表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/90

第1話【紫石のペンダント】

静かな朝の光が差し込む部屋で、お母さんは私に優しく微笑みかけた。


羽闇(はやみ)、貴方にこれを。」


「なぁに?…わぁ!これってお母さんがいつも着けているペンダントだよね!」


お母さんの手には、いつも身につけている紫石のペンダントが握られており、私は目を輝かせながらそのペンダントに見入った。


「そうよ。これは我が一族代々命と同じ位大切と云われている宝物なの。そろそろ貴方にこれを渡してもいい頃と思ってね。」


「ありがとう、お母さん!わぁ…すっごく綺麗ー!」


お母さんは私の手にそっとペンダントを乗せる。石はキラキラと輝いており、まるで星が閉じ込められている様だ。


「……私でも()()だったけど、貴方ならきっとこの運命から抗える事が出来るかもしれない。頑張ってね。」


「…?」


お母さんの言葉にはどこか悲しげな響きがあり、私は不思議そうにその顔を見つめていた。

その数日後、お母さんは突然この世を去ってしまった。 私は深い悲しみに暮れながらも、お母さんから託されたこのペンダントを大切に身につけ続けた。

そして、あれから十年が経ち―。


ピピピピピピッ!ピピピピピピッ!


「五月蠅いっ…!」


けたたましいアラームが鳴り響く。

私は重たい体を起こし、机に置かれたスマホを手に取った。止めるボタンを探して画面をタップするが中々見つからない。 やっとのことでアラームを止めると、私は大きく息を吐き出した。


「ふわぁ〜…ねっむ。もう六時かぁ。」


酷く眠い。体が鉛のように重い。いっそ学園を休んでしまおうかとも思ったが、そんな事を言っていたら、朝に弱い私は毎日学園を休むことになる。


「仕方ない、行くか。」


私は温かい毛布を渋々剥ぎ取ると、ベッドから立ち上がる。顔を洗って朝食を摂り、歯を磨いてから制服に着替える。そして最後には、十年前にお母さんから譲り受けた丸型の紫石のついたペンダントを首に掛ける。亡き母の形見であるこのペンダントは、私にとってお守りの様なものだ。


「よし、準備万端。じゃあ行ってきます。」


私の名前は月光(げっこう) 羽闇(はやみ)。ごく普通の高校一年生だ。

アパートから出た私は、ゆっくりと学園へ向かいながらスマホを開いて今日の自分の運勢を調べてみる。占いは好きという程ではないが、ある占い師の占いが意外に当たる事が多く、それから毎日チェックしているのだ。


「えーっと…今日の私の運勢は…やったぁ、大吉!『色々な嬉しいハプニングが起きるかも!?ラッキーアイテムはペンダント』。えー、どんな事が起こるんだろー!楽しみ♪」


私は頬を赤らめながら、ウキウキと学園へと足を進めた。

まさか今日、あんな事が起こるなんて思いもせずに―…。



「月の婚約者〜私の運命の相手は誰?〜」第1話をお読み頂き誠にありがとう御座います!

紫石のペンダントに秘められた謎、そして羽闇の母が残した意味深な言葉。これから羽闇に一体どんな出来事が待ち受けているのでしょうか?

此方では初めての連載の為ドキドキしていますが、皆様に楽しんで頂けるように頑張りますので是非今後の展開にもご期待下さい!尚、本作は『カクヨム』『アルファポリス』『ネオページ』でも連載中です。


次回もお楽しみに!


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ