

私はいつから彼女のことが好きだったんだろう?

この想いが報われるときはくるのか?

彼女を諦めて友達として接する方がいいのではないのか?

そんなの嫌だと心が叫び、胸がギュッと締め付けられる。

…彼女を友達として見るなんて、そんな簡単に出来ない。


今、この時は

彼女ことだけを考えて

そばで笑っていたい


「ねぇ、唯って私のことが好きなんでしょ?」

「…あ…え?…ええぇ⁈」


彼女の声が私の耳に響く。

って今なんて⁈

ってか一体いつから気づいてたの⁈

いや、まてよ。そもそも好きというのは友達としてなのか恋愛対象としてなのかはわからない。

だからそう、これはきっと友達な方で聞いているんだ!

なんて回らない頭で必死に考えていると、彼女が笑いだした。


「な、何で笑ってるのっ」

「だってさ、顔がおもしろくって」


彼女はお腹を抱えながら笑ってる。

も、もぅ!


「ほらほら、怒んないで。で、私のこと好き?」

「え…あ、うん。友達なんだから好きに決まってるよ…」


友達と言った自分の言葉に自分が傷ついた。


「そっかー 友達としてか。恋愛対象としてじゃないんだ?」


えぇ⁈え、バレてた?

バレてたのね⁈

あんだけ隠していたつもりでいたのにバレていたなんてっ


「え、あ、あの、えっとね。あのー…あははは」


なんかもう自分が何を言いたいのかわからない。

なんだか彼女が私をじっと見ていて余計に焦る。

えっと…えっと…

これって彼女に私の想いを伝えるチャンスじゃないんだろうか?

そんな考えが頭をよぎる。

確かにそうだ。

そうなんだけど怖い。

もし…もし彼女がそれで気持ち悪がったら私一体どうすればいいのか?

もしかすると彼女は冗談で私に聞いているのかもしれない。

不安で胸がいっぱいになる。

ふと彼女と目が合うと、あまりにも優しい目の色をしていたから私は言ってしまった。


「…ずっと前から…好きです…。恋愛対象として見てる…。気持ち悪いよね?

私の気持ちなんかに答えなくていい。忘れてくれていい。奏が他の人を好きだとしても…そうだとしても…

私は奏が好き…です…」


言えた…。

涙がこぼれる。

終わった、終わったんだ…。

そう思ってると彼女が私の頭を撫でた。

彼女を見ると、さっきよりも優しい目をしてた。

ど、どうして…?


「よく言えたね」


そう言って私の頭を優しく撫でる。

余計に涙が出てくる。


「ごめんね、私って臆病者だから自分から言えなかったのね。確かめてからじゃないと怖くて…」


彼女は情けない顔する。

そんな顔も可愛いと思ってしまう。


「…私も唯が好きよ」


その言葉にびっくりして涙が止まる。

今…なんて…?


彼女は私を抱きしめてもう一度言う。

その言葉を聞いて、また涙が出てくる。

今度は嬉しくて




その時、花火が打ち上げられた。

空いっぱいに広がる綺麗な花火。

その花火は今まで生きてきたなかで、特別綺麗だった。





最後まで読んでくれてありがとうございます( ´ ▽ ` )

そのうち唯と奏の友達、冬の物語も書ければいいなと思ってます。

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― 新着の感想 ―
[一言] サラリと読みやすくて、でもとてもドキドキできるお話でした! 私はBLで友達同士の恋を描いたりするのですが、GLでもやっぱり友情と恋愛感情の間の揺れがあってすごくよかったです。 唯がまっす…
2011/06/01 01:42 退会済み
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