第五話 裏と表
第五話です。
裏話です。
楽しんで頂ければ、と思います。
裏。
表があれば裏がある。
それすなわち、この世の万物には裏が存在するということだ。別の例を上げるならば、光があれば闇がある、始まりがあれば終わりがある。本当に、何にでも、裏というか闇というかそんなものが存在する。
一見裏の無さそうな『言葉』も、わざわざ隠語や暗喩といったものがあるのだから、一概に、表ばかりとは言えないのではないだろうか。
「D、今は会議中だ。ドラゴンの対処についてだ。」
そう言われて、裏の会議へと戻る。彼の六芒星の襟章が輝いている。もっとも、俺の襟章が輝いているかは分からないが。
「あぁ、悪かったよその件は。でも箝口令しいたんだから大丈夫だろ?」
「そんな事を言っているのではない。我らが仲間割れをしては、世界が歪む。我らの目的と世界の安寧のために我らはこうして集まっているのだろう?そんな我らが一致団結できねば世界を纏めることはできまい。」
「あぁ、だから悪かったって。11のうち2匹も逃しちまった事は。」
「そんな一言で済まされては私、泣くわよ。ドラゴン一匹作るのに何ヶ月かかると思っているの?」
そう言う彼女の襟には五芒星の襟章が眩しく輝いている。綺麗だ。
「E、ホントごめん。許してちょんまげ。」
「あなたのそういうところが、こんな問題を生むのよ。計画が狂っちゃうわ。」
「ホントすんません。許してください。」
「二人ともそれぐらいにしろ。会議にもどるぞ。」
「分かったよ。K。」
そして俺たちは本当に会議に戻る。話す事は今後の事。計画の修正。周辺国への対処。万が一の時の対処。敵勢力の対処。重要人物のマーク。
「監視はつけてるよな?」
「ぬかりないぜ。ギルドに人を派遣した。『真の神』への対処もバッチリだぜ。我が国に敵勢力は居ないぜ。」
「そのイズティニー・ボウについてだが。」
「A、違う。istinnyy bog。」
「・・・。何語だ?」
「さぁね?」
「分からないのか。まぁいい。今、イズティニー・ボウの潜伏先を・・・」
「istinnyy」
「・・・。潜伏先をあぶり出すのが先決だ。あいつらの本部がイズトニアにあると報告があり、すぐさま暗部を送ったのはいいが・・・。中はものけの空だった。さらに、暗部を送った事がイズトニアにもバレているだろう。C、対処に当たれ。」
「・・・了解。」
Cのこの子いつも何考えてるかよく分からないなぁ。10代後半ぐらいかな。若いのによくこんなところに入ったな。
「今日の会議は終了だ。各自、仕事に当たってくれ。解散。」
ガシャン。
辺りが明るくなる。暗い中で画面を見ていたら目が悪くなる。短めにしてもらえると目にも心にも優しいんだがな。そう重いつつ隠し扉を開けて、大きな大きな部屋へと戻った。
コンコン。と、部屋をノックする音が聞こえた。入れ。と命令を出す。
「旦那様。陛下から姿を見せよとの命令が出ております。」
「はぁ・・・。めんどくさいなぁ。まぁ、スケジュール合わせといてくれ。二日後ぐらいに。」
「承知しました。では。」
「あぁ、ちょっと待ってくれ。最近、ゲームにハマってしまってな。どうも目の調子が悪い。近くの物が見えにくい。メガネを頼む。」
「・・・承知致しました。」
そういって彼はこの部屋をでていった。
今度、お笑いに連れて行ってやろう。
そう思い、仕事に戻る。そしてふと、この無駄に高い部屋から窓の外を見る。時刻は夕刻。
遠い東には真紅に染まった空。西には真っ青な蒼い月が浮かんでいる。
やはり。
やはり、この世界に表と裏が両立している時はない。
否、二つ同時に存在している時はある。ただ、表に隠れて見えないだけだ。いくら光で闇を照らしても、その光で隠れる闇がある。
始まりがあると終わりがある。そして、その終わりすらも始まりがあり、終わりがあるーーー
・・・終わりには、終わりがあるのだろうか。
今、この世界は情報で溢れています。
そして、その情報を簡単に私達はスマホやパソコンといった便利機器で仕入れることが出来る世の中になりました。
そういった機器で膨大な情報や考え方に簡単に触れられるようになり、簡単に自分の共感が得られる考え方が見つかるようになった今、現代人は考える時間が少なくなっているのではないでしょうか。
まぁ、それはさておき、第五話 裏と表いかがでしたか?
次回は一章終了になると思います(多分)
え?一章なんて題名についてないって?
そりゃあれですよ、ドラ◯エ1が最初ド◯クエ1と呼ばれてなかったでしょ?似たようなもんですよ(適当)