表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

日常 地域 こんなことあんなことそんなこと

ある、ごみ出しの日に

作者: 池畑瑠七

 きゃー、やっちまった!


 朝の家事を一通りバタバタとこなして、さあやっと自分の時間だ…って机に向かうと。

 ぷーちゃんが椅子の背をパリパリパリ!足元で仔猫のように鳴きだします。


「にゃーん!(まってました!)」

「あそぼうあそぼうあそぼう!!」

「シー〇ちょうだいシー〇!!」矢継ぎ早の催促(笑)。

 そうだね、ずっと待ってたんだもんね。よし遊ぼっか!


 お気に入りのMVをちらちら流し見しながら、ぷーちゃんとひとしきり遊ぶ。

 よし、そろそろいいかな。

 さーPCで作業…って思ったら、あらま、タイムアップじゃん!( ̄▽ ̄;)


 ああいかん、もうこんな時間だ仕事に行かにゃあ。

 コーヒーをボトルに用意して…と思ってキッチンに向かうとそこには!


「ボクまだいるよん!」 緑色半透明のでっかい奴が!


 まずい、やばい!!

 ゴミ袋がまだ、そこに!

 そうだ今日は燃えるゴミの日だった!


 間に合うかな、どうしよ、もう収集時間20分は過ぎてる…

 Σ(゜Д゜;≡;゜д゜)

 ばあちゃんのでっかいごみ袋も玄関に鎮座して、運び出されるのを待っているのだ。

 あれを次の収集日まで、置いてはおけない・・・( ;∀;)


「ダメもとだ。行くだけ行ってみよう!」


 決意と同時に目の前の袋を掴んで階段を駆け下り、靴箱の前に置かれたばあちゃんのゴミ袋もグワシっと握る。前のめりで靴を履きノブを肘で下げ、扉は足で押し開けて(笑) 外へ飛び出す。

 間に合いますように。どうかまだ、収集が来てませんように。

 心の中で唱えながら集積所に向かって走る。


 ほんの僅かな距離だけど、両手がゴミ袋で塞がってて走りにくいことこの上なし。

 普段の運動不足もこういう時、ひときわ身に沁みるのよね。

 息が上がってきちゃう。


 あの角を曲がるとすぐ、集積所。まだ、皆さんのごみ袋がありますように…。

 一心に祈りつつ、曲がってみると!



 ああ~


 ざんねん。ネットの中は空っぽ!

 やっぱり間に合わなかったか・・・・しょんぼり (T_T)。


 仕方ない・・・。このところ毎日のリズムがバラっバラだから、曜日感覚もすっ飛んでたもんなあ。

 迂闊だったあ…。


 これ、どこに保管しておこうかな…あっちかなコッチかな…

 なんて考えながら、とぼとぼ引き返す。ああ、ゴミ袋がやけに重たい。


 と、そこへ。後ろから大きなトラックの音。


 あっ、ごみ収集車さんだ。

 うちのとこの次、隣組の集積所の回収が済んで、その次へ向かうために道を引き返してくるところだった。


 はい、スイマセン。間に合いませんでした。

 狭い道で通過のジャマにならないように、道の端っこに寄った。そのとき。


 ププっ、って軽くクラクション。減速して停車。

 え!

 作業員の方が窓を開け、声をかけてきた。

 にこやかな笑顔で「いいっすよ、持ってきますよ!」


 えええ~~~いいの!!??(≧▽≦)


「ええっ、いいんですか!ありがとうございます!」


 パッカーが回転を始め、口が開いたので そばまで持って行こうとしたら。

 お兄さん「大丈夫っすよ!」ってすぐさま運転席から降りてきて。

 私のとこまで歩み寄り、二つの大きなゴミ袋をわしっと掴んだかと思うと、手慣れた鮮やかな動作でパッカーへと投入してくれました!


 うわあ、なあんて、かっこいい!!


「ああありがとうございます!!すみません、お手数かけて」

「いえいえ、大丈夫っすよ!」

「助かりましたー、ほんとにありがとうございます!!」


 高い運転席にひらりと乗り込んだ作業員さん。

 頭を下げる私に窓越しに爽やかな笑顔を見せてくれ、颯爽と次の集積所へ向かっていかれました。


 ううううれしい・・・


 ゴミ出し一つでこんなにもあったかな気持ちになるなんて。

 大変なお仕事でしょうに。嫌な顔一つ見せず、思いやりの行動が然り気無くサッとできる作業員さんにめっちゃ感激!

 素敵だなあ。こういうのホントカッコいい!って思いました。


 次へと向かう収集車の後ろ姿が見えなくなるまで、

「いつもありがとうございます!今日は本当に、ありがとう!」ってお辞儀して、感謝の想いでじっと見送ったのでした。


 でも、再びご迷惑はかけないように次からは一段と、気をつけねば!

 と、この感謝と共に心に固く誓った、爽やかな秋晴れの朝でした(笑)。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] お話全体に優しさが溢れていて、心が温まります。 まずは、池畑さんの愛猫ちゃんへの眼差し。あったかい! そして、池畑さんの日々の家事のこなしぶり。 ご家族のために懸命に日々頑張られていらっしゃ…
[良い点] 日常の中の、とてもいいお話ですね! 生ごみ出し忘れて慌てるところ、もう共感しかないです。 作業員のかたの優しさ、本当にありがたいですよね。 かくいう私は、ゴミを持って走り、作業員さんに手渡…
[良い点] ゴミ収集車の搭乗員してたのでわかります。こんな余裕のあるお仕事出来てたらな、 と後悔します。ただ、後ろの板が回ってるとこを自分で勝手に入れようとするのだけは危険ですので、それは作業員の方に…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ