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告白…

さて、まどかさんと亜由美の料理はとても美味しく、

懸念していた遥の機嫌と沙里の状態もまあ問題無かった。


で、現在(いま)


俺の目の前で裸の胸を隠して泣きながら真っ赤になっている遥がいる…

もちろん!

それ自体は怪我はすれども健全な男子高校生として、

幼馴染にして最愛の彼女が自分の目の前であられもない姿をさらしている事は

歓迎こそすれ嫌がる理由なぞどこにも無い。

ただし、そこに血を吐く様な告白を伴ってしまっているのでは…


「ぐすっ、ねえ、ショウ…私みたいな女の子、嫌いになった…?」


遥が泣きながら擦れた声で叫ぶ。

「そ、そんな事ないさ!どんな事をしても、遥は遥だよ。

 嫌いになんてなるわけ無いじゃないか!」

「嘘っ!!じゃあなんで、抱きしめてくれないのっ!!」


くっ…!

俺がもう少し早く自分の気持ちに気付いていれば!

くそっ!動け!俺の体!俺の腕!

俺の一番大切な人を抱きしめろ!


「うおらあっ!!」

俺は叫び様、遥をぎゅうっと抱き締めた。


「!!ショウ…」

俺の腕の中の遥が呟く。

「大丈夫だよ、俺はぜんぜん気にしてない。

 お前はその時、確かに芳野先輩の事を好きだったんだろ?

 だったら、そういう事が有っても当然だよ。

 これから、俺たちはずっと仲良くやってくんだろ。

 何も、問題なんかないさ」

「ショウ…ありがとう…」

遥が俺をぎゅっと抱き締める。

これから俺が、遥を守って行かなきゃな…

「ね、ショウ…」

遥が目を瞑り、口を少し突き出す。

俺はそっと唇を重ねた。

俺の脳裏には、今夜の出来事が甦って来た…



「遠慮せずに食べてね!」

ジュースで乾杯した後、亜由美とまどかさんの料理を頂く俺たち。

豪華で本格的な料理はヘタなレストランなぞ足元にも及ばないほど美味く、

俺も遥もカナサリも夢中になって食べてしまった。

食後、みんなでゲームなどして楽しい時間を過ごす。

午後九時を廻り、カナサリが眠くなってきてそろそろ帰らなきゃという時の事だ。

うとうとしているカナサリをソファに寝かし、俺と遥と亜由美の三人になった時、

「ねえ、遥ちゃん、芳野先輩とはドコまで行ってるの?」

無邪気な亜由美の質問に遥の動きが止まった。

「え!…そんな、別に何もしてないよ…」

遥の動揺ぶりが、何もしてないなんて事がない事を雄弁に語る。

「またまた!だって校内NO.1カップルの名は伊達じゃないでしょ?

 ちょっと前、体育準備室でキスしてたって噂になったじゃない!」

その噂は俺も知っている。

ただ、本人たちが否定も肯定もせずに騒がなかったので沈静化したが。

「あ、あれは!!…」

絶句している遥。あれは、本当だったんだな…

チラチラと俺を見る遥。

「ねーねー、教えてよ〜!遥ちゃんの体験を聞けば、

 オクテなショウくんでも少しは刺激になると思うし!きゃはっ!」

赤くなった顔を両手で押さえ、ふるふると振る亜由美。


「そろそろ、カナサリを寝かさなきゃダメだな。帰ろうか、遥」

俺が立ち上がる。

「あん、もう少し良いじゃない!」

亜由美が不満げに口を尖らす。

「俺達は良くても、遥のおじさんとおばさんが心配するだろ?

 また、近い内にみんなでゆっくり遊ぼうぜ。

 俺も病み上がりだから無理出来ないしな」

「…そうね、じゃあ、パパ呼んで来る」

亜由美がパタパタと掛けて行く。

俺は、俯いたままの遥に声を掛けた。

「まあ、気にするなよ。俺はそんなの気にしてないし」

「…ホント?」

遥が顔を上げる。

あ!涙ぐんでるじゃないか…!

「あ、ああ!ホントさ。そりゃ全く気にならないって言えば嘘になるけどな」

「…やっぱ、気になるんじゃない…」

また俯いてしまう遥。くそっ!どうすりゃ良いんだよ…


その後、俺達は亜由美とまどかさんに見送られながら

親父さんの車で遥の家まで送ってもらった。

俺と遥で寝てしまったカナサリを抱いて遥の家に入る。

カナサリをベッドに寝かせて俺が帰ろうとすると、

遥が一緒に行くと言い出した。

もう遅いから、という俺におばさんが

「良ければ連れてって上げて。今日はショウくんのトコ泊まって来なさいな」

と、とんでも無い事を言う。

俺が焦っていると、「…ありがと、ママ」と遥が答える。

俺がおばさんの顔を見ると、少し寂しげな表情でウインクをしてくれた。


二人で夜道を歩いていると、遥が俺の手に腕を廻して来る。

俺は遥の手を握り、ぴったりとくっ付く様に寄り添った。

部屋に入り電気を付ける。

「ねえ、お風呂借りても良い…?」

遥が言い出す。着替えはおばさんが持たせている。

「あ、ああ。今焚くから」

俺のアパートにはシャワーなんて言う洒落た物は付いていないので

ガスを焚きつけて沸かさなければならない。

ガスを焚き付けて、部屋に戻ったら遥が涙をぽろぽろと零していた。

「遥…」

俺が声を掛けるとビクッと遥が震える。

少しの間、風呂を焚くガスの音だけが響いていた。


「ねえ、ショウ…私ね、博隆と付き合ってる時に…」

そこまで言うと遥は声を上げて泣き出した。

「えっ、えっ、えっ…ふえ、え〜ん…」

何だ!どうしたんだよ遥!

声を掛けて抱き締めたいのに、俺は動く事が出来ない。

「わた、私は、えっ、ダメ、って、ふえっ、言ったんだけど、ひくっ…」

遥は顔中ぐしゃぐしゃにしながら告白を始めた。



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