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企画参加作品

魔法のクロスワード

作者: 黒イ卵

https://syosetu.com/event/marchen2021/






おや?いったい……。

 「あれ? なにを探していたんだっけ?」


 この子は、すっかり、忘れてしまったようですね。


 テーブルの上には、クロスワードパズルの雑誌が、置いてあります。



 『なにかを思い出したい人にオススメです!』



 探していたものがなにか、思い出すかもしれませんよ。

 


 「やってみよう!」



 ◇たてのかぎ:1

  小銭入れとも言う。


 「財布、かな。」


 さいふ、と書き込みました。


 ◆よこのかぎ:1

  四字熟語。苦心、苦労を重ね、チャンスの到来を待つこと。


 「臥薪嘗胆。」


 ちょっと、難しかったかな?


 ◇たてのかぎ:3

  本のページに、付ける目印。


 「しおり。雑誌にもあれば便利なのに。」


 まあそう言わず。


 ◆よこのかぎ:8

  妖怪の別の言い方。四文字。


 「物の怪、かな?」

  

 ものぐさ、ではないですよ。


 ◇たてのかぎ:13

  夜曲のこと。


 「ノクターン?」

 

 それそれ。

 

 順番に、さ、が、し、も、の、ときましたね。


  残ったマスを、埋めていきます。


 「答えは……ルビーの指輪。……どんぐり……黄色いハンカチ……虫眼鏡?」


 そうです、大ヒントです。


 「あれ? 目の前が、チカチカする。」


 さあ、答えを並べ替えましょう!



◼️◻︎◼️◻︎◼️◻︎◼️◻︎◼️◻︎◼️◻︎


 

 『きおくのようせい』



 「記憶の妖精?」




 「せいか〜い♪」


 「わぁっ!」


 「はあ、よかったよかった〜。

まさかね、あのね、ニンゲンにね、見られるとはね、思ってなかったのね〜。」


 「なんか、見たこと……ある……?」


 「ん〜とね、君がね、虫眼鏡で、“さがしもの”をしてたのね。

  でね、まれにね、見えちゃうタイプのニンゲンがいるのね〜。


 そうするとね、タブーだからね、認識した記憶ごと、消去するんだけど、ウッカリ、消しすぎちゃってね〜。


 これ(クロスワード)は、アフターケア?サービスってやつ〜。」



 ぼくの目の前には、ハムスターのような生き物が、宙に浮かんで、何やら一気にまくし立てる。



 「そんなわけでね、今度こそ、記憶がね、うまいこと消えるからね〜。


 ()()()()()()()()()が、うまく作動してよかったね〜。


 それじゃあね〜!」



 ………。



 そうか、そうだった、ぼくのさがしものは、あった、これだ!


 机の上から、コロンと転がった消しゴム!




◼️◻︎◼️◻︎◼️◻︎◼️◻︎◼️◻︎◼️◻︎




 消しゴムを拾って、椅子に腰掛ける。


 虫眼鏡でクロスワードの紙面を眺める。


 はて、どこの問題と勘違いしたのだろうか、間違えてばかりじゃないか。



 答えの欄には、


 『き  の  せい』と書かれている。


 全く、何をどうしたのだろう。



 わしは、虫眼鏡を置いて、老眼鏡を取り出し、再び、クロスワードを解き始めた。






(了)




※参考資料:新明解国語辞典 第五版より。






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― 新着の感想 ―
[良い点] 面白い、楽しい、上手いです。 ラスト、やられました。 まさか主人公がこういう人物だったとは。 面白かったです。
[良い点] とてもかわいい! 記憶を消しすぎってところも、消しゴムがキーワードなところも、大事なところを消して残ったメッセージも、考えられていてすごいと思いました。
[良い点] あのイベント要綱のイラストが、まさかの物語化! あのへんてこな生き物が、記憶を消す不思議な能力を持った妖精さんだったとは、恐るべし。
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