第一話 回り始めた運命
初めまして。
zpX12です。
初めての投稿です。
拙い部分もあるかと思いますが、生暖かい目で見守ってやって下さい。
・・・あ、やっぱり普通に見守ってて下さい。
「大丈夫か・・・?」
「え?あ、ハイ・・・」
目の前には私に背を向け、庇ってくれている男の人。
あのドラゴンの攻撃を一人でうけるなんて・・・。
と思うより前に。
私は。
見とれていた。
その純白の輝きを放つ大きな12枚の羽に。
♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢
「おいお嬢ちゃん。ゴブリン討伐、一人で大丈夫かい?俺が手伝ってやるよ。」
と、下心剥き出しで寄って来た酒臭いおっさんを私は睨む。
「おうおう。そうやって睨む顔も可愛いじゃねぇか。」
バシンと、私を触ろうとした手を思いっきりはたく。
そして
「気安く触らないで頂けます?」
と微笑む。
「おいおい、お嬢ちゃん俺はなぁ・・痛ッ!」
まだ何かいいそうだったので、弁慶の泣き所を思いっきり蹴り飛ばす。
初心者用の依頼書の束の中から、その中でも最も簡単なゴブリンの討伐依頼の紙を破き、痛みで悶えているおっさんを尻目に、颯爽と冒険者ギルドを出て行く。
冒険者の目が少し白かった気がするがそんなことは気にしない。
そして私はこの街「シユリオン」の東門へと赴く。
東門は初心者向けの魔物が湧く草原との出入り口として機能している。
この街は王城を中心として放射状に道がのびていて、周りを円形に10m程の壁が囲んでいる。
なんでも大昔の英雄が魔法で作ったとかなんとか。
そして、その壁には東西南北に一つづつ門が設置されている。
東門は前述の通り。南門へは山へと続く道と接続している。西門には海岸へと続く道へと、北門には凍りつく海が待っている。
ちなみにこのシユリオンは国家「バシルダ」の最西端の街であり、王都でもある。
などと、この世界の事に恐らく無知であろう誰かに適当に説明している間に、私は東門へと着いた。
息を整える。初めての討伐依頼。正直かなりわくわくしている。
興奮を隠しながら、受付のおばちゃんに依頼書と身分証を見せに行く。
「あら、アリナちゃん。今日も依頼かい?精がでるわねぇ。」
「はい!早くランク上げて南の洞窟に挑みたいので!」
「そうかい。そうかい。おや、今日は討伐依頼を受けるんだねぇ?ゴブリンは弱いけど気をつけてね。まぁアリナちゃんなら魔法の腕前も凄いし、大丈夫かねぇ。」
「えー、そんなー、少しだけ使えるだけですよぉ。」
ホント、少しだけですからぁ、もっと褒めて下さいー。
「それじゃあ、行ってらっしゃい。」
「あ、ハイ。行って来まーす。」
ちぇっ、褒めてくれないのか。
不貞腐れつつ東門をくぐる。
一瞬の闇、そして次の瞬間には広大な草原が目の前に広がる。
太陽がギラギラと照りつける。
爽やかな風のおかげで暑くはない。
ちなみに、草原には初心者向きだと言われる理由が二つある。一つは弱いモンスターしか湧かないこと、二つ目はあまりモンスターが湧かないこと、だ。
ゴブリンとかスライムとか。
今回の依頼はゴブリンの討伐が目標。
一匹狩って、牙をもって帰ると依頼完了。
さっさと行きたいところだが、持ち物を確認する。
今回は一日で完了するから食料は非常食一食分。腰には護身用の鉄剣。本当は杖がいいけどいざという時のために。鎧は薄い。無いよりはマシ程度。それでも・・・
「ゴブリン討伐には充分だよね!」
と、新たな冒険の第一歩を踏み出した。
さて、結構歩いたところでゴブリンが湧いているのを見つけた。四匹が変な踊りを踊っている。
こちらに気づいてないようなので、魔法で奇襲する。
両手をゴブリンの方へ向ける。
そして火球を作る。燃える火をイメージしてその形を再現するように魔力を操作する。
さらに魔力を加えていく。
なんていうか、体全身から気力が無くなっていく感じだ。ジョギングした後みたいな。
火球が50cmぐらいになった頃、ゴブリン達が私の存在に気づいた。
2匹が何も考えず私に向かってくる。
その顔面に今まで作った火球を食らわせる。
イギャアァァアア
と突っ込んで来た一匹が炎に包まれ、気持ち悪い叫び声をあげる。
仲間がやられたというのにもう一匹は突っ込んでくる。見ると何も武器を持っていない。湧きたてホヤホヤなんだなぁ。
腰の鉄剣を右手で抜き、私を掴もうとした手を横から払いのける。
そして、両手で剣を持ち直し最もするどい刃の先端を心臓めがけて刺す。
位置がずれてしまったようだが、肋骨を避けて肺に刺さったようだ。
いずれ死ぬだろう。剣を抜く。血が吹き出る。
残りの二匹は既に逃げたようだ。
一応、さっき刺したゴブリンにトドメの一発をくれてやり、牙をとる。
焼死体の方は・・・グロい。けど牙は取る。
なんだかあっけなかったなぁ。
もっと苦戦するかと思ってた。
ふと、空をみると不穏な雲が流れていた。
するとすぐに、ポツポツと雨が降ってきた。
肌寒くなってきた。
さっきまでは雲ひとつ無かったのに。
強い風が上から吹く。
上から大きな音が聞こえる。
反射的に上を見上げる。
見上げるとそこには大きな足。
そこで気づく。
気づいた時、より一層強い風が吹いた。
「う、わぁ!」
風で飛ばされる。なんとか受け身をとり慌てて剣を構える。
そこには。
魔法をもはじく漆黒の鱗を纏ったでかい体。
その巨体をたった二つの後ろ足で支え、退化した前足。巨大な体の割に相対的にはそこまででかくない羽。
最強の魔物と呼ばれる、ドラゴンがいた。
口が開かれる。冷気が漏れる。
私のいる場所まで寒くなる。恐怖と寒さで足が震える。
ドラゴンは大きめの氷の塊を作り出していた。
そして、次の瞬間。
私の方に巨大な氷の塊が放たれた。
走馬灯が駆け巡る。
少し前の薬草を集めていた時、初めて冒険者になった時、お母さんが行方不明になった時、魔法学校に入った時、虫に噛まれて三日三晩うなされた時。
あぁ、私、ここで死ぬんだ・・・。
カキーン
と甲高い金属と金属がぶつかったような音が聞こえる。
「大丈夫か・・・?」
♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢
その12枚の羽を持つ男の人は私の無事を確認するとドラゴンに向かって走り出した。
ドラゴンは上半身を右へ捻り、しっぽで薙ぎ払う。
彼はそれを軽く飛び越えドラゴンへとさらに近づく。ドラゴンの口から再び氷の塊が放たれる。彼はその攻撃を見ると足に力を込めてジャンプし、さらにその氷を踏み台にドラゴンの顔面へと近づく。そして、刺すのに向いた形状をしている下から二番目の羽を思いっきりドラゴンの目を刺した。
ドラゴンの鼻を蹴り、華麗に着地する。
ドラゴンは目を潰され見境なく暴れる。
彼は一番下の羽を器用に使い大ジャンプ。
背後へ回り、さらに羽を刺し、背中に乗る。
背中に乗った彼は自身の下から三番目の羽を使いドラゴンの羽を切り落とした。
声になってない叫び声が周りに響く。
あの三番目の羽はナイフに似ている。
そして下から二番目の羽を右手に纏わり付かせる。
それは鋭い槍となりドラゴンの心臓を貫いた。
ザァァという雨の音だけが聞こえるが辺りは静粛に包まれている。
「おい。」
その声にビクッと体を震わせる。
「大丈夫だったか?」
「は、はい・・・」
「そうか、それならこいつの鱗を回収するぞ。持てるだけもて、防具には優秀だ。武器が欲しいか?なら翼の先についてる爪をとれば良い。」
とりあえず、言われた通り爪をとり、ついでに鱗も持てるだけもつ。
「あの、ありがとうございました。助けてくれて。」
あぁ、と彼は適当に返答する。
その表情はフードに隠れてしまい分からない。
「この近くに国が封鎖していない浅い洞窟がある。魔物も弱いし、滅多に湧かない。そこで雨宿りをしよう。」
この人は信用できる人なんだろうか。
でも、やっぱり命の恩人だし素直に聞いた方がいいのだろうか。
「大丈夫だ。安心しろ。寝袋は二つある。テントはお前に貸してやる。」
「私の名前はアリナです。」
ちょっと、むっとする。まずお前が名乗れよ。とは思わない。絶対に思っていない。
そうか。と、彼はやはり適当に返事し、さっさと歩いて行ってしまった。
より一層雨が強く降る。
私は仕方なく、着いて行くことにした。
思えば、この時には既に大きな 歯車は回っていたのだと知る。
どうでしたでしょうか。
少し展開が速い気もしますし、少し会話が多すぎますかね。
初めて小説を書きましたので、文章に自信がありません。
何かご指摘頂ければありがたいです。
そういえばノンステップバスの事をノンストップバスだと思っていた時期が僕にはありました。
ノンストップバスや!ノンストップバスや!ってアホみたいに叫んでました。
同じような経験のある方は・・・まぁ、こんな経験皆様も一つや二つはあると思います。
おっと話がずれてしまいました。
次の話は洞窟から始まります。
男の名前なんていうんでしょうね〜
三話ぐらいに明らかになるかな。
え?ヒントが欲しい?そうですね〜まずはノーヒントで考えて見て下さい。
当たるわけないと思いますが。
ではまた。